2023年3月追記
高分配ETFとして人気のJEPIについて、
- メリット・デメリット
- 他の高配当銘柄(VYM、ARCC、QYLD、XYLD)とのトータルリターン比較
- 将来性
などを調べたので、その結果をまとめています。
- JEPIが気になっている
- JEPIの高利回りが魅力的だけど何かひっかかるものがある
- JEPIと高配当銘柄の比較を見て、投資するか考えたい
このような人の参考になればうれしいです。

私自身は、高配当株投資による経済的自立を目指しています
JEPIは高分配ETFとして人気のQYLDについて調べていた際に知った銘柄です。高分配が気になりましたが、何か怪しさも同時に感じて手を出さずにいました。設定からそれほど時間が経っておらず、実績から良し悪しを判断しにくかったということもあります。
それでも、興味がずっと続いたので、色々なサイトを調べてみました。その結果をまとめた内容となります。
先にポイントだけまとめておきます。
- 分配利回り → 11.68% *2023年1月13日時点
- メリット
- 高利回り、毎月分配、インカムとキャピタルの両取りを狙える
- デメリット
- 設定日が2020年5月と新しく、実績や市場暴落場面での値動きなどが十分に蓄積されていないため、今後の動向を想定しにくい
- トータルリターン
- ARCC > VYM > JEPI > XYLD > QYLD
- 将来性
- 株価 → 米国市場が上昇するなら値上がりが期待できそう
- 分配金 → 概ね安定的に推移しそう
↓この記事の作成後、とりあえず実際に保有してみようということでJEPIを約10万円分購入しています(同じく高分配ETFのQYLDも同時購入)


↓JEPIと同じく高分配ETFとして人気のQYLDを比較した記事もあります
高分配ETF「JEPI」の基本情報や株価チャートなど
JEPIの基本情報
ティッカー | JEPI |
名称 | JPモルガン・米国株式・ プレミアム・インカムETF |
運用会社 | J.P.モルガン・アセット・マネジメント |
設定日 | 2020年5月20日 |
主要取引所 | NYSE |
株価 | 55.56ドル |
経費率 | 0.35% |
分配利回り | 11.68% |
分配頻度 | 毎月分配 |
*JEPIはELNという仕組債を部分的に利用することでインカムを追求しています。JEPIの具体的な構成やELNについては煩雑になるためここでは触れません。JEPIへ投資することを真剣に考えている方は、是非その仕組みを調べ、理解した上で検討してください。
JEPIの株価チャート

2020年5月の設定~2023年1月上旬までの株価推移です。
設定から2021年終わり頃にかけて上昇した後、2022年からの米国株式市場の下落と一緒に下げています。
直近では、やや値を戻しつつあるというところでしょうか。
分配金(配当金)の推移 *2022年の場合
月日 | 分配金/株 | 円換算 (1ドル=130円) | 10万円分(12株)保有なら *2022年初JEPI$62.91 |
---|---|---|---|
1/4 | $0.459 | 59円 | 708円 |
2/4 | $0.382 | 49円 | 588円 |
3/4 | $0.462 | 60円 | 720円 |
4/6 | $0.588 | 76円 | 912円 |
5/5 | $0.468 | 60円 | 720円 |
6/6 | $0.516 | 67円 | 804円 |
7/7 | $0.621 | 80円 | 960円 |
8/4 | $0.495 | 64円 | 768円 |
9/7 | $0.559 | 72円 | 864円 |
10/6 | $0.481 | 62円 | 744円 |
11/4 | $0.606 | 78円 | 936円 |
12/6 | $0.610 | 79円 | 948円 |
合計 | $6.247 | 806円 | 9,672円 |
JEPIの2022年の分配金の推移です。
最も少ない時で$0.382(2月)、最も多い時で$0.621(7月)です。
最少額の時は最高額の時のおよそ61%です。分配金は月によってそれなりの振れ幅があるということには留意しておきたいですね。
ちなみに2022年の年初にJEPIへ約10万円分投資をしていたとすると、年間で9,700円弱の分配金が得られたという概算になります。
*為替を1ドル=130円という仮定で計算しているので実際には多少の誤差があります
ただし、株価は2022年初に$62.91だったのが、年末には$54.49まで下落しています。約13%の下落です。JEPIへ投資するか考える際は、分配金だけでなく株価がどうかも含めて考えましょう。
JEPIに投資するメリット5点
JEPIに投資するメリットについて、運用会社であるJ.P.モルガン・アセット・マネジメントのホームページからその他のサイトまで色々調べてみました。
そのメリットは概ね次の5点にまとめられます。
- 高利回り(概ね7%前後)
- 毎月分配
- インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙える
- S&P500よりも低ボラティリティ
- トータルリターンは高分配ETFとして人気のQYLDよりは高いことが期待できる
高利回り・毎月分配という点は、同じく高分配ETFとして人気のQYLDと共通するメリットです。そしてJEPIの場合は、QYLDと違ってキャピタルゲインも狙いやすいという点は一つ大きなメリットといえそうです。
(2023年1月追記)
2023年1月13日時点のJEPIの分配利回りは、2022年の相場低迷の影響を受けて株価が下がったことで、11.68%まで高まっています。

