S&P500を対象とする「JEPI」とNASDAQ100を対象とする「JEPQ」。
どちらも非常に高い分配利回りの米国ETFですが、実際のところどちらの方が良いのか。
このような疑問から、この記事では「JEPIとJEPQの比較」を様々な観点からしています。
先に結論を書いておくと
✓分散性や純資産総額の大きさ、ボラティリティの低さを重視するなら「JEPI」
✓実績がまだ不十分で安定感も心もとないが、NASDAQ100の強さに賭けるなら「JEPQ」
です。
以下、JEPIとJEPQの
- 基本的な情報
- 構成銘柄
- 分配金
- トータルリターン
を比較した上で、最後に「投資判断のポイント5つ」を考察しています。
JEPIやJEPQへの投資を検討されている方の参考になれば幸いです。
ちなみに私自身は本記事を作成する中でJEPQにかなり惹かれ、もともと保有していたJEPIを一部売却してJEPQを購入しました
JEPIとJEPQの基本の確認:いくつかの違いに注目
まずはJEPIとJEPQの基本的な情報を簡単に確認しておきます。
JEPI | JEPQ | |
---|---|---|
株価 | 54.57$ | 47.88$ |
分配利回り | 7.90% | 9.19% |
純資産総額 | 277億$ | 39億$ |
分配頻度 | 毎月 | 毎月 |
設定日 | 2020.5.20 | 2022.5.3 |
経費率 | 0.35% | 0.35% |
✓株価:一口当たりの株価はJEPQの方が低く、JEPIよりも少額で買える
✓分配利回り:JEPQの方が高利回り
✓純資産総額:JEPIがJEPQのおよそ7倍の大きさ
✓設定日:どちらも新しいETFだがJEPQの方がより新しい
JEPIもJEPQも毎月分配を目指している点、経費率が0.35%とアクティブファンドの中では低い点は共通しています。
一方、JEPQの方が分配利回りが高いものの純資産総額はJEPIよりもかなり小さく、設定から1年ちょっとしか経っていないという点は意識しておきたいですね。
構成銘柄のトップ10:JEPIの方が分散性は高い
続いて、JEPIとJEPQの構成銘柄の上位10を見てみましょう。
No | <JEPI> | 構成割合 | <JEPQ> | 構成割合 |
---|---|---|---|---|
1 | MGMXX | 1.68 | MSFT | 10.88 |
2 | ADBE | 1.66 | AAPL | 9.58 |
3 | MSFT | 1.65 | GOOG | 6.19 |
4 | AMZN | 1.64 | NVDA | 5.70 |
5 | MA | 1.52 | AMZN | 5.69 |
6 | V | 1.44 | META | 3.64 |
7 | CMCSA | 1.44 | TSLA | 3.51 |
8 | PEP | 1.44 | MGMXX | 1.82 |
9 | ACN | 1.43 | AMD | 1.35 |
10 | HSY | 1.43 | NFLX | 1.26 |
*MGMXX=JPモルガン米政府マネー・マーケット・ファンド
JEPIは構成割合1位の銘柄でも1.68%であり、分散性が高いことがわかります。
一方、JEPQは1位のMSFT(マイクロソフト)と2位のAAPL(アップル)の2銘柄だけで20%を占めており、分散性はJEPIと比べて低いです。
「銘柄の分散性に大きな差がある」というのはJEPIとJEPQの違いの1つとして認識しておきたいですね。
JPEIとJEPQの分配金の比較:あまり変わらない
さて、気になる分配金についてです。
JEPQ設定以降の、1口当たりの分配金の推移を見てみます。
↑のグラフは14か月分です。
JEPIの方が分配金が多い月が8回、JEPQの方が分配金が多い月が6回あります。
ここで思い出していただきたいのが、投資額は「JEPQの方が少なくて済む」ことです。
*2023.7.8時点では【JEPI:54.57$】、【JEPQ:47.88$】
✓同程度の分配金が見込めるなら、より少額で買えるJEPQの方が良さそう
このような考え方もあるでしょう。
ただ注意しておきたいのは、JEPQの分配金がJEPIを上回る傾向になったのは、「NASDAQ100が好調さを取り戻した2023年になってから」ということです。
JPEIとJEPQのトータルリターン比較:甲乙つけがたい
ここでは、配当込みのトータルリターンを比較してみます。
JEPQ設定の翌月(2022年6月)以降のJEPIとJEPQのパフォーマンスを比較した結果が↓です。
NASDAQ100が低調だった2022年はJEPIがJEPQをアウトパフォームしていました。
ところが、2023年に入りNASDAQ100が復調するとJEPQのパフォーマンスも改善。
直近では「JEPQがJEPIを上回る結果」となっています。
