(2023年11月更新)
超高配当が人気の米国ETFに「JEPI」がありますが、その兄弟分として「JEPQ」があるのはご存知でしょうか。
JEPIがS&P500を対象としているのに対し、JEPQはNASDAQ100を対象としています。
私はJEPIのみ保有していますが、JEPQについても以前から気になっていました。
そこで本ブログ記事では、
などを調べてまとめました。
- JEPQが気になっている
- JEPQの高利回りが魅力的だけど何かひっかかるものがある
- JEPQと高配当銘柄の比較を見て、投資するか考えたい
このような人の参考になればうれしいです。
先にポイントだけまとめておきます。
- 分配利回り → 12.08% *2023/11/23時点
- メリット
- 高利回り
- 毎月分配
- インカムとキャピタルの両方を狙える
- デメリット
- 設定が2022年と新しく暴落時の動きなど想定しにくい
- 分配金のブレが大きい
- トータルリターン比較
- リターンの良い順に「QQQ、JEPQ、QYLD、JEPI」
- 比較した4銘柄はいずれもまずまず良好なパフォーマンス
- 将来性
- 株価:「NASDAQが上昇するなら」少し期待できる
- 分配金:「概ね安定的」に推移するか
↓JEPIについての記事もあります
高配当ETF「JEPQ」の概要
JEPQの基本情報:高利回り&毎月分配のETF
ティッカー | JEPQ |
名称 | JPモルガン・ナスダック米国株式・ プレミアム・インカムETF |
運用会社 | J.P.モルガン・アセット・マネジメント |
設定日 | 2022年5月3日 |
主要取引所 | NASDAQ |
株価 | 49.22ドル |
経費率 | 0.35% |
分配利回り | 12.08% |
分配頻度 | 毎月分配 |
✓「米国の大型成長株の保有+オプションの売却」により「株式の配当金+オプションプレミアム」を確保し、これらのインカムを原資として毎月分配を目指すETF
✓運用の狙いは、「NASDAQ100指数よりもボラティリティを抑えつつ、同指数の値上がり益の恩恵を一定程度享受する」こと
JEPQの株価チャート:低迷したが直近は持ち直し
↓のチャートは、JEPQの2022年5月の設定~2023年11月下旬まで(=1年半ほど)の株価推移です。
2022年9月頃から7か月ほど低迷した後、2023年3月から持ち直してきています。
直近では「設定来高値」に迫る勢い。
下落する時はそれなりに下がり、上昇する時は一定の力強さがあるようです。
(追記)
本記事の作成後にJEPQへ投資をしましたが、JEPIと両方を保有していてやはり「JEPQの方が値動きが大きい」ということを実感しています。
JEPQの構成銘柄:6銘柄で34%を占める
JEPQの構成銘柄の上位6つは次のとおり。
企業 | ティッカー | 構成比率 |
---|---|---|
マイクロソフト | MSFT | 8.79% |
アップル | AAPL | 8.52% |
アルファベット | GOOG | 5.06% |
アマゾン | AMZN | 4.91% |
エヌビディア | NVDA | 3.54% |
メタ | META | 3.38% |
いわゆるGAFAM+エヌビディアの6銘柄で34%を占めています。
分散性は決して高くないといえるでしょう。
JEPQの運用資産:増加トレンドが続く
運用資産額は増加トレンドが続いています。
QYLD(76億ドル)とほぼ同じ規模となりました。
QYLDは2013年の設定、JEPQは2022年の設定でまだ1年半しか経っていません。JEPQの人気の高さがうかがえます。
JEPQとNASDAQ100の値動き:ある程度相関
↓のチャートは、ナスダック100指数とJEPQの1年騰落率です。
下落する時は両者同じような動きをしています。
しかし2023年に入ってからの上昇を見ると、「JEPQよりもNASDAQ100の方が上昇幅が大きい」ことが分かります。
JEPQの運用の狙いである「NASDAQ100指数の値上がり益の恩恵を一定程度享受する」の「一定程度」とはこういうことですね。
たしかにNASDAQ100の上昇に合わせてJEPQも値上がりをしますが、その上昇力はNASDAQ100ほどには強くないということです。
JEPQの分配金(配当金)の推移:それなりに振れ幅がある
JEPQの設定来の分配金推移です。