QYLD(同利回り13.74%)ほどではないにせよ、十分魅力的な水準です
JEPIに投資するデメリット・リスク5点
次にJEPIに投資するデメリット・リスクについてです。
こちらは、次の5点が主だったものでした。
- 設定から日が浅く過去のデータや傾向をつかみにくい ※特に暴落局面
- S&P500よりもトータルリターンは劣る
- オプション部分の理解が難しく「よくわからないものには投資をするな」という格言に反する可能性がある
- 分配金の推移はブレがやや大きい(2021年は前年からの減少が目立つ)
- 連続増配ではない
特に1点目に挙げた「設定から日が浅く過去のデータや傾向をつかみにくい」という点には気をつけておきたいですね。
- リーマンショックやコロナショックのような暴落が次に来た時、どういった値動きをするか
- 分配金は今後も安定的に推移しそうかどうか
この辺りの目線は持っておいた方が良さそうです。
JEPIと高配当銘柄(VYM、ARCC、QYLD、XYLD)のトータルリターン比較
さて、JEPIは実際のところ他の高配当銘柄と比較してどうなのでしょうか。
ここでは、「JEPI vs VYM、ARCC、QYLD、XYLD」という形で、配当込みのトータルリターンを比較してみます。
JEPI < VYM < ARCC


↑のチャートは、
- JEPI
- 高配当株ETFの代表格”VYM”
- 高配当のBDC銘柄として人気の”ARCC(エイリス・キャピタル)”
の配当込みのトータルリターンを、JEPIの設定以後から比較したものです。
結果は、パフォーマンスの良い順に「 ARCC > VYM > JEPI 」となりました。
QYLD < XYLD < JEPI


↑のチャートは、
- JEPI
- 人気の高分配ETF”QYLD”(対象指数NASDAQ100)
- 人気の高分配ETF”XYLD”(対象指数S&P500)
の配当込みのトータルリターンを、JEPIの設定以後から比較したものです。
結果は、パフォーマンスの良い順に「 JEPI > XYLD > QYLD 」となりました。
上記2つのパターンによる比較結果について、
- JEPIの設定から日が浅いこと
- 2022年の下落相場は特にQYLDに対して逆風が強かったこと
という点は考慮が必要ですが、参考になる部分もあるでしょう。
JEPIの将来性を過去推移から考えてみる
ここでは、JEPIの将来性について、株価と分配金の過去推移から考えてみます。
JEPIのこれまでの株価推移

これまでの株価推移から考えられることは、
- コロナショック後に設定された銘柄であり、暴落時の値動きは不明
- 米国株が好調だった2021年は順調に株価も上昇
- 相場が低迷した2022年はJEPIの株価も下落
- 2022年終盤頃から相場の持ち直しに合わせてJEPIも回復傾向
です。
まとめると、「暴落時の値動きには注意が必要だが、米国株相場が上昇するならJEPIの値上がりも期待できそう」です。
JEPIの分配金推移

