本記事では、酪農・畜産の現場で直面する「悩み別」におすすめできる本を13冊ご紹介します。
13冊とも酪農・畜産関係の専門書”以外”の一般書籍です。
「酪農業に関するおすすめ本」は↓の記事にてご紹介しています。
今回とりあげる13冊は次の本です。
①「農業の現状」を理解できていない
▶『農家はもっと減っていい 農業の「常識」はウソだらけ』久松 達央
②「仕事の意味や意義」がわからなくなってきた
▶『9割の社会問題はビジネスで解決できる』田口 一成
③以前は確かにあった「仕事への熱量」が下がってきた
▶『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』大西 康之
④「牧場や農場の理念」に何かが足りていない
▶『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 』山口 周
⑤「職場のコミュニケーション」が上手くいっておらず雰囲気が悪い
▶『こころの対話 25のルール』伊藤 守
⑥「新しい試みや改善策」に周囲が協力してくれない
▶『人を動かす』デール・カーネギー
⑦従業員のモチベーションが低い、自分から動こうとしない
▶『新 コーチングが人を活かす』鈴木 義幸
⑧イライラしてその感情に振り回されてしまう
▶『理想の自分をつくる セルフトーク マネジメント 入門』鈴木 義幸
⑨事務所や更衣室がぐちゃぐちゃで片づけられない
▶『人生がときめく片づけの魔法 改訂版』近藤 麻理恵
⑩「漠然とした不安や心配」がつきまとって仕事に身が入らない
▶『道は開ける』デール・カーネギー
⑪業界の先行きがわからず「将来の生活が不安」
▶『本当の自由を手に入れる お金の大学』両@リベ大学長
⑫一般書籍や酪農の専門書を読んでも頭に残らない
▶『レバレッジ・リーディング』本田 直之
⑬「畜産にまつわる小説」があれば読んで気分転換したい
▶『震える牛』相場 英雄
牛の飼養管理など技術的なことは専門書で学ぶことができます。
しかし、牧場や畜産の現場で抱える悩みの対象は「家畜以外のこと」も実は非常に多い。
そんな悩みを解決するヒントとなる本をピックアップしています。
苦しい状況を打破するきっかけになれば幸いです。
- ①「農業の現状」を理解できていない
- ②「仕事の意味や意義」がわからなくなってきた
- ③以前は確かにあった「仕事への熱量」が下がってきた
- ④「牧場や農場の理念」に何かが足りていない
- ⑤「職場のコミュニケーション」が上手くいっておらず雰囲気が悪い
- ⑥「新しい試みや改善策」に周囲が協力してくれない
- ⑦従業員のモチベーションが低い、自分から動こうとしない
- ⑧イライラしてその感情に振り回されてしまう
- ⑨事務所や更衣室がぐちゃぐちゃで片づけられない
- ⑩「漠然とした不安や心配」がつきまとって仕事に身が入らない
- ⑪業界の先行きがわからず「将来の生活が不安」
- ⑫一般書籍や酪農の専門書を読んでも頭に残らない
- ⑬「畜産にまつわる小説」があれば読んで気分転換したい
- 番外編:ラジオや音楽を聴くように「本の朗読」を聴く
- まとめ:家畜以外で悩んでいるなら”専門書以外の本”を読んでみよう
①「農業の現状」を理解できていない
✓農業の現状をあまり把握できていないと感じる人
✓農業のことについて聞かれても自信をもって答えられない人
✓「弱くて保護されるべき農業・農家」像に違和感を覚える人
著者は、脱サラをして有機農業をされている方です。野菜の生産者ですが、農業全般についての知識が非常に豊富です。
「新規就農者はどうして失敗するのか」、「”オーガニック”の過剰な扱いに対する違和感」、「どうして日本の農業は衰退しているのか」、「若手農業者は親の言うことを聞いてはいけない」など農業にまつわる幅広い論点について書かれています。
日本の農業の全体像をつかんだり、農業へのモヤモヤの正体を明らかにしたり、と読めば非常に多くの発見があるでしょう。
農業の全体感が分かれば、自分が今どのような立ち位置にいて、今後どうしていくべきかを考えることもできます。
