2024年4月更新
本ブログ記事では、高分配ETFとして人気のJEPIについて、
- メリット・デメリット(リスク)
- 他の高配当銘柄(VYM、ARCC、QYLD、XYLD)とのトータルリターン比較
- 将来性
などをまとめています。
- JEPIが気になっている
- JEPIの高利回りが魅力的だけど何かひっかかるものがある
- JEPIと高配当銘柄の比較を見て、投資するか考えたい
このような人の参考になればうれしいです。
私自身は、高配当株投資による経済的自立を目指しています
先にポイントだけまとめておきます。
- 分配利回り → 7.55% *2024年4月9日時点
- 運用資産額 → 334億ドル *SPYDやQYLDよりはるかに大きい
- メリット
- 高利回り
- 毎月分配
- インカムとキャピタルの両取りを狙える
- デメリット(リスク)
- 設定日が2020年5月と新しく、実績や市場暴落場面での値動きなどが十分に蓄積されていないため、今後の動向を想定しにくい
- トータルリターン
- パフォーマンスの良い順に「S&P500、VYM、JEPI、XYLD、QYLD」
- 将来性
- 株価 → S&P500にある程度は連動して上下しそうだが、上昇力は強くない
- 分配金 → ならして見れば安定的に推移しそうだが、実際は波がある
↓この記事の作成後、とりあえず実際に保有してみようということでJEPIを約10万円分購入しています(同じく高分配ETFのQYLDも同時購入)
↓JEPIと同じく高分配ETFとして人気のQYLDを比較した記事もあります
高分配ETF「JEPI」の概要
JEPIの基本情報
ティッカー | JEPI |
名称 | JPモルガン・米国株式・ プレミアム・インカムETF |
運用会社 | J.P.モルガン・アセット・マネジメント |
設定日 | 2020年5月20日 |
主要取引所 | NYSE |
株価 | 57.17ドル |
経費率 | 0.35% |
分配利回り | 7.55% |
ベータ | 0.59 |
分配頻度 | 毎月分配 |
✓JEPIの設定は2020年と比較的新しいETF
✓経費率は0.35%であり、アクティブファンドとしては低め
✓最大の特徴は「毎月分配かつ高配当」
*JEPIはELNという仕組債を部分的に利用することでインカムを追求しています。JEPIの具体的な構成やELNについては煩雑になるためここでは触れません。JEPIへ投資することを真剣に考えている方は、是非その仕組みを調べ、理解した上で検討してください
JEPIの株価チャート:2024年は持ち直し
上のチャートはJEPIの「2020年5月の設定~2024年4月上旬」の株価推移です。
- 設定から2021年終わり頃にかけて力強く上昇した後、
- 2022年からの米国株相場の下落と一緒に下落
- 2023年は横這いで推移し、
- 2024年になってからようやく持ち直し
このような推移となっています。
2024年になっても、2021年の絶好調な時の株価を超えられていない点は、少し気になりますね。
JEPIの分配金推移(設定来):年によりまちまち
JEPIの設定来の分配金推移です。
0.2ドル台の時もあれば0.6ドル台の時もあり、「2倍以上の差」があることも。
2022年は平均的に分配金が多い年でしたが、2023年は2021年と同程度です。
後述しますが、2022年に分配金が多かったのは米国株市場のボラティリティが高かったためで、やや特殊な期間として考えておいた方が良さそうです。
JEPIの運用資産額の推移:概ね増加傾向
上のグラフはJEPIの運用資産額の推移です。
概ね増加傾向が続いています。
直近の2024年4月時点で、珍しく微減となっていますね。
運用資産額の規模感を把握しやすいように比較すると
- 高配当株ETFの代表格「VYM」678.74億ドル
- 「JEPI」334.48億ドル
- JEPIのNASDAQ100版「JEPQ」120.07億ドル
- JEPIと同じく毎月分配で人気の「QYLD」81.52億ドル
- 人気の高配当株ETF「SPYD」68.44億ドル
です。(データの出所はmoomoo証券)
まだまだ新しいETFであるJEPIですが、VYMに次ぐ運用額となっています。
日本で一時話題となったQYLDや、VYM、HDVと並んでよく名前が挙がるSPYDと比べるとかなり大きな規模感です。
「米国で人気を集めて資産が流入している」というニュースは私も見たことがありますが、こうして実際の運用額を見てみると驚きます。
JEPIに投資するメリット5点
JEPIに投資するメリットは、概ね次の5点にまとめられます。
- 高利回り(だいたい7%前後)
- 毎月分配
- インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙える