JEPIの分配金推移をみると、「1口0.4$/月ほどで前後しており、少なくともこれまでのところは安定的」といえそうです。
(2023年3月追記)
楽天証券から閲覧可能な『バロンズ・ダイジェスト(2023/2/19)』に、ファンド運用者の言葉として
「2022年はボラティリティーの高い相場であったためJEPIの利回りが11%と高かったが、長期平均は7~9%程度」
という記述があります。
平均7~9%でも十分に高利回りですが、2022年のような高い分配利回りは稀であるという認識を持っておいた方が良さそうです。
JEPIの将来性
JEPIの株価推移と分配金推移を見てきましたが、過去推移からJEPIの将来性を考察すると、
- 株価
- 米国市場にある程度連動して値上がりも値下がりもしそう
- 分配金
- 多少の上下はあるものの、ならしてみれば安定的に推移しそう
- 2022年の11%程度という利回りは稀で、長期平均は7~9%という目線が無難
といえそうです。
*くどいようですが、設定からそれほど経っていないため、実績が十分に積み上がっていないことには注意しましょう
投資判断のポイント4点
JEPIに投資するか否かを検討する時のポイントは、次の4点を自分がどう判断するかということになります。
- キャピタルとインカムの両取りが狙えるとのことだが、S&P500よりもキャピタルは劣り、QYLDよりもインカムは劣るということでやや中途半端な感がある
- S&P500の値上がり益部分を多少放棄する一方で、インカムを多めにもらいたい場合の選択肢となりうる
- 設定から日が浅くどういう値動き・分配金推移となるか予想しにくい
- トータルリターンでは素直にS&P500へ投資した方が優れるため、それでもなおJEPIに投資をするだけの理由を自分の中で答えられるか
以上の観点に納得した上でJEPIに投資をするという場合、個人的にはサテライトとしての投資が良いのではないかと考えています。
コアにはトータルリターンに優れるS&P500連動のインデックスファンドを据え、トッピングとしてJEPIを保有するといったイメージです。
(2023年1月追記)
実際、私はこの記事の作成後に約10万円をJEPIに新規投資しました。
- 投資額に対する受取分配金の程度
- 日々の値動き
- JEPIを保有することを自分がどう感じるか
これらが実際に保有することでよく分かるようになりました。
どうしてもJEPIが気になるという方は、まずは控えめな金額で投資をして、自分がこの銘柄をどのように思うか試してみてはいかがでしょうか。
雑感
JEPIはQYLDについて調べていた際に、関連して新たに発見したETFです。当初は購入ありきで調べ始めたのですが、結果かなり悩んでいます。
そもそもまだ新しいETFのため情報が少ないのです。そして仕組みを完全に理解していないオプション部分もあることから、「よくわかっていないこの銘柄に投資して本当にいいのか?やめた方が良いのでは?」という自分の内なる声も聞こえてきます。
私なりの落としどころとしては、やはりQYLDと同じように「とりあえず10~50万円の範囲内で投資をしてみて、不安になるようであれば早めに売却してしまう」というところです。投資をせずにこの先気にし続けるのも嫌なので、「保有してみることで自分が実際にどう感じるか」という点を重視しようかと思います。
(2023年1月追記)
この記事を作成した後、2021年11月に実際にJEPIに約10万円分の新規投資を実行。さらにその後、額を増やして追加投資をしています。
JEPIが気になる方へおすすめの情報源
JEPIが気になりこの記事をここまで読んでくださった方なら、きっと米国の高配当株に関心が強いかと思います。
米国の高配当株投資をする時に、
- 色々な高配当銘柄を知っておきたいのに、どうやって調べたらよいかわからない
- 優良な高配当銘柄をたくさん知っていた方が、投資が楽しい
- 自分だけでは見つけられないような銘柄で、ポートフォリオの分散性を高めたい
そう考えることも多いのではないでしょうか。
私自身、色んなサイトや、バロンズダイジェスト(楽天証券経由)を見て調べていますが、一つ便利に感じている情報源があります。
オックスフォードクラブのライセンスを受けた日本企業が運営している無料のメールマガジンで、主に米国の配当株投資について情報を提供してくれます。
無料なのに、なかなか良い情報を提供してくれるので気に入っています。
ポイントは次のとおりです。
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- 実際に、私はこのレポートを読んで、6銘柄のうちの1銘柄へ新規投資を実行
- 知らなかった優良な米国高配当銘柄を知ることができる
- 米国の業界動向がわかる
- 下落相場への対処方法がわかる
- メールアドレスの登録のみでほぼ毎日メールマガジンが読める
- 私用のアドレスを登録するのに抵抗感があれば、適当なフリーアドレスでも大丈夫
- 毎回メールの最後に配信停止のリンクも載っているので、合わなければすぐに登録を解除できる
私自身も登録していますが、米国高配当株を選好する方には情報源の一つとして便利ですよ。
この機会を逃さず、是非より良い投資判断をするためのきっかけにしてください。
より多くの選択肢を知った上で米国高配当株投資を楽しみましょう。
詳細は↓の記事にも書いてあります。気になる方は読んでみてください。
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