②「仕事の意味や意義」がわからなくなってきた
✓何のために酪農をしているのかわからくなってきた人
✓酪農の意味や存在意義を考え直したい人
✓利益の追求ばかりでよいのか違和感がある人
「利益のためのビジネス」ではなく「社会問題を解決するためのビジネス」について書かれた一冊です。
酪農や畜産も1つのビジネスです。
そのビジネスを「生活のための手段」だけで済まさずに、「社会にとってどのような存在意義のあるものとするか」を考えるヒントを与えてくれます。
酪農業を続けることの意味を問い直すことができれば、迷いが生じずに、仕事により集中して取り組めるようになるでしょう。
また、これからの人材確保を考える場合、「この牧場があることの意味」「この牧場で働くことの意味」を答えられることは不可欠となっていくと思います。
③以前は確かにあった「仕事への熱量」が下がってきた
✓なんとなく仕事に対する熱量が下がってきてしまった人
✓現状維持に安心するが「そればかりではいけない」とも感じている人
先進的な取り組みで日本のIT業界を牽引してきたリクルートの創業者「江副浩正」氏について書かれた本です。
リクナビ、SUUMO、じゃらん、ゼクシィなどリクルートのサービスは多くの人が一度は使ったことがあるのではないでしょうか。
リクルートがどのようにして創業され、破竹の勢いで成長していったのか、ビジネス小説のような読みやすさで楽しむことができます。
「新しいことを始めるのにハードルを上げ過ぎる必要はない」、「楽しいから仕事にまい進できる」といった点を改めて考えさせてくれる本です。
「仕事に対するモチベーションが下がってきてしまった」という人なら、リクルートの誕生と成長の物語から感じる熱量が、自身を奮い立たせるきっかけになるかもしれません。
④「牧場や農場の理念」に何かが足りていない
✓業績は良い牧場なのに「何かが足りない」と感じる人
✓徹底した数字の管理を無機質に感じている人
✓経験に頼った牧場運営に違和感がある人
論理思考や経験・勘に頼った経営だけでは不十分であるということがよく分かるビジネス書です。
酪農牧場や畜産業にもその経営なりの”美意識≒理念や哲学”が必要であるということを感じられます。
業績や技術水準は良好なのに、「何か」が牧場に欠けている。
そのような悩みを持つ場合は是非本書を手に取ってみてください。
⑤「職場のコミュニケーション」が上手くいっておらず雰囲気が悪い
✓不満はあるが口にしない人が多い
✓意見の衝突が多く職場の雰囲気が悪い
✓職場のコミュニケーション不足が気になっている人
牧場で働く人同士のコミュニケーションが上手くいっていない場合におすすめの一冊です。
自身を含めて、人がどれほど相手の話を本当にはちゃんと聞けていないか。
それに気づき、真に話に耳を傾けられるようになることで、どれほど状況が改善されそうか。
こうした点がよく分かる本です。
近隣の酪農家さんと話していても、「コミュニケーションが上手くいかず牧場の雰囲気が良くない」ということは本当に良く聞きます。
この本をきっかけに牧場の中の一人が変われば、そこを起点に牧場の様子が良くなっていく。そんな期待を持てるでしょう。
⑥「新しい試みや改善策」に周囲が協力してくれない
✓朝礼やミーティングをやろうとしても周囲がやりたがらない
✓先輩や後輩に「新しいチャレンジ・改善案」を提案しても嫌な顔をされる
✓「絶対にやった方が良い」と確信のあることが頭にあるが、周囲の協力が必須
タイトルのとおり「どうしたら人を動かすことができるか」について書かれた名著です。
多くの実例を用いて、わかりやすく、読みやすい本となっています。
著者の「人を動かすには相手に”そうしたい”と思わせるしかない」という言葉がすべてだと思います。
牧場を何とかより良くしようとしているけど、周囲の協力が思うように得られない。このような方におすすめです。
⑦従業員のモチベーションが低い、自分から動こうとしない
✓受け身な人が多く、自分から動こうとする人がいない
✓職場のみんなのモチベーションが低い
✓従業員の士気を高めたいけど、何をしたらよいか分からない