- S&P500よりも低ボラティリティ
- トータルリターンは高分配ETFとして人気のQYLDよりは高いことが期待できる
高利回り・毎月分配という点は、同じく人気のQYLDと共通です。
そしてJEPIの場合は、QYLDと違ってキャピタルゲインも狙いやすいという点は一つ大きなメリットといえそうです。
(2024年4月追記)
私がJEPIを保有して数年経ちますが、やはり最大のメリットは「毎月分配でしかも高配当」という点です。
毎月上旬に入金される高利回りの配当金を見ていると、とてもうれしくなります。
VYMなど手堅い高配当株ETFも保有していますが、種類が全く違う喜びがあります。
JEPIに投資するデメリット・リスク5点
次にJEPIに投資するデメリット・リスクについて。
主に次の5点に注意が必要です。
- 設定から日が浅く過去のデータや傾向をつかみにくい ※特に暴落局面
- S&P500よりもトータルリターンは劣る
- オプション部分の理解が難しく、「よくわからないものには投資をするな」という格言に反する可能性がある
- 分配金の推移はブレがやや大きい(2023年は前年からの減少が目立つ)
- 連続増配ではない
特に1点目に挙げた「設定から日が浅く過去のデータや傾向をつかみにくい」という点には気をつけておきたいですね。
- リーマンショックやコロナショックのような暴落が次に来た時、どういった値動きをするか
- 分配金は今後も安定的に推移しそうかどうか
この辺りの目線は持っておいた方が良さそうです。
JEPIと主要ETF(S&P500、VYM、QYLD、XYLD)のトータルリターン比較
さて実際のところ、JEPIは主要なETFと比較してどうなのでしょうか。
ここでは「JEPI vs S&P500、VYM、QYLD、XYLD」という形で、配当込みのトータルリターンを比較してみます。
先に結果を書いておくと、パフォーマンスの良い順に
- S&P500(VOO)
- VYM
- JEPI
- XYLD
- QYLD
です。
以下順に見ていきましょう。
JEPIよりもVYM、VYMよりもS&P500の方がリターンは高い
上のチャートは、
- S&P500連動のメジャーなETF ”VOO”
- 高配当株ETFの代表格”VYM”
- JEPI
の配当込みのトータルリターンを、JEPIの設定後(2020年6月)から2024年3月までの期間、すなわち4年弱を比較したものです。
結果はパフォーマンスの良い順に「 S&P500(VOO)、VYM、JEPI 」となりました。
概ねどの時期もJEPIは3番目に位置していますが、際立ってパフォーマンスが悪いということもないですね。
QYLDよりもXYLD、XYLDよりもJEPIの方がリターンは高い
上のチャートは、
- JEPI
- 人気の高分配ETF ”XYLD”(対象指数S&P500)
- 人気の高分配ETF ”QYLD”(対象指数NASDAQ100)
の配当込みのトータルリターンを、先ほどと同じくJEPIの設定後(2020年6月)から2024年3月までの期間で比較したものです。
結果はパフォーマンスの良い順に「 JEPI、XYLD、QYLD 」となりました。
毎月分配の高分配ETFとしては、JEPIのパフォーマンスは良好なようです。
分配金の高さではQYLDがよく目を引くので、この結果は少し意外性があるかもしれませんね。
トータルリターン比較の結果:S&P500>VYM>JEPI>XYLD>QYLD
あらためて比較の結果をまとめると、パフォーマンスの良い順に
- S&P500(VOO)
- VYM
- JEPI
- XYLD
- QYLD
でした。
ただし上記の比較結果については、
- JEPIの設定から日が浅いこと(4年弱)
- 2022年の下落相場は特にQYLD(対象指数:NASDAQ100)に対して逆風が強かったこと
の2点に留意しておきたいですね。
JEPIの将来性を過去推移から考えてみる
ここでは、JEPIの将来性について、株価と分配金の過去推移から考えてみます。
JEPIのこれまでの株価推移
これまでの株価推移から考えられることは、
- コロナショック後に設定された銘柄であり、暴落時の値動きは不明
- 米国株が好調だった2021年は順調に株価も上昇
- 相場が低迷した2022年はJEPIの株価も下落
- 2022年終盤頃から相場の持ち直しに合わせてJEPIも回復傾向
- 2023年は好調なS&P500とは対照的にJEPIは横這い
- 2024年になってようやく持ち直し傾向(S&P500は最高値更新)
です。
まとめると、JEPIの「株価推移の将来性」は
暴落時の値動きは想定しづらく、注意が必要
ある程度はS&P500と連動して上下するものの、株価上昇力はS&P500ほど強くない
といえそうです。
JEPIの分配金推移からその将来性を考える
