2023年9月更新
本ブログ記事では、高分配ETFとして人気のJEPIについて、
- メリット・デメリット
- 他の高配当銘柄(VYM、ARCC、QYLD、XYLD)とのトータルリターン比較
- 将来性
などを調べたので、その結果をまとめています。
- JEPIが気になっている
- JEPIの高利回りが魅力的だけど何かひっかかるものがある
- JEPIと高配当銘柄の比較を見て、投資するか考えたい
このような人の参考になればうれしいです。

私自身は、高配当株投資による経済的自立を目指しています
JEPIは高分配ETFとして人気のQYLDについて調べていた際に知った銘柄です。高分配が気になりましたが、怪しさも同時に感じて手を出さずにいました。設定からそれほど時間が経っておらず、実績から良し悪しを判断しにくかったということもあります。
それでも興味がずっと続いたので、色々なサイトを調べてみました。その結果をまとめた内容となります。
先にポイントだけまとめておきます。
- 分配利回り → 10.03% *2023年9月8日時点
- メリット
- 高利回り
- 毎月分配
- インカムとキャピタルの両取りを狙える
- デメリット
- 設定日が2020年5月と新しく、実績や市場暴落場面での値動きなどが十分に蓄積されていないため、今後の動向を想定しにくい
- トータルリターン
- パフォーマンスの良い順に「S&P500、VYM、JEPI、XYLD、QYLD」
- 将来性
- 株価 → S&P500にある程度は連動して上下しそう
- 分配金 → ならして見れば安定的に推移しそうだが、波はある
↓この記事の作成後、とりあえず実際に保有してみようということでJEPIを約10万円分購入しています(同じく高分配ETFのQYLDも同時購入)


↓JEPIと同じく高分配ETFとして人気のQYLDを比較した記事もあります
高分配ETF「JEPI」の基本情報や株価チャートなど
JEPIの基本情報
ティッカー | JEPI |
名称 | JPモルガン・米国株式・ プレミアム・インカムETF |
運用会社 | J.P.モルガン・アセット・マネジメント |
設定日 | 2020年5月20日 |
主要取引所 | NYSE |
株価 | 55.18ドル |
経費率 | 0.35% |
分配利回り | 10.03% |
ベータ | 0.62 |
分配頻度 | 毎月分配 |
✓JEPIの設定は2020年と比較的新しいETF
✓経費率は0.35%であり、アクティブファンドとしては低い方
✓最大の特徴は「毎月分配かつ高配当」
*JEPIはELNという仕組債を部分的に利用することでインカムを追求しています。JEPIの具体的な構成やELNについては煩雑になるためここでは触れません。JEPIへ投資することを真剣に考えている方は、是非その仕組みを調べ、理解した上で検討してください
JEPIの株価チャート:2023年は横ばい

2020年5月の設定~2023年9月上旬までの株価推移です。
「設定から2021年終わり頃にかけて上昇」した後、「2022年からの米国株相場の下落と一緒に下げ」ています。
2023年は底からはやや持ち直したものの、概ね「横這い」で推移しています。
JEPIの分配金推移(設定来):年によりまちまち

JEPIの設定来の分配金推移です。
2021年12月は月初と月末に2度分配金が出ており、代わりに翌2022年1月が0円となっています
0.2ドル台の時もあれば0.6ドル台の時もあり、「2倍以上の差」があることも。
2022年は平均的に分配金が多い年でしたが、2023年は漸減傾向でしょうか。
後述しますが、2022年に分配金が多かったのは米国株市場のボラティリティが高かったためで、やや特殊な期間として考えておいた方が良さそうです。
JEPIを10万円分保有するとどのような感じか *2022年の場合
月日 | 分配金/株 | 円換算 (1ドル=130円) | 10万円分(12株)保有なら *2022年初JEPI$62.91 |
---|---|---|---|
1/4 | $0.459 | 59円 | 708円 |
2/4 | $0.382 | 49円 | 588円 |
3/4 | $0.462 | 60円 | 720円 |
4/6 | $0.588 | 76円 | 912円 |
5/5 | $0.468 | 60円 | 720円 |
6/6 | $0.516 | 67円 | 804円 |
7/7 | $0.621 | 80円 | 960円 |
8/4 | $0.495 | 64円 | 768円 |
9/7 | $0.559 | 72円 | 864円 |
10/6 | $0.481 | 62円 | 744円 |
11/4 | $0.606 | 78円 | 936円 |
12/6 | $0.610 | 79円 | 948円 |
合計 | $6.247 | 806円 | 9,672円 |
高分配で注目を集めるJEPIですが、「実際に保有するとどの程度の分配金がもらえる」のか。
2022年の1年間で、簡単なシミュレーションをしてみました。
↑の表のように、2022年の年初にJEPIへ約10万円分投資をしていたとすると、年間で9,700円弱の分配金が得られたという概算になります。
*為替を1ドル=130円という仮定で計算しているので実際には多少の誤差があります
ただし、株価は2022年初に$62.91だったのが、年末には$54.49まで下落しています。約13%の下落です。JEPIへ投資するか考える際は、分配金だけでなく株価がどうかも含めてトータルで考えた方が良いでしょう
JEPIに投資するメリット5点
JEPIに投資するメリットについて、運用会社であるJ.P.モルガン・アセット・マネジメントのホームページからその他のサイトまで色々調べてみました。
そのメリットは概ね次の5点にまとめられます。
- 高利回り(概ね7%前後)
- 毎月分配
- インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙える
- S&P500よりも低ボラティリティ
- トータルリターンは高分配ETFとして人気のQYLDよりは高いことが期待できる
高利回り・毎月分配という点は、同じく高分配ETFとして人気のQYLDと共通するメリットです。そしてJEPIの場合は、QYLDと違ってキャピタルゲインも狙いやすいという点は一つ大きなメリットといえそうです。
(2023年9月追記)
2023年9月8日時点のJEPIの分配利回りは、2022年の相場低迷の影響を受けて株価が下がったことで10.03%と高水準になっています。

