【酪農】業界動向や私の労働状態(定点観測│2023年11月)

酪農
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2022年5月に始めた酪農ジャンルに関する定点観測記事となります。

定点観測記事を始めた趣旨は次のとおりです。

酪農業は多くの方々からは遠い存在です。

一方で一定数ですが遠いところから酪農に興味を持たれている方もいます。仕事としての酪農に興味がある方や牛乳や牛肉の消費者さんですね。

ですが「その興味関心に十分に応答できている情報媒体はそれほど多くない」というのが私の印象です。

なのでこの記事では、

  • 一酪農家から見た現在の酪農業界動向
  • 私の労働状態考えていること(酪農業で実際に働いている人間の一事例として)

について簡単に記していきます。

いずれも酪農を仕事とする一個人の私見ですが、酪農に興味を持たれている方に対して現場の声・温度感を届けるという意味で何か参考になればうれしいです。

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酪農業界動向

景況感

酪農業の景況感は、2022年に始まったトレンドから変わらず「依然として悪い」状態が続いています。

大きな圧迫要因となっている飼料費ですが、ピーク時よりは僅かながら下落したものの、コロナ前と比較すると40%ほど高いままです。

家計を例に考えてみても、収入が伸びない中で食費が1.4倍になり、その状態に改善の見込みがない場合は随分苦しいでしょう。

酪農における飼料費では金額のスケールが大きく、農家側で節約できる余地は小さいのが実情です。

一方で消費面はどうかというと、金額ベースでは持ちこたえているようです。

牛乳やチーズなどの乳製品は購入数量は減少傾向にあるものの、小売での値上げによる単価増で家計における支出金額そのものは増えています。

実際スーパーでの値上げは、一消費者としての私も含め多くの人が実感していると思います。

とはいえ酪農家の厳しい景況感と、金額ベースでは牛乳・乳製品の消費が増えているという事実の間には「かなりの温度差がある」というのが私の認識です。

周囲の酪農家からよく出る言葉としては、その姿勢の良し悪しは別として「今は耐えるしかない」が非常に多いですね。

景況感の悪さを実感する身近な例

近隣の酪農経営者と話をしていると、追加で借入をしたという話をちらほら聞くようになりました。

借入の中身は設備投資など前向きな資金ではなく、日々の飼料費などをやりくりするための「運転資金」です。

業界が抱えている最近の課題やトピック

  1. 酪農家の廃業が相次ぎ、酪農農協やヘルパー組合など関連組織の再編が迫られている
  2. 酪農家の廃業が進んでいる(畜産統計では令和5年は前年に比べて酪農家戸数が5%減少)

業界が抱えている慢性的課題

  1. 飼料の海外依存度が高く、飼料価格に経営が大きく左右される
  2. 需給調整が難しく、増産要請や減産圧力のサイクルにのまれる傾向
  3. 慢性的な人手不足
  4. 日本の低成長による相対的魅力度の低下から、外国人技能実習生を年々受け入れづらくなっている
  5. 人材の定着率が悪い
  6. 価格決定権に乏しく販売力が弱い

私の労働・考えていること

個人的に最近考えていること

  • 家業に入って家族と一緒に働くことの難しさ
    • これまでも当ブログの中でしばしば触れてきたことと変わりありませんが、「家族と一緒に働くことの難しさ」を今も感じ続けています。家族であると同時に、仕事の同僚でもあるためです。仕事に真剣に取り組もうとすればするほど、それぞれが互いに気になる点が出てきます。そこに「家族だから…」という事情が絡んでくると、何かと曖昧にして問題の先送りが続くということになってきます。加えて私の場合は一般企業に勤めていた経験がかえって枷になってしまい、「一般企業での当たり前」が昔ながらの家族経営には通用しないことに強いもどかしさを覚えてしまうという感じです。「家族として良好な関係でいたい」という思いと、「とはいえ仕事で過度な甘えや妥協を認めるわけにはいかない」という気持ちとがせめぎ合う。そのような日々が数年続いています。周囲の酪農家でも家族間で仲が悪くなる例は随分と多いのですが、なぜそうなるのかが最近分かってきました。
  • 株式投資に真剣に取り組んできてよかったということ
    • 2021年から、それまでよりもはるかに真剣に株式投資に取り組むようになりましたが、本当にそうしてきてよかったと実感しています。一言でいえば「逃げ道」があるからです。FIRE(決断時期によってはフルFIREではなくサイドFIREになる)という別の生き方を、いざという時は選べるということです。就農当時の私であれば今の私を見て「そんな逃げ腰でいないで正面から仕事に向き合い、自力で苦難を突破していくべきだ」と考えたでしょう。ですが相手がいる以上自分の力だけではどうしようもないことが本当にある、ということを今では痛感しています。「自分の思いだけで他人を変えることはできない」という当たり前のことに、30代になってようやく気づきました。別の生き方という選択肢を見出せない中で酪農の仕事で行き詰まると、生きる活力が失われていきます。FIREという生き方を知る直前の私が、まさにそうでした。FIREを知ってからも、あくまでFI=経済的自立の部分のみを目標としてきましたが、ここにきていよいよRE=セミリタイアの部分も自分にとって重要になってきています。こうした選択肢がとれるのは、株式投資について真剣に学び地道に取り組んできたからです。半分冗談、半分本気で「株式投資が命綱になった」と思っています。
  • 酪農後継者で自分と同じような経験をする人が少しでも減ってほしい
    • 酪農家戸数の著しい減少が続いています。戸数の減少自体は必ずしも悪ではないというのが持論ですが、それはさておき酪農後継者やその候補となりうる人たちについてです。私のような経験をする人が少しでも減ってほしいというのが率直な思いです。私が就農する時は「酪農という仕事は大変だ」と仕事の苦労ばかりに目が向き身構えていましたが、今となればそれは当然ありつつも、そこでない部分に大きな落とし穴がありました。そんな過去の自分を思い出し、こんなことを今なら伝えられるというのをまとめたのが↓の記事になります。酪農後継者やそれに準ずる立場の人はごくごく少数しかいませんが、少しでも役に立てればと思っています。

酪農作業中に聴いている音声コンテンツ

  • Podcast
    • COTEN RADIO
    • a scope ~資本主義の未来編~

オーディオブックサービスの利用を一旦停止し、最近では再び歴史系Podcast番組「COTEN RADIO」と、教養系の対談番組「a scope ~資本主義の未来編~」を聴いています。

なぜ今の世界や日本がこのようなのか、ヒントや考えるとっかかりが見つかり、聴いていてとても楽しいです。

一通り聴き終えたら再度オーディオブックサービスに戻るつもりです。

最後に

2023年11月現在の所感としては以上です。

今回の記事が酪農後継予定者、酪農業界で働いてみたい人、消費者として酪農に興味のある人、そのような方々の参考に少しでもなればうれしいです。

引き続き、不定期に定点観測記事を書いていきます。

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