*便宜上、2022/12/29分の分配金を2023/1分として表示しています
最も少ない月で$0.34(2022/7)、最も多い月で$0.681(2022/11)。
最少額の時は最高額の時のおよそ半分です。
分配金は月によってそれなりに振れ幅があることには留意しておきたいですね。
JEPQに投資するメリット5点
JEPQに投資するメリットは主に次の5点です。
- 超高配当(2023年11月時点で約12%)
- 毎月分配
- インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙える
- 少額から投資可能(1口40ドル台)
- アクティブファンドの中では経費率0.35%は良心的
やはり「非常に高い配当利回り」と「毎月分配」が最大の魅力といえます。
経費率が0.35%とアクティブファンドの中では低い方だというのもうれしいですね。
JEPQと同じようにNASDAQ100を対象とする高分配ETF「QYLD」は経費率が0.60%とやや高めです。
JEPQに投資するデメリット・リスク4点
続いてJEPQに投資するデメリット・リスクについてです。
次の4点には注意した方が良いでしょう。
- 設定から日が浅く今後を予想しにくい ※特に暴落局面
- 分配金のブレが案外大きい
- NASDAQ100ほどの株価上昇力はない
- 銘柄分散が弱い
特に1点目に挙げた「設定から日が浅く今後を予想しにくい」という点には気をつけておきたいですね。
- リーマンショックやコロナショックのような暴落が次に来た時、どういった値動きをするか
- 分配金は今後も安定的に推移しそうかどうか
この辺りの目線は持っておいた方が良さそうです。
JEPQは2022年設定と、2020年設定のJEPI以上に過去データがありません。
JEPQのトータルリターン比較(QQQ、JEPI、QYLD)
さて超高配当が魅力のJEPQですが、配当を含めたトータルリターンはどうでしょうか。
ここでは「JEPQ vs QQQ、JEPI、QYLD」という形で、配当込みのトータルリターンを比較してみます。
QQQ > JEPQ > QYLD > JEPI
↑のチャートは、
- NASDAQ100連動の代表的ETF”QQQ”
- JEPQ
- NASDAQ100を対象とした高配当ETF”QYLD”
- JEPQのS&P500版である”JEPI”
の配当込みのトータルリターンを、JEPQの設定以後から比較したものです。
結果は、パフォーマンスの良い順に「 QQQ > JEPQ > QYLD > JEPI 」となりました
ただこのトータルリターン比較はあくまで参考程度に留めた方が良いでしょう。
その理由はJEPQの設定から1年半のデータ比較と、比較期間がかなり短いことです。
現時点のトータルリターン比較から参考にできそうなのは次の2点です。
✓今回比較したJEPQ、QQQ、JEPI、QYLDのいずれも特別にパフォーマンスがひどいものはなさそう
✓比較最終時点で最下位だったJEPIでも、期中ではパフォーマンス1位のタイミングもあり、各銘柄の優劣は時期によって異なる
JEPQの将来性~過去推移からの考察
ここまでJEPQのメリット・デメリット、トータルリターン比較などを見てきましたが、「将来性」はどうでしょうか。
株価と分配金のそれぞれについて過去推移から考察してみます。
先にまとめておくと次のとおりです。
項目 | JEPQの将来性 |
---|---|
株価 | 「NASDAQが上昇するなら」多少期待できる |
分配金 | 「概ね安定的」に推移するか |
株価は「NASDAQが上昇するなら」多少期待できる
↑はNASDAQ100とJEPQの1年騰落率です。
NASDAQ100が低迷していた2022年はJEPQも同じように下落。
NASDAQ100が上昇した2023年は「JEPQもある程度上昇」しています。
JEPQはNASDAQ100ほどの株価上昇力はないものの、ある程度は追随しそうです。
これまでの株価推移からJEPQの将来性を考えると、「NASDAQ100がこれからも成長するならJEPQの株価成長もある程度期待できる」といえるでしょう。
分配金は「概ね安定的」に推移するか
↑はJEPQの設定から2023年11月までの分配金推移です。
多少の凸凹はありますが「増配傾向でも、減配傾向でもない」ということが分かります。
NASDAQ100が低迷した2022年と、復調した2023年の両方を経ての推移です。
