2023年9月追記
本ブログ記事では、高分配ETFとして人気のQYLDについて、
- メリット・デメリット
- 他の米国ETF(QQQ、VYM、JEPI、JEPQ)とのトータルリターン比較
- 将来性
- 併せて検討してほしい東証版QYLD(2865)
などを調べたのでその結果をまとめています。
- QYLDが気になっている
- QYLDに何かひっかかるものがある
- QYLDと高配当銘柄の比較を見て、投資銘柄を決めたい
このような人の参考になればうれしいです。

私自身は高配当株投資による経済的自立を目指しています
QYLDは分配利回りの高さから以前より気になっていましたが、同時に怪しさも感じて手を出さずにいました。
それでも興味がずっと続いたので、色々なサイトを調べてみました。その結果をまとめた内容となります。
先にポイントだけまとめておきます。
- 分配利回り → 12.06% *2023/9/5時点
- メリット
- 高利回り、毎月分配
- デメリット
- 対象指数であるNASDAQ100よりもトータルリターンが大きく劣る、など
- トータルリターン
- QYLDよりもQQQの圧勝
- QYLDよりもVYMの方が概ねどの時期もパフォーマンス良好
- QYLDよりもJEPIの方がこれまでのところ良好
- QYLDとJEPQは一進一退
- 将来性
- 株価 → 下落基調を想定しておいた方が良い
- 分配金 → 概ね安定的に推移しそう
↓この記事の作成後、とりあえず実際に保有してみようということでQYLDを約10万円分購入しています(同じく高分配ETFのJEPIも同時購入)

↓QYLDと同じく高分配ETFとして人気のJEPIを比較した記事もあります
高分配ETF「QYLD」の基本情報や株価チャートなど
QYLDの基本情報
ティッカー | QYLD |
運用会社 | GLOBAL X |
設定日 | 2013年12月11日 |
主要取引所 | NASDAQ |
純資産 | 8,090,298,901ドル 1.17兆円(1$=145円換算) |
株価 | 17.47ドル |
経費率 | 0.60% |
分配利回り | 12.06% |
分配頻度 | 毎月分配 |
年率リターン (設定来) | 7.12% |
年率リターン (1年) | 15.36% |
「毎月分配で分配利回り12%超」はかなり魅力的ですが、経費率0.60%はやや高く気になるところです。
*QYLDはカバード・コール戦略により利益を生み出すことを狙いとしています。カバード・コール戦略については煩雑になるためここでは触れません。QYLDへ真剣に投資することを考えている方は、是非その仕組みを調べ、理解した上で検討してください。GLOBAL Xのサイトでも解説されています。
QYLDの株価チャート│長期では右肩下がり

2013年12月の設定~2023年9月上旬までの株価推移です。
概ね右肩下がりで、特に米国の利上げによりNASDAQ100が大きく下げた2022年はQYLDも大きく下落しています。
2023年に入ってからはやや持ち直しているものの、設定来の値幅で見ると低空飛行状態が続いています。
分配金(配当金)の推移