JEPIの分配金推移をみると、「1口0.4$/月ほどで前後しているが、波も多少ある」といえそうです。
「波がある」というのは分配金が平均的に多かった2022年と、そうでない2021年&2023年からよくわかります。
この点については↓が参考になると思います。
(2023年3月追記)
楽天証券から閲覧可能な『バロンズ・ダイジェスト(2023/2/19)』に、ファンド運用者の言葉として
「2022年はボラティリティーの高い相場であったためJEPIの利回りが11%と高かったが、長期平均は7~9%程度」
という記述があります。
平均7~9%でも十分に高利回りですが、2022年のような高い分配利回りは稀であるという認識を持っておいた方が良さそうです。
JEPIの将来性
JEPIの株価推移と分配金推移を見てきましたが、過去推移からJEPIの将来性を考察すると、
- 株価
- 米国市場にある程度連動して値上がりも値下がりもしそう
- S&P500と同等かそれに近い株価上昇力は期待しない方が良い
- 分配金
- ならして見れば安定的に推移しそうだが、波はある
- 2022年の11%程度という利回りは稀で、長期平均は7~9%という目線が無難
といえそうです。
*くどいようですが、設定からそれほど経っていないため、実績が十分に積み上がっていないことには注意しましょう
投資判断のポイント4点
JEPIに投資するか否かを検討する時のポイントは、次の4点を自分がどう判断するかということになります。
- キャピタルとインカムの両取りが狙えるとの評判だが、S&P500よりもキャピタルは劣り、QYLDよりもインカムは劣るということでやや中途半端な感がある
- S&P500の値上がり益部分を多少放棄する一方で、インカムを多めにもらいたい場合の選択肢となりうる
- 設定から日が浅くどういう値動き・分配金推移となるか予想しにくい
- トータルリターンでは素直にS&P500へ投資した方が優れるため、それでもなおJEPIに投資をするだけの理由を自分の中で答えられるか
以上の観点に納得した上でJEPIに投資をするという場合、個人的にはサテライトとしての投資が良いのではないかと考えています。
コアにはトータルリターンに優れるS&P500連動のインデックスファンドを据え、トッピングとしてJEPIを保有するといったイメージです。
(2023年1月追記)
実際、私はこの記事の作成後に約10万円をJEPIに新規投資しました。
- 投資額に対する受取分配金の程度
- 日々の値動き
- JEPIを保有することを自分がどう感じるか
これらが実際に保有することでよく分かるようになりました。
どうしてもJEPIが気になるという方は、まずは控えめな金額で投資をして、自分がこの銘柄をどのように思うか試してみてはいかがでしょうか。
JEPIが気になる方へおすすめの米国株情報源2選
JEPIが気になりこの記事をここまで読んでくれた人であれば、米国株投資で次のような経験がありませんか?
それぞれ簡単な方法で対処できるので、説明しておきます。
①米国株は情報収集が大変 → moomoo証券
米国株投資家であれば、一度はこうした経験があると思います。
日本株にはない強さや魅力があるからこそ、米国株への投資を検討するわけです。
しかし1銘柄を調べるのにいくつかのサイトを回ったり、英語を読むだけで疲れてしまったり。
情報収集が大変で、せっかくの米国株投資がはかどらないのは嫌ですよね
そのような人におすすめなのが、無料で情報収集できる投資アプリ「moomoo証券」(ムームー)です。
moomoo証券アプリがあれば、米国株やETFについて、電車の中でもお風呂でもスマホだけでしっかり情報収集できます。
以下はアプリの実際の使用画面(画像6枚)。MCD(マクドナルド)を例にどんな情報が見られるかチェックしてみましょう。
↓(1枚目)銘柄の基本的な情報がきれいにまとまっていたり、(2枚目)テクニカル指標が弱気~強気が一目でわかります
↓(3枚目)アナリスト評価やモーニングスターの格付けの他、(4枚目)売上の内訳も事業や地域別にさっとチェックできます
↓(5枚目)EPSや損益計算書などの決算内容、(6枚目)気になる配当金や配当性向の推移もしっかり確認可能です
ここでお見せしたのはごく一部。
もちろんMCDのような個別株だけでなく、VYMなどETFの情報も充実しています。
口座開設しないと使えない証券系アプリもあります。ですが、moomoo証券アプリは口座開設していなくても使えます(無料口座開設でさらに機能が充実するので、口座開設しても問題ありません)。
アカウントは必要なのですが、メールアドレスのみで作れるため個人情報が気になる人でも安心。
ダウンロード無料の投資アプリなので、気になる人は気軽に試してみてください。
