- 酪農業で働くことに興味がある
- 酪農業で実際に働くことが決まっている
- 酪農業で働き始めたばかりで不安を抱えている
そうした人の参考になるかもしれないということで、私が就農したての頃に、
- 苦労したこと・大変だったこと
- その対処
をいくつか取り上げています。
前回は、7つ目として「傷が絶えない」ことでした
そして今回取り上げる8つ目は、「においや汚れ」が常に仕事について回ることです。
牧場の仕事というと、なんとなく「においや汚れがきつそうだな」とイメージされる方が多いのではないでしょうか。まさしくその通りです。
ポイントだけ先に書いておくと、
- 牧場のにおいは髪や衣服につきやすい
- 髪や体についたにおいには、シャワーが一番
- 衣服についたにおいは、(できたらぬるま湯で)予洗いしてから通常の洗濯をすれば大丈夫
- 牛フンやオイルなどによる汚れについても、対処はにおいの場合とほぼ一緒
です。
以下、具体的に書いていきます。
説明:牧場特有の臭い・汚れは髪や衣服につきやすい
1.におい
実家が牧場であったり、家の近所に牧場があるという方を除くと、牧場のにおいを感じる機会というのは
- 保育園・幼稚園、小学生の時の牧場見学(ある場合とない場合があるでしょう)
- 観光牧場へ行った時
ぐらいではないでしょうか。一般的な牧場は、牛に関する伝染病の問題などから一般の方々が立ち入れないようにしているからです。
さて、そうした際に感じる牧場特有のにおいですが、大抵の場合、原因は
「牛フンやエサ(特にサイレージという発酵させた牧草)」
とされています。
数時間牧場で働いていると、このにおいがどうしても髪や服についてしまいます。
これで何が困るかというと、
- 帰宅した際に自宅へにおいを持ち込んでしまう
- 仕事帰りに”ついで”の用事を済ませにくい(スーパー、コンビニ、飲食店、役所など)
ということです。特に2点目ですね。どうしてもにおいが気になって屋内に入りづらいです。
なお、私はもともと実家が牧場という環境で育ってきたため、牧場のにおいで体調が悪くなるということはありません。
しかしそうでない人は、やはり牧場特有のにおいに慣れるまでは、苦になる面もあるかもしれません。
2.汚れ
こうした汚れが衣類に着く場面は多いです。顔につくこともしばしば。
牛は時に気まぐれに、時に不快さ(人に追われる場面など)を表すように尻尾を振ります。その尻尾に牛フンなどが付いていて、こちらに飛んでくるということは牧場でしばしばある出来事です。
これらの汚れがつくことで困ることというのも、上述のにおいの場合とほぼ同様です。
- 自宅に汚れを持ち込んでしまう可能性がある
- 帰宅時に”ついで”の用事を済ませにくい
- 私服と一緒に作業着を洗うことはほぼ不可能
あたりでしょうか。
対処
それでは、どのように困った「においや汚れ」に対処するか。ここではその点について説明します。
におい
- シャワーを浴びる
- 頭には帽子を被ったりタオルを巻く
- 作業着の下には私服を着ない(Tシャツなど)
- 仕事が終わったら服を着替える
- ファブリーズなど消臭スプレーの使用
- ボディーペーパーや制汗スプレーの使用
においに対しては、このような対処法があります。
一番効果が高いのはシャワーです。
一方で、ファブリーズなどの消臭剤は「やらないよりはマシ」という程度です。においを消し去ってくれることは、あまり期待しない方が良いでしょう。
「服についた臭い」をどうするかについて補足しておきます。
こちらは、基本的には「普通の洗濯用洗剤+柔軟剤」で臭いをとることができます。
ただし、次の2点に気をつけると良いでしょう。
❶臭いや汚れがきつい服は、洗濯機に入れる前に、桶に溜めた(できれば)ぬるま湯などで予洗いをする
❷洗濯物を干す場所は、牧場のにおいが届かないところにする
ちなみに、私が使用している洗剤は、
作業着に対しては↓
牧場に着ていった私服には↓
を使っています。
これで、少なくとも直接人から「牧場のにおいがするね」と言われたことはありませんし、自分でにおいを確かめる分には問題なく感じています。
2.汚れ
汚れに対する対処も、においの場合とほぼ一緒です。
- シャワーを浴びる
- 頭には帽子を被ったりタオルを巻く
- 作業着の下には私服を着ない(Tシャツなど)
- 仕事が終わったら服を着替える
- 作業着専用の洗濯機を牧場に設置する
- 百円ショップなど売っているアームカバーの使用(搾乳時)
雑感
「においと汚れ」は牧場で働いていると、常について回る問題です。
特ににおいや汚れが気になってお店や役所に寄りにくいというのは、個人的にかなり不自由に感じています。銀行や役所など、平日の日中に用事を済ませようとすると、仕事が終わった後に一度家に帰り、シャワーを浴びる必要があることが多いからです。
デスクワーク中心だったサラリーマンだった頃には考えたこともない手間です。
牧場によっては、こうした不自由を解消するために、牧場内にシャワーを設置したりするところもしばしば。従業員さんからそうした要望が出ることは少なくないそうです。
におい・汚れは厄介なテーマの一つですが、事前にできる対策や、事後の対処としてやれることは色々とあります。牧場ごとに工夫していることも多いでしょう。
うまく付きあっていけると良いですね。
余談
余談ですが、複数の畜産農家さんから次のようなことを聞いたことがあります。なにかというと「家畜の体が小さくなるほど、フンのにおいがきつくなる」という話です。
つまり、牛よりは豚、豚よりは鶏の方が農場へ行った際に感じるにおいが強くなるのだそうです。酪農家さんだけでなく、養豚農家さんや養鶏農家さんも同じことを言っていました。私の体験からもこれには同感ですね。
さらに蛇足ですが、一方でフンを肥料として使う場合は、牛よりも豚、豚よりも鶏のフンの方が肥料成分が高いそうです。牛フンは肥料としてよりも、畑の土を柔らかくする目的で使われることが多いようです。
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