QYLD(同利回り12.06%)ほどではないにせよ、十分魅力的な水準です
JEPIに投資するデメリット・リスク5点
次にJEPIに投資するデメリット・リスクについてです。
こちらは、次の5点が主だったものでした。
- 設定から日が浅く過去のデータや傾向をつかみにくい ※特に暴落局面
- S&P500よりもトータルリターンは劣る
- オプション部分の理解が難しく「よくわからないものには投資をするな」という格言に反する可能性がある
- 分配金の推移はブレがやや大きい(2023年は前年からの減少が目立つ)
- 連続増配ではない
特に1点目に挙げた「設定から日が浅く過去のデータや傾向をつかみにくい」という点には気をつけておきたいですね。
- リーマンショックやコロナショックのような暴落が次に来た時、どういった値動きをするか
- 分配金は今後も安定的に推移しそうかどうか
この辺りの目線は持っておいた方が良さそうです。
JEPIと主要ETF(S&P500、VYM、QYLD、XYLD)のトータルリターン比較
さて、JEPIは実際のところ他の主要なETFと比較してどうなのでしょうか。
ここでは、「JEPI vs S&P500、VYM、QYLD、XYLD」という形で、配当込みのトータルリターンを比較してみます。
先に結果を書いておくと、パフォーマンスの良い順に
❶S&P500(VOO)
❷VYM
❸JEPI
❹XYLD
❺QYLD
です。
以下順に見ていきましょう。
JEPIよりもVYM、VYMよりもS&P500の方がリターンは高い

↑のチャートは、
- S&P500連動のメジャーなETF ”VOO”
- 高配当株ETFの代表格”VYM”
- JEPI
の配当込みのトータルリターンを、JEPIの設定以後(2020年6月)から比較したものです。
結果は、パフォーマンスの良い順に「 S&P500(VOO)、VYM、JEPI 」となりました。
概ねどの時期もJEPIは3番目に位置していますが、際立ってパフォーマンスが悪いということもないですね。
QYLDよりもXYLD、XYLDよりもJEPIの方がリターンは高い

↑のチャートは、
- JEPI
- 人気の高分配ETF ”XYLD”(対象指数S&P500)
- 人気の高分配ETF ”QYLD”(対象指数NASDAQ100)
の配当込みのトータルリターンを、JEPIの設定以後から比較したものです。
結果は、パフォーマンスの良い順に「 JEPI、XYLD、QYLD 」となりました。
毎月分配の高分配ETFとしては、JEPIのパフォーマンスは良好なようです。
トータルリターン比較の結果:S&P500>VYM>JEPI>XYLD>QYLD
あらためて比較の結果をまとめると、パフォーマンスの良い順に
❶S&P500(VOO)
❷VYM
❸JEPI
❹XYLD
❺QYLD
でした。
ただし上記の比較結果については、
- JEPIの設定から日が浅いこと(3年ちょっと)
- 2022年の下落相場は特にQYLD(対象指数:NASDAQ100)に対して逆風が強かったこと
の2点に留意しておきたいですね。
JEPIの将来性を過去推移から考えてみる
ここでは、JEPIの将来性について、株価と分配金の過去推移から考えてみます。
JEPIのこれまでの株価推移