QYLD設定来の分配金推移です。
基本的に0.2ドル前後で推移しており安定的に見えます。
直近の2023年8月の分配金は0.173$(約25円。1$145円で計算)。
これだとどんな感じかわかりにくいと思うので、簡単なシミュレーションをしてみましょう。
今の1株17.47$なら、10万円でQYLDを39株購入できます。
すると8月に受け取れる分配金は978円(=39株×0.173$×145円)。
毎月同程度の分配金が得られるとすると、
QYLDに10万円投資をすると年間で11,739円の分配金(税引き前)を得られる
というシミュレーション結果になります。
かなり魅力的に見えますが、QYLDの株価が長期的には右肩下がりであることを考えると、QYLDへの投資は分配金だけでなく株価も含めたトータルのリターンで検討した方が良さそうです。
QYLDに投資するメリット2点
QYLDに投資するメリットについて、運用会社であるGLOBAL Xのホームページからその他のサイトまで色々調べてみました。
そのメリットは次の2点に集約されます。
- 分配利回りが非常に高い(概ね10~12%)
- 毎月分配
やはりどこを見ても強調されているメリットは分配利回りの高さです。
QYLDに興味を持つきっかけはみなここだと思います。
ですが逆にいうとメリットとして出てくる点がこれだけしかないというのも少々考えものです。
(2023年1月追記)
実際、私は2021年11月にQYLDへ約10万円投資していますが、それ以降毎月500円以上の分配金を手取りで得ています。年換算すると税引後6000円以上ですから、その利回りの高さは驚異的です
QYLDに投資するデメリット・リスク6点
次にQYLDに投資するデメリット・リスクについてです。
こちらは主に次の6点でした。
- そもそもカバード・コール戦略の理解が難しい
- 人によっては「よく分からないもの」に投資をするリスク
- 経費率が0.60%と高い
- NASDAQ100指数のリターンに大きく劣後する
- 仕組み上、キャピタルゲインは望めない
- NASDAQ100の低迷局面では株価下落・減配のリスクが大きい
- 連続増配ではない
- 米国株に多い連続増配株を選好する人には不向き
デメリットとして特に強調されている点は、
- NASDAQ100よりもトータルリターンが大きく劣る
- NASDAQ100の低迷局面では株価下落・減配のリスクが大きい
という2点でした。
トータルリターンを重視するなら、素直にQQQなどNASDAQ100連動のETFを購入した方が良いという指摘がかなり多いです。
QYLDのトータルリターン比較(vs QQQ、VYM、JEPI)
さてQYLDのトータルリターンは実際のところどうなのでしょうか。
ここでは、「QYLD vs QQQ、VYM、JEPI」という形で、配当込みのトータルリターンを比較してみます。
QYLDよりもQQQの圧勝

↑のチャートは、
- NASDAQ100連動のインデックスファンド”QQQ”
- QYLD
の配当込みのトータルリターンを、QYLDの設定以後から比較したものです。
結果は「QQQの圧勝」です。
QYLDのデメリットとして挙がっていた「トータルリターン重視なら素直にNASDAQ100に投資をした方が良い」という点がよくわかります。
2021年以降VYMに差をつけられる

↑のチャートは、
- 米国高配当株ETFの代表格”VYM”
- QYLD
の配当込みのトータルリターンを、QYLDの設定以後から比較したものです。
結果は「VYMの方が概ねどの時期においても優れている。2021年以降パフォーマンスの差が拡大」です。
QYLDよりもJEPIの方がこれまでは良い

↑のチャートは、
- QYLDの後に設定されて同じく人気の米国高分配ETF”JEPI”
- QYLD
の配当込みのトータルリターンを、JEPIの設定以後から比較したものです。
結果は「比較期間は短いもののJEPIの方が良好」となりました。
- JEPIの設定から日が浅いこと
- 2022年の下落相場は特にQYLDに対して逆風が強かったこと
という点は考慮が必要ですが、一つの参考にはなるのではないでしょうか。
QYLDとJEPQは一進一退

↑のチャートは、
- JEPIの「NASDAQ100版」である高分配ETF”JEPQ“
- QYLD
の配当込みのトータルリターンを、JEPQの設定以後から比較したものです。
結果は「QYLDとJEPQならこれまで大きな差はない」となりました。
同じNASDAQ100を対象としている高分配ETF同士ですが、今のところは甲乙つけがたいようです。
QYLDの将来性を過去推移から考えてみる
ここでは、QYLDの将来性について、株価と分配金の過去推移から考えてみます。
QYLDのこれまでの株価推移

これまでの株価推移から考えられることは、
- コロナショックのような暴落時は、QYLDも暴落する
- 株価は右肩下がり
- 株価持ち直しの場面でも、高値が切り下がっている=株価上昇力は弱い
です。
一言でいうと、「株価上昇力が弱く、キャピタルロスの覚悟が必要」です。
QYLDの分配金推移