これまでの分配金推移から将来性を考察するなら、「今後も概ね安定的な分配金」となることが推測できると思います。
JEPQへの投資判断のポイント4点
JEPQに投資するか検討する時のポイントは、次の4点を自分がどう判断するかということになりそうです。
- キャピタルゲインこそが大きな魅力であるNASDAQ100の、キャピタルゲインをある程度諦める点に納得しているか
- 超高配当を毎月分配で受け取れるが、分配金のブレは案外大きい
- 設定から日が浅くどういう値動き・分配金推移となるか予想しにくい(特に暴落局面)
- 仕組み上、素直にNASDAQ100へ投資した方がトータルリターンは優れることが想定されるが、それでもなおJEPQに投資をするだけの理由を自分の中で答えられるか
以上の観点に納得した上でJEPQに投資をするという場合、個人的にはサテライトとしての投資が良いのではないかと考えています。
例えば保有額はポートフォリオの5%までに抑える、などです。
(追記)
私自身は本記事の作成後にJEPQへ実際に投資しました。
その判断理由は「NASDAQ100の値上がり益をある程度放棄することは納得のうえ、配当投資家として分配金を重視したい」というものです。
やはり毎月もらえる高分配金は「投資の楽しさ」を実感させてくれます。
もちろんJEPQのリスクも考慮して、投資額は抑えめにしています。
JEPQが気になる方へおすすめの米国株情報源2選
JEPQが気になりこの記事をここまで読んでくださった方なら、きっと米国株の高配当投資に関心が強いかと思います。
ここで米国株の高配当投資に役立つ情報源を2つご紹介します。
①投資アプリ「moomoo証券」
高配当株や米国のマーケットについて調べるために、色々なサイトを見て回るのが大変
という時に便利なのが、投資アプリ「moomoo証券」(ムームー)です。
「聞いたことがない」と思ったかもしれませんが、米国のNASDAQに上場するFUTU(フツ・ホールディングス)による投資アプリです。
口座開設していなくても無料で情報収集やツールの利用が可能(スマホ・PCの両方に対応)。
アプリ一つで米国株の詳しい情報を簡単に調べられるため気に入っています。
ポイントは次のとおり。
❶無料で情報集に使え、アプリの評価も高い
❷配当利回りランキングで高配当銘柄を簡単に探せる
❸テクニカル分析(弱気~強気シグナル)など個別銘柄の売買タイミングを考えるためのデータが多い
❹個別銘柄の決算データ(売上高、営業利益、EPSや配当金の推移など)を簡単に確認できる
❺DOW JONESなどのニュースが読め、マーケットの動向を掴みやすい
❻NASDAQ上場企業によるアプリであり安心して使える
アプリを使う際にはアカウントを作る必要がありますが、メールアドレスのみで作れるため個人情報が気になる人でも安心です。
私自身も利用していますが、米国高配当株を選好する方には情報源の一つとして便利ですよ。
気になった銘柄についてしっかり調べた後に投資をすれば、相場が急変した時に焦って売り急ぐことを避けやすくなります。
とはいえ、調べるのにあまり時間をとられたくないというのが本音ではないでしょうか。
moomooを使えばアプリ一つで「詳細な銘柄分析をラクに」できますよ。
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②無料レポートで「強い米国株25銘柄」を知る
色々な高配当銘柄を知っておきたいのに、どうやって調べたら良いかわからない
という時に便利なのが Weiss Ratingsです。
米国で50年以上の歴史を有する投資格付機関。
無料レポートやメールマガジンで米国株について情報を集められます。
ポイントは次のとおり。
❶今なら『最高ランク米国株トップ25銘柄』というレポートを無料ですぐに読める
▶1万銘柄以上から選ばれたトップ0.1%の「強い米国株」
▶レポートで紹介される銘柄は時々変わるため、今の25銘柄は今しか知ることができない
❷25銘柄には米国高配当株&米国グロース株のそれぞれがバランスよく含まれている
❸日本で生活しているだけではよほど知ることができない銘柄が多い
❹メールアドレスの登録のみで読める
▶私用のアドレスを登録するのに抵抗感があれば、適当なフリーアドレスでも大丈夫
❺毎回メールマガジンの最後に配信停止のリンクも載っているので、合わなければすぐに登録を解除できる