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②同じような米国株しか見つからない → Weiss Ratings
米国株投資ではこうした経験も多いと思います。
本やSNSでもKO、JNJ、PGなどメジャーな米国株についての話はけっこう充実しています。しかしある程度米国株について知ると、新たな銘柄を知る機会がなくなってきますよね。
そのような時に便利なのが Weiss Ratingsの無料レポートです。
ポイントは次のとおり。
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▶1万銘柄以上から選ばれたトップ0.1%の「強い米国株」
▶レポートで紹介される銘柄は時々変わるため、今の25銘柄は今しか知ることができない
❷25銘柄には米国高配当株&米国グロース株のそれぞれがバランスよく含まれている
❸日本で生活しているだけでは知る機会がほとんどない銘柄が多い
❹メールアドレスの登録のみで読める
▶私用のアドレスを登録するのに抵抗感があれば、適当なフリーアドレスでも大丈夫
❺毎回メールマガジンの最後に配信停止のリンクも載っているので、合わなければすぐに登録を解除できる
私は米国の高配当株についてそれなりに知っているつもりでしたが、レポートでは初めて見る銘柄ばかりでした。
高配当株投資をするなら「より多くの高配当株を知っておきたい」という人が多いと思います。
ですが0から米国の個別銘柄を探すのはやはり大変。
無料レポート『最高ランク米国株トップ25銘柄』を読めば、なかなか自力ではたどり着けなかった高配当株を見つけられるはずです。
電車の中や病院の待合室で暇な時、休日のスキマ時間の読み物としてもちょうど良いと思います。
まとめ:JEPIへの投資は「自分の投資スタイル」との相性次第
最後にあらためてポイントだけまとめておきます。
- 分配利回り → 7.55% *2024年4月9日時点
- 運用資産額 → 334億ドル *SPYDやQYLDよりはるかに大きい
- メリット
- 高利回り
- 毎月分配
- インカムとキャピタルの両取りを狙える
- デメリット(リスク)
- 設定日が2020年5月と新しく、実績や市場暴落場面での値動きなどが十分に蓄積されていないため、今後の動向を想定しにくい
- トータルリターン
- パフォーマンスの良い順に「S&P500、VYM、JEPI、XYLD、QYLD」
- 将来性
- 株価 → S&P500にある程度は連動して上下しそうだが、上昇力は強くない
- 分配金 → ならして見れば安定的に推移しそうだが、実際は波がある
JEPIは「毎月分配&超高利回り」が魅力的なETFですが、メリットもデメリットもあります。
投資を検討する際は「ご自身の投資スタイルに合致するか」どうかをよくよく考えると良さそうですね。
本記事がそれを考える際の参考になれば幸いです。
雑感
JEPIはQYLDについて調べていた際に、関連して新たに発見したETFです。当初は購入ありきで調べ始めたのですが、結果かなり悩んでいます。
そもそもまだ新しいETFのため情報が少ないのです。そして仕組みを完全に理解していないオプション部分もあることから、「よくわかっていないこの銘柄に投資して本当にいいのか?やめた方が良いのでは?」という自分の内なる声も聞こえてきます。
私なりの落としどころとしては、やはりQYLDと同じように「とりあえず10~50万円の範囲内で投資をしてみて、不安になるようであれば早めに売却してしまう」というところです。投資をせずにこの先気にし続けるのも嫌なので、「保有してみることで自分が実際にどう感じるか」という点を重視しようかと思います。
(2023年1月追記)
この記事を作成した後、2021年11月に実際にJEPIに約10万円分の新規投資を実行。さらにその後、額を増やして追加投資をしています。
「米国株の連続増配銘柄」を探すのに苦労したことはありませんか?
マネックス証券の銘柄分析ツール「銘柄スカウター」を使うと連続増配株を簡単に探すことができます。
✓スクリーニング条件に「連続増配年数」がある(貴重!)
✓利用料は無料
✓マネックス証券に口座開設している人のみ使える
私は楽天証券をメイン口座としていますが、「銘柄スカウターを使いたい」という理由だけでマネックス証券に新たに口座を開設しました。
連続増配株を探すのは大変です。
連続増配株を探すためにウェブサイトを何時間も調べた経験があるなら、素直にマネックス証券で「銘柄スカウター」を使った方が良いかもしれません。
「口座開設は手間だ」と感じると思いますが、最短5分ほどで申込みできすぐに銘柄スカウターを使えるため、ウェブサイトを回るよりもかえって時間を無駄にしないと思います。
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