QYLDの分配金推移をみると、「1口0.2$/月ほどで前後しており、概ね安定的」といえそうです。
今のところ、今後も大きな変動はそれほど心配しなくても良いのではないでしょうか。
QYLDの将来性
QYLDの株価推移と分配金推移を見てきましたが、過去推移からQYLDの将来性を考察すると、
- 株価
- 株価上昇力が弱く、下落基調を想定した方が良い
- 分配金
- 概ね安定的に推移しそう
といえそうです。
「QYLDはやめておけ」という指摘に対する考え
ウェブ上では「QYLDはやめておけ」という指摘がよくあります。
超高分配ではあるものの、ここまでで見てきたように「株価が右肩下がり」だからです。

私個人の見解としては
- 必ずしも「QYLDはやめておけ」とは言えない
- 株価は確かにダメダメだが、分配金を含めたトータルリターンはプラスの傾向が続いているため
- ただし他にパフォーマンスに優れる高配当ETFがある中、「なぜQYLDを選ぶのか」が自分の中で明確になっているかは重要
です。
これについては以下↓に続いていきます。
投資判断のポイント3点~高分配(=高配当金)だけに注目してはいけない
QYLDに投資するかを検討する時のポイントは次の3点になりそうです。
- NASDAQ100の値上がり益を捨てる部分に納得できているか
- QQQに投資した方がトータルリターンはよっぽど良い可能性が高いが、その上であえてこちらを買うことに自分が納得できているか
- キャピタルロスを許容できるか
- 仕組みが複雑で、理解度によっては予期せぬことが起きる可能性を受けいれられるか
高利回りを享受する代償として、この3点を「自分なりに受けいれられるかどうか」という点が非常に重要であるように感じます。
また「投資をするなら資産の10%程度を上限とした方が良い」という指摘が多いことにも留意したいところです。
(2023年1月追加)QYLDよりも2865を要チェック
QYLDへの投資を検討している方に情報提供です。
東証版のQYLDが2022年9月末に設定されています。
「2865 グローバルX NASDAQ100・カバード・コール」です。
まだ設定から間もなく、値動きや分配金推移に未知の部分が多いため慎重さも必要ですが、QYLDへの投資を検討する場合はこちらも候補に入れると良いと思います。
東証上場ETFのため、QYLDへ投資するのと比べて、ドルを用意するための為替手数料が不要であったり、売買手数料面で有利なことが期待できます。
QYLDが気になる方へおすすめの米国株情報源2選
QYLDが気になりこの記事をここまで読んでくださった方なら、きっと米国株の高配当投資に関心が強いかと思います。
ここで米国株の高配当投資に役立つ情報源を2つご紹介します。
❶米国株情報アプリ「moomoo証券」

高配当株や米国のマーケットについて調べるために、色々なサイトを見て回るのが大変
という時に便利なのが、米国株情報アプリ「moomoo証券」(ムームー)です。
「聞いたことがない」と思われたかもしれませんが、米国のNASDAQに上場するFUTU(フツ・ホールディングス)による次世代金融情報アプリです。
名前に証券とついていますが、あくまで「金融情報アプリ」であり口座等はありません。
無料にもかかわらず、アプリ一つで米国株の詳しい情報を簡単に調べられるため気に入っています。
ポイントは次のとおり。
❶無料で、アプリの評価も高い
❷配当利回りランキングで高配当銘柄を簡単に探せる
❸テクニカル分析(弱気~強気シグナル)など個別銘柄の売買タイミングを考えるためのデータが多い
❹個別銘柄の決算データ(売上高、営業利益、EPSや配当金の推移など)を簡単に確認できる
❺DOW JONESなどのニュースが読め、マーケットの動向を掴みやすい
❻NASDAQ上場企業によるアプリであり安心して使える
アプリを使う際にはアカウントを作る必要がありますが、メールアドレスのみで作れるため個人情報が気になる人でも安心です。




私自身も利用していますが、米国高配当株を選好する方には情報源の一つとして便利ですよ。
気になった銘柄についてしっかり調べた後に投資をすれば、相場が急変した時に焦って売り急ぐことを避けやすくなります。
とはいえ、調べるのにあまり時間をとられたくないというのが本音ではないでしょうか。
moomooを使えばアプリ一つで「詳細な銘柄分析をラクに」できますよ。
❷無料レポートで「強い米国株25銘柄」を知る