また1年ちょっとのデータですが、JEPIがなだらかな右肩上がりで安定感がある一方、JEPQはボラティリティがやや高そうという印象も受けますね。
全体的には、現時点では甲乙つけがたいといえそうです。
JEPI vs JEPQ :どちらに投資するかの判断ポイント5つ
ここまでいくつかの観点でJEPIとJEPQを比較してきました。
一概にはどちらの方が良いということは言えなさそうです。
投資判断は、今のところ「次の5点をご自身がどのように考えるか」次第でしょうか。
❶JEPQは設定からまだ1年ちょっとしか経っておらず純資産総額はJEPIよりはるかに小さい
❷JEPIは銘柄の分散性が高いが、JEPQは低い
❸1口当たりの投資額はJEPQの方が低いが、分配金はJEPIと同程度
❹ボラティリティはJEPIの方が低く安定感がありそう
❺JEPIかJEPQかを考えるのは、「S&P500かNASDAQ100か」を考えるのに近そう
大雑把にひっくるめてしまうと、
✓分散性や純資産総額の大きさ、ボラティリティの低さを重視するなら「JEPI」
✓実績がまだ不十分で安定感も心許ないが、NASDAQ100の強さに賭けるなら「JEPQ」
といえるかもしれません。
どうしてもJEPIが気になるという方は、まずは控えめな金額で投資をして、自分がこの銘柄をどのように思うか試してみてはいかがでしょうか。
JEPI、JEPQが気になる方へおすすめの米国株情報源2選
JEPI、JEPQが気になりこの記事をここまで読んでくださった方なら、きっと米国株の高配当投資に関心が強いかと思います。
ここで米国株の高配当投資に役立つ情報源を2つご紹介します。
①投資アプリ「moomoo証券」
高配当株や米国のマーケットについて調べるために、色々なサイトを見て回るのが大変
という時に便利なのが、投資アプリ「moomoo証券」(ムームー)です。
「聞いたことがない」と思ったかもしれませんが、米国のNASDAQに上場するFUTU(フツ・ホールディングス)による投資アプリです。
口座開設していなくても無料で情報収集やツールの利用が可能(スマホ・PCの両方に対応)。
アプリ一つで米国株の詳しい情報を簡単に調べられるため気に入っています。
ポイントは次のとおり。
❶無料で情報集に使え、アプリの評価も高い
❷配当利回りランキングで高配当銘柄を簡単に探せる
❸テクニカル分析(弱気~強気シグナル)など個別銘柄の売買タイミングを考えるためのデータが多い
❹個別銘柄の決算データ(売上高、営業利益、EPSや配当金の推移など)を簡単に確認できる
❺DOW JONESなどのニュースが読め、マーケットの動向を掴みやすい
❻NASDAQ上場企業によるアプリであり安心して使える
アプリを使う際にはアカウントを作る必要がありますが、メールアドレスのみで作れるため個人情報が気になる人でも安心です。
私自身も利用していますが、米国高配当株を選好する方には情報源の一つとして便利ですよ。
気になった銘柄についてしっかり調べた後に投資をすれば、相場が急変した時に焦って売り急ぐことを避けやすくなります。
とはいえ、調べるのにあまり時間をとられたくないというのが本音ではないでしょうか。
moomooを使えばアプリ一つで「詳細な銘柄分析をラクに」できますよ。
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②無料レポートで「強い米国株25銘柄」を知る
色々な高配当銘柄を知っておきたいのに、どうやって調べたら良いかわからない
という時に便利なのが Weiss Ratingsです。
米国で50年以上の歴史を有する投資格付機関。
無料レポートやメールマガジンで米国株について情報を集められます。
ポイントは次のとおり。
❶今なら『最高ランク米国株トップ25銘柄』というレポートを無料ですぐに読める
▶1万銘柄以上から選ばれたトップ0.1%の「強い米国株」
▶レポートで紹介される銘柄は時々変わるため、今の25銘柄は今しか知ることができない
❷25銘柄には米国高配当株&米国グロース株のそれぞれがバランスよく含まれている
❸日本で生活しているだけではよほど知ることができない銘柄が多い
❹メールアドレスの登録のみで読める
▶私用のアドレスを登録するのに抵抗感があれば、適当なフリーアドレスでも大丈夫
❺毎回メールマガジンの最後に配信停止のリンクも載っているので、合わなければすぐに登録を解除できる
私は米国の高配当株についてそれなりに知っているつもりでしたが、レポートでは初めて見る銘柄ばかりでした。
高配当株投資をするなら「より多くの高配当株を知っておきたい」という人が多いと思います。
ですが0から米国の個別銘柄を探すのはやはり大変。
無料レポート『最高ランク米国株トップ25銘柄』を読めば、なかなか自力ではたどり着けなかった高配当株を見つけられるはずです。
電車の中や病院の待合室で暇な時、休日のスキマ時間の読み物としてもちょうど良いと思います。