これまでの株価推移から考えられることは、
- コロナショック後に設定された銘柄であり、暴落時の値動きは不明
- 米国株が好調だった2021年は順調に株価も上昇
- 相場が低迷した2022年はJEPIの株価も下落
- 2022年終盤頃から相場の持ち直しに合わせてJEPIも回復傾向
- 2023年は好調なS&P500とは対照的にJEPIは横這い
です。
まとめると、JEPIの「株価推移の将来性」は
暴落時の値動きは想定しづらく、注意が必要
ある程度はS&P500と連動して上下するものの、まだ不透明な部分も多い
といえそうです。
JEPIの分配金推移からその将来性を考える

JEPIの分配金推移をみると、「1口0.4$/月ほどで前後しているが、波も多少ある」といえそうです。
「波がある」というのは分配金が平均的に多かった2022年と、そうでない2021年&2023年からよくわかります。
この点については↓が参考になると思います。
(2023年3月追記)
楽天証券から閲覧可能な『バロンズ・ダイジェスト(2023/2/19)』に、ファンド運用者の言葉として
「2022年はボラティリティーの高い相場であったためJEPIの利回りが11%と高かったが、長期平均は7~9%程度」
という記述があります。
平均7~9%でも十分に高利回りですが、2022年のような高い分配利回りは稀であるという認識を持っておいた方が良さそうです。
JEPIの将来性
JEPIの株価推移と分配金推移を見てきましたが、過去推移からJEPIの将来性を考察すると、
- 株価
- 米国市場にある程度連動して値上がりも値下がりもしそう
- 分配金
- ならして見れば安定的に推移しそうだが、波はある
- 2022年の11%程度という利回りは稀で、長期平均は7~9%という目線が無難
といえそうです。
*くどいようですが、設定からそれほど経っていないため、実績が十分に積み上がっていないことには注意しましょう
投資判断のポイント4点
JEPIに投資するか否かを検討する時のポイントは、次の4点を自分がどう判断するかということになります。
- キャピタルとインカムの両取りが狙えるとのことだが、S&P500よりもキャピタルは劣り、QYLDよりもインカムは劣るということでやや中途半端な感がある
- S&P500の値上がり益部分を多少放棄する一方で、インカムを多めにもらいたい場合の選択肢となりうる
- 設定から日が浅くどういう値動き・分配金推移となるか予想しにくい
- トータルリターンでは素直にS&P500へ投資した方が優れるため、それでもなおJEPIに投資をするだけの理由を自分の中で答えられるか
以上の観点に納得した上でJEPIに投資をするという場合、個人的にはサテライトとしての投資が良いのではないかと考えています。
コアにはトータルリターンに優れるS&P500連動のインデックスファンドを据え、トッピングとしてJEPIを保有するといったイメージです。
(2023年1月追記)
実際、私はこの記事の作成後に約10万円をJEPIに新規投資しました。
- 投資額に対する受取分配金の程度
- 日々の値動き
- JEPIを保有することを自分がどう感じるか
これらが実際に保有することでよく分かるようになりました。
どうしてもJEPIが気になるという方は、まずは控えめな金額で投資をして、自分がこの銘柄をどのように思うか試してみてはいかがでしょうか。
JEPIが気になる方へおすすめの米国株情報源2選
JEPIが気になりこの記事をここまで読んでくださった方なら、きっと米国株の高配当投資に関心が強いかと思います。
ここで米国株の高配当投資に役立つ情報源を2つご紹介します。
❶無料レポートで「強い米国株25銘柄」を知る
「色々な高配当銘柄を知っておきたいのに、どうやって調べたらよいかわからない」
という時に便利なのが
Weiss Ratingsです。
米国で50年以上の歴史を有する投資格付機関。
無料レポートやメールマガジンで米国株について情報を集められます。
ポイントは次のとおり。
❶今なら「最高ランク米国株トップ25銘柄」というレポートを無料ですぐに読める
▶1万銘柄以上から選ばれたトップ0.1%の「強い米国株」
▶レポートで紹介される銘柄は時々変わるため、今の25銘柄は今しか知ることができない
❷25銘柄には米国高配当株&米国グロース株のそれぞれがバランスよく含まれている
❸日本で生活しているだけではよほど知ることができない銘柄が多い
❹メールアドレスの登録のみで良い
▶私用のアドレスを登録するのに抵抗感があれば、適当なフリーアドレスでも大丈夫
❺毎回メールの最後に配信停止のリンクも載っているので、合わなければすぐに登録を解除できる
高配当投資家なら「こんな良い銘柄があるならもっと早く知りたかった」と悔しく感じた経験もよくあるのではないでしょうか。
また、「より多くの選択肢から自分好みの銘柄を選ぶこと」は高配当投資家の楽しみの一つですよね。
無料で読めるレポートなので、気軽に読んでみると新たな発見があるかもしれません。
❷米国株情報アプリ「moomoo証券」
「高配当株や米国のマーケットについて調べるために、色々なサイトを見て回るのが大変」
という時に便利なのが、米国株情報アプリ「moomoo証券」(ムームー)です。
「聞いたことがない」と思われたかもしれませんが、あのNASDAQに上場するFUTU(フツ・ホールディングス)による次世代金融情報アプリです。
名前に証券とついていますが、あくまで「金融情報アプリ」であり口座等はありません。
無料にもかかわらず、アプリ一つで米国株の詳しい情報を簡単に調べられるため気に入っています。
ポイントは次のとおり。
❶無料で、アプリの評価も高い
❷配当利回りランキングで高配当銘柄を簡単に探せる
❸テクニカル分析(弱気~強気シグナル)など個別銘柄の売買タイミングを考えるためのデータが多い
❹個別銘柄の決算データ(売上高、営業利益、EPSや配当金の推移など)を簡単に確認できる
❺DOW JONESなどのニュースが読め、マーケットの動向を掴みやすい
❻NASDAQ上場企業によるアプリであり安心して使える
アプリを使う際にはアカウントを作る必要がありますが、メールアドレスのみで作れるため個人情報が気になる人でも安心です。




