就農直後に苦労したことの9つ目は「マニュアル車の運転」です。
大学1年時に自動車学校でマニュアル車に乗って以来、マニュアル車を運転する機会というのは何年もありませんでした。
マニュアル車に関しての完全なペーパードライバー状態から就農したわけです。しかし、牧場ではオートマよりも圧倒的にマニュアル車に乗る機会が多いです。初めはかなり苦労しましたね。
とにかくクラッチ操作とギアチェンジが高い高い壁でした。
説明
酪農においては、マニュアル車に乗る機会が大変に多いです。私の感覚では、もはやマニュアル車を運転できない場合には仕事にならないと言えます。
具体的にどんな乗り物があるかというと、牧場にもよるでしょうが
- 軽トラック
- 中型or大型自動車(ダンプカーや牛を乗せる大きめのトラック)
- フォークリフト
- トラクター(給餌用や牧草地作業用)
あたりが一般的だと思います。
軽トラックであればオートマの牧場もあるでしょうが、それ以外の乗用車はほぼほぼマニュアル車でしょう。これらの乗り物は日々の農作業に必要不可欠です。
私自身は、就農当時はマニュアル車について完全なペーパードライバーでした。オートマ車であれば私生活やサラリーマン時代の営業車で運転する機会がしばしばあったのですが。やはり別物で苦労しました。
まず、就農に合わせて自動車学校に再度通いました。大型自動車と大型特殊自動車の免許を取得するためです。この時点で大変苦労しました。マニュアル車をほぼ運転したことがないことを伝えた時の教官の苦笑いは今でもよく覚えています。
クラッチやギアチェンジの操作に慣れるのに手一杯な中、同時に大型の車両を扱うというのはすごく大変でした。日々、自動車学校に通うのが憂鬱で、正直なところストレスもすごかったですね。
何とかして免許を取得し、ようやく牧場にある各種車両も扱えるようになりました。
私の感覚では、操作が難しかった順に並べると
- 中型or大型トラック
- トラクター
- 軽トラ
- フォークリフト
という感じでした。フォークリフトはわりとすぐに慣れ扱いやすかったです。
結局、何に苦労したかということを挙げると
- 発進(半クラッチ)
- 坂道発進
- ギアチェンジ(発進直後や右左折など)
- 大型車両の扱い(車幅の感覚、車両後方がよく見えない、など)
- 恐怖心・苦手意識の克服
ということになります。なんだかんだ、最後の恐怖心の克服というのが最大の壁だったように思います。

対処
- YouTubeやウェブサイトでクラッチの意味・仕組みをよく理解する
- 牧場内でひたすら練習する
- 公道を短い距離走行する練習を重ね、自信をつける
といったあたりになります。クラッチの仕組みをなんとなくでも理解するというのはとても大事です。あとはひたらすら練習あるのみですね。
運転になれてきて操作にも自信がついてくる頃には、自家用車よりも扱いやすいとすら感じるかもしれませんね。私の場合はそうでした。
雑感
たかが運転、されど運転です。
いかに苦手意識を克服し、実践の積み重ねで技術の習得・自信の獲得につなげていくかという点が肝でしょう。
なお、なんとなくマニュアル車の運転・大型車両の運転というと男性のイメージが強いのではないでしょうか。もちろん最近は女性のドライバーさんもしばしば見かける時世ではありますが。酪農業においてこの点がどうかというと、女性でも大型トラックで牛糞を運んだり、トラクターを操作して給餌作業をこなすといったことは普通にあります。
家族経営の場合はもちろんのこと、法人経営において女性従業員さんが就職後に免許を取ってマニュアル車の運転をするというのは、少なくとも私の地域ではかなり一般的です。
初めこそ大変かもしれませんが、慣れればどうということはなく、できる仕事の範囲も広がるのがマニュアル車の運転です。
最近の私は、オートマの自家用車に乗るとクラッチ操作やギアチェンジがない分物足りなさを感じることすらあります。以前はできるだけマニュアル車の運転を避け、オートマに乗りたがっていたことを考えると随分変わったものです。
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