まとめ:現時点では甲乙つけがたい
この記事では高配当ETFのJEPIとJEPQをいくつかの観点から比較してきました。
現時点でのポイントは
✓分散性や純資産総額の大きさ、ボラティリティの低さを重視するなら「JEPI」
✓実績がまだ不十分で安定感も心もとないが、NASDAQ100の強さに賭けるなら「JEPQ」
という風に整理できそうです。
ただ、どちらのETFもまだ新しくこれからのパフォーマンスをしっかりと見極める必要もあります。
気になるという人はリスク許容度の範囲内で、まずはお試し程度に保有をしてみるというのも一案ではないでしょうか。
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↓2024年から始まった新NISAでは成長投資枠でも「JEPI,JEPQに投資できない」ことについてまとめています。代替案などにもふれているのでぜひ読んでみてください
↓読んで良かった投資本10冊を紹介している記事です。「高配当株投資に必読の1冊」や「米国の個別銘柄を知るのに便利な3冊」を含んでいます
↓JEPIについての銘柄分析記事です。JEPIが気になった人はこちらも読んでみてください
↓JEPQについての銘柄分析記事です。JEPQが気になった人はこちらも読んでみてください
↓「JEPIでFIRE」はおすすめできないという記事です。考えたことがあるという人は理由をチェックしてみてはどうでしょうか
↓JEPIやJEPQと並んで人気の「QYLD」をJEPIと比較した記事です。QYLDはJEPQとはまた少し違った特徴があります
雑感:JEPQへの投資もやや前向きに検討
ここからは雑感、余談です。
私自身はJEPIを保有してしばらく経ちます。
株価の上昇力が若干弱かったり、分配金が意外に不安定といった気になる点はあるものの、やはり高い利回りからまずまず気に入っている銘柄です。
そんなJEPIのNASDAQ100版であるJEPQの存在を知ったのがつい最近。
気になってJEPQそのものを調べてまとめたのが↓の記事です。
ではJEPIとJEPQのどちらが良いのだろうと気になり、色々な観点で比較した結果をまとめたのが本記事になります。
個人的な所感としては、「まだまだ実績不十分で不安要素は残るものの、JEPQにもそれなりの魅力を感じる」というもの。
JEPQのこれからは、NASDAQ100がこれからどうなるか次第とも言えそうです。
- 米国のインフレが想定されていたよりもしつこい
- 2023年後半に米国経済のリセッション入りが予想されている
- FRBによるさらなる利上げがNASDAQ100にはマイナスに作用しうる
- 日銀が金融引締めに動けば円高が進みJEPQの分配金の魅力が低下する
こうしたリスクを念頭に置きつつ、「JEPIを一部売却してJEPQを購入する」ということをしてみようかと思案中です。
特に、最近の傾向である「分配金は同程度なのにJEPQの方が投資額が小さい」という点に魅力を感じているためです。
なお、NASDAQ100関連の超高配当ETFといえばQYLDも知名度が高いですが、私自身はその経費率0.60%という高さが気になって気持ちよく保有できないという理由から、JEPQの方に好印象を抱いています。
このQYLDですが、東証では二重課税調整に対応したETF(2865)が既に上場しています。
しかし、JEPIやJEPQに対応した東証上場ETFはまだありません。
これらが登場すれば、二重課税のデメリットや為替手数料、売買手数料を気にせずにJEPI・JEPQに投資できるようになるためそれを心待ちにしています。
その願いが叶う見込みがいかほどあるかはかなり怪しいため、現状では素直にJEPI・JEPQに投資をするほかありませんね。
【追記】
本記事作成後しばらくして、実際にJEPIを一部売却してJEPQを購入しました。
JEPQの値動きを日々チェックするようになってから、分配金もさることながらキャピタルの強さにも惹かれるものがあったためです。
特に2023年はNASDAQ100が好調なためそれゆえだとは思いますが、今後も相対的にS&P500よりは強いのではないかと期待しています。
「米国株の連続増配銘柄」を探すのに苦労したことはありませんか?
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私は楽天証券をメイン口座としていますが、「銘柄スカウターを使いたい」という理由だけでマネックス証券に新たに口座を開設しました。
連続増配株を探すのは大変です。
連続増配株を探すためにウェブサイトを何時間も調べた経験があるなら、素直にマネックス証券で「銘柄スカウター」を使った方が良いかもしれません。
「口座開設は手間だ」と感じると思いますが、最短5分ほどで申込みできすぐに銘柄スカウターを使えるため、ウェブサイトを回るよりもかえって時間を無駄にしないと思います。