私は米国の高配当株についてそれなりに知っているつもりでしたが、レポートでは初めて見る銘柄ばかりでした。
高配当株投資をするなら「より多くの高配当株を知っておきたい」という人が多いと思います。
ですが0から米国の個別銘柄を探すのはやはり大変。
無料レポート『最高ランク米国株トップ25銘柄』を読めば、なかなか自力ではたどり着けなかった高配当株を見つけられるはずです。
電車の中や病院の待合室で暇な時、休日のスキマ時間の読み物としてもちょうど良いと思います。
まとめ:JEPQはまだ新しいがそれなりの魅力を感じさせてくれる
本記事ではS&P500を対象とした高分配ETF「JEPI」の兄弟分である「JEPQ」について銘柄分析をしてきました。
あらためてポイントをまとめておくと次のとおりです。
- 分配利回り → 12.08% *2023/11/23時点
- メリット
- 高利回り
- 毎月分配
- インカムとキャピタルの両方を狙える
- デメリット
- 設定が2022年と新しく暴落時の動きなど想定しにくい
- 分配金のブレが大きい
- トータルリターン比較
- リターンの良い順に「QQQ、JEPQ、QYLD、JEPI」
- 比較した4銘柄はいずれもまずまず良好なパフォーマンス
- 将来性
- 株価:「NASDAQが上昇するなら」少し期待できる
- 分配金:「概ね安定的」に推移するか
JEPQは2022年に登場したばかりでまだまだ新しいETFです。
暴落時にどういう値動きをするかなど未知の部分もありますが、相応の魅力も感じられるのではないでしょうか。
私のように配当金が好きな投資家にとっては「毎月分配&高利回り」がうれしいですね。
あわせて読みたい関連記事
今回紹介したJEPQは残念ながら「新NISAでは投資できない」ということについてまとめた記事です
今回分析したJEPQと、その兄弟分となるJEPIを比較した記事です。「JEPQもJEPIも気になっている」というはぜひ読んでみてください
JEPQのS&P500版「JEPI」についての分析記事です
JEPQと同様、NASDAQ100を対象とした超高配当ETF”QYLD”について調べた結果をまとめています
JEPIとQYLDを実際に購入した後、両者を保有して感じたメリット・デメリットなどをまとめています
「JEPIでFIRE」はおすすめできないということについて解説しています
「読んだ意味があった」おすすめの投資本を10冊紹介しています
雑感
JEPIを保有する中でその存在を知り、どんなものか気になっていたJEPQについて調べた結果をまとめたのが本記事になります。
感想としては「それなりの魅力を感じるが、まだまだ新しくて実績が積み上がっていない」という一言にまとめられます。
JEPIと同様に非常に高い利回り、かつ毎月分配という魅力は大きい。
一方で気になる点もいくつかありました。
- NASDAQ100の値上がりにどの程度の水準でついていけるのか
- 暴落時の値動きと分配金
- NASDAQ100が低調だった2022年の水準が自分の中にアンカリングされているため、現時点では若干の割高感を感じる
といった点です。
ごく少額分を保有してみて、自分がどう感じるかを試してみるかどうかといったところでしょうか。悩ましいですね。
(追記)
本記事の作成後、実際にJEPIを一部売却してJEPQを新規で購入してみました。
投資の狙いは
①S&P500よりもNASDAQ100のパフォーマンスに期待
②JEPIよりもJEPQの方が分配利回りが高くなりそう
という2点です。
今後のリターンがどのように推移するか見守りたいと思います。
「米国株の連続増配銘柄」を探すのに苦労したことはありませんか?
マネックス証券の銘柄分析ツール「銘柄スカウター」を使うと連続増配株を簡単に探すことができます。
✓スクリーニング条件に「連続増配年数」がある(貴重!)
✓利用料は無料
✓マネックス証券に口座開設している人のみ使える
私は楽天証券をメイン口座としていますが、「銘柄スカウターを使いたい」という理由だけでマネックス証券に新たに口座を開設しました。
連続増配株を探すのは大変です。
連続増配株を探すためにウェブサイトを何時間も調べた経験があるなら、素直にマネックス証券で「銘柄スカウター」を使った方が良いかもしれません。
「口座開設は手間だ」と感じると思いますが、最短5分ほどで申込みできすぐに銘柄スカウターを使えるため、ウェブサイトを回るよりもかえって時間を無駄にしないと思います。