私自身も利用していますが、米国高配当株を選好する方には情報源の一つとして便利ですよ。
高配当投資家なら「なんであんなタイミングで投資してしまったんだろう」と悔しく感じた経験もよくあるのではないでしょうか。
また、「米国株の情報を集めるのに色々なサイトを回るのは大変」と感じることも多いでしょう。
良ければ、moomooも便利な金融情報アプリとして活用してみてください。
まとめ:JEPIへの投資は「自分の投資スタイル」との相性次第
最後にあらためてポイントだけまとめておきます。
- 分配利回り → 10.03% *2023年9月8日時点
- メリット
- 高利回り
- 毎月分配
- インカムとキャピタルの両取りを狙える
- デメリット
- 設定日が2020年5月と新しく、実績や市場暴落場面での値動きなどが十分に蓄積されていないため、今後の動向を想定しにくい
- トータルリターン
- パフォーマンスの良い順に「S&P500、VYM、JEPI、XYLD、QYLD」
- 将来性
- 株価 → S&P500にある程度は連動して上下しそう
- 分配金 → ならして見れば安定的に推移しそうだが、波はある
JEPIは「毎月分配&超高利回り」が魅力的なETFですが、メリットもデメリットもあります。
投資を検討する際は「ご自身の投資スタイルに合致するか」どうかをよくよく考えると良さそうですね。
本記事がそれを考える際の参考になれば幸いです。
雑感
JEPIはQYLDについて調べていた際に、関連して新たに発見したETFです。当初は購入ありきで調べ始めたのですが、結果かなり悩んでいます。
そもそもまだ新しいETFのため情報が少ないのです。そして仕組みを完全に理解していないオプション部分もあることから、「よくわかっていないこの銘柄に投資して本当にいいのか?やめた方が良いのでは?」という自分の内なる声も聞こえてきます。
私なりの落としどころとしては、やはりQYLDと同じように「とりあえず10~50万円の範囲内で投資をしてみて、不安になるようであれば早めに売却してしまう」というところです。投資をせずにこの先気にし続けるのも嫌なので、「保有してみることで自分が実際にどう感じるか」という点を重視しようかと思います。
(2023年1月追記)
この記事を作成した後、2021年11月に実際にJEPIに約10万円分の新規投資を実行。さらにその後、額を増やして追加投資をしています。
「米国株の連続増配銘柄」を探すのに苦労したことはありませんか?
マネックス証券の銘柄分析ツール「銘柄スカウター」を使うと連続増配株を簡単に探すことができます。

✓スクリーニング条件に「連続増配年数」がある(貴重!)
✓利用料は無料
✓マネックス証券に口座開設している人のみ使える

私は楽天証券をメイン口座としていますが、「銘柄スカウターを使いたい」という理由だけでマネックス証券に新たに口座を開設しました。
連続増配株を探すのは大変です。
連続増配株を探すためにウェブサイトを何時間も調べた経験があるなら、素直にマネックス証券で「銘柄スカウター」を使った方が良いかもしれません。
「口座開設は手間だ」と感じると思いますが、最短5分ほどで申込みできすぐに銘柄スカウターを使えるため、ウェブサイトを回るよりもかえって時間を無駄にしないと思います。
関連記事
「読んだ意味があった」おすすめの投資本を10冊紹介しています
JEPIと同様の人気を得ている”QYLD”について調べた結果をまとめています
JEPIのNASDAQ100版である”JEPQ”についての分析記事です
JEPIとQYLDを実際に購入した後、両者を保有して感じたメリット・デメリットなどをまとめています
「JEPIでFIRE」はおすすめできないということについて解説しています