色々な高配当銘柄を知っておきたいのに、どうやって調べたら良いかわからない
という時に便利なのが
Weiss Ratingsです。
米国で50年以上の歴史を有する投資格付機関。
無料レポートやメールマガジンで米国株について情報を集められます。
ポイントは次のとおり。
❶今なら『最高ランク米国株トップ25銘柄』というレポートを無料ですぐに読める
▶1万銘柄以上から選ばれたトップ0.1%の「強い米国株」
▶レポートで紹介される銘柄は時々変わるため、今の25銘柄は今しか知ることができない
❷25銘柄には米国高配当株&米国グロース株のそれぞれがバランスよく含まれている
❸日本で生活しているだけではよほど知ることができない銘柄が多い
❹メールアドレスの登録のみで読める
▶私用のアドレスを登録するのに抵抗感があれば、適当なフリーアドレスでも大丈夫
❺毎回メールマガジンの最後に配信停止のリンクも載っているので、合わなければすぐに登録を解除できる
私は米国の高配当株についてそれなりに知っているつもりでしたが、レポートでは初めて見る銘柄ばかりでした。
高配当株投資をするなら「より多くの高配当株を知っておきたい」という人が多いと思います。
ですが0から米国の個別銘柄を探すのはやはり大変。
無料レポート『最高ランク米国株トップ25銘柄』を読めば、なかなか自力ではたどり着けなかった高配当株を見つけられるはずです。
雑感
私がQYLDを知ったばかりの頃は、驚異的な利回りの高さから「なんだか怪しいETFが話題になってるんだな」ぐらいの感想しか持っていませんでした。
しかし利回りの高さがどうしても気になり、しばらくウォッチリストに入れて値動きなどを観察。
すると思ったほど値動きの幅は大きくありませんでした(当時)。
それで常時高利回りが得られるのなら「投資する価値があるかもしれない」と調べたのが本記事の作成経緯です。
私の結論としては「10~50万円の範囲内でとりあえず保有してみる」です。
以前QYLDと同じようにして気になったものにBDC銘柄のARCC(エイリスキャピタル)がありました。気になってずっと見ているばかりなのもどうかと思い少額購入してみたのですが、やはり実際に保有することで自分の考えが固まるという部分がありました。
非常に魅力的に見えていたけど、いざ保有してみると「自分には合わない」とわかったのです。
ARCCは「保有していても暴落が怖くて強い気持ちでホールドできない」との結論に至り売却しました。それからはBDC銘柄を一定の距離感を保って見られるようになりました。
今時点ではQYLDの利回りの高さにかなり魅かれてしまっています。
一方で自分の中に「よくわからないものに手を出さない方が良い」という声も確かにあります。
結論が出ないため「迷っているならまず保有してみて自分がどう感じるかを見定めればよい」という判断になりました。
「とりあえず10~50万円の範囲内で投資をしてみて、不安になるようであれば早めに売却してしまう」。先述のデメリットは受け入れた上で、この方針で行こうと思います。
(2023年1月追記)
この記事の作成後である2021年11月に、実際にQYLDへ約10万円分投資しています。
「米国株の連続増配銘柄」を探すのに苦労したことはありませんか?
マネックス証券の銘柄分析ツール「銘柄スカウター」を使うと連続増配株を簡単に探すことができます。

✓スクリーニング条件に「連続増配年数」がある(貴重!)
✓利用料は無料
✓マネックス証券に口座開設している人のみ使える

私は楽天証券をメイン口座としていますが、「銘柄スカウターを使いたい」という理由だけでマネックス証券に新たに口座を開設しました。
連続増配株を探すのは大変です。
連続増配株を探すためにウェブサイトを何時間も調べた経験があるなら、素直にマネックス証券で「銘柄スカウター」を使った方が良いかもしれません。
「口座開設は手間だ」と感じると思いますが、最短5分ほどで申込みできすぐに銘柄スカウターを使えるため、ウェブサイトを回るよりもかえって時間を無駄にしないと思います。
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