昨今注目されている「コーチング」の入門書です。
コーチングは、「対話により相手の主体性を引き出したり、一緒に目標を探したりする」ビジネススキルのことです。
同僚との会話の際、相手の反応次第で自分のモチベーションが上がることもあれば、ガクッと下がることもある。そうした経験はないでしょうか。
対話のしかた次第で相手のモチベーションや主体性を引き出せるということについて学べます。
具体的な方法もたくさん書かれているため、すぐに牧場で実践することができるでしょう。
⑧イライラしてその感情に振り回されてしまう
✓疑心暗鬼になって職場の人間関係に悩んでいる
✓イライラして感情のコントロールができず苦しい
「自分の中の無意識のつぶやき=セルフトーク」が自分の感情や行動を左右している、ということに注目している本です。
例えば、ある同僚がよく始業時間に遅刻してくる場合、それを目にした時に「なんていい加減なんだ」という無意識のつぶやきがまず生まれ、それが自分の怒りを喚起するというようなことです。
そうしたセルフトークに気づいてどう扱えば、自分自身をうまくコントロールできるか解説されています。
アンガーマネジメントにも通じる話ですが、それよりも広い領域に使える内容です。
イライラしていると自分自身も消耗してしまうし、周囲の雰囲気も悪くします。分かっていながら、それでも自分を制御できないというのは非常に苦しいですよね。
相手を変えるのは容易ではないですが、自分の在り様はまだ変えやすいです。
⑨事務所や更衣室がぐちゃぐちゃで片づけられない
✓事務所や更衣室がぐちゃぐちゃで困っている
✓「いつか使うかも」と機械の部品など何でも捨てられない
✓従業員の離職に気持ちが沈んでしまう
片づけという身近なテーマでありながら、世界的なベストセラーとなった本です。
著者の”こんまり”こと近藤麻理恵さんについてはテレビ等で見たことがある方も多いでしょう。
この片づけの本ですが、牧場の事務所や更衣室を片づける場合にとても参考になります。
「整理整頓をしてもしばらく経つとまた元通り」。このような経験があるなら、なぜそうなってしまうのか、どうしたら良いのか、がよく分かります。
また、本書からは「モノを手放すことについてどう考えたらよいか」という大きなテーマについても深い示唆が得られます。
職場から去ってしまう従業員さん、愛情を注いでいた家畜との別れ。こうした場面に通用する考えも学べます。
⑩「漠然とした不安や心配」がつきまとって仕事に身が入らない
✓大きなトラブルや人間関係の悩みで苦しい
✓「この業界はこの先大丈夫だろうか」とぼんやりとした不安がつきまとう
✓新しい職場や、任せられた大役が不安で落ち着かない
「不安や心配」との向き合い方について書かれた名著です。
人生について回り、切り離すことのできない「不安や心配」は、どうしても日々の生活を苦しくします。
そうでありながら、不安・心配とどう向き合ったらよいかは、学校や人から教えられることがそうそうありません。
そうした問題意識から本書は書かれています。
絶望に打ちひしがれた多くの人の事例から、不安・心配とどう向き合ったらよいかを知ることができます。
「飼料の高騰が続いたらうちの牧場はどうなるのか」、「あの人との人間関係が破綻したらすべて終わりだ」、「取り返しのつかないミスをしてしまった」。
こうした苦しさとの向き合い方が分かれば、気持ちもスッと軽くなります。
⑪業界の先行きがわからず「将来の生活が不安」
✓業界の先行きが不安=「将来のお金」が不安
✓酪農仕事はよくわかるけど、仕事で得たお金をどうすると良いかわからない
✓なんとなく「投資をした方が良さそう」と考えているが何をしたらよいかわからない
お金について必要な知識を一冊で学べるベストセラー本です。
書店でも長期間にわたって平置きされている本のため、一度は見かけたことがあるという人も多いかもしれません。
どんなことが書かれているかというと、「保険の見直し方、投資、節約、副業、詐欺からお金を守る方法、豊かなお金の使い方」などです。
マネー関係の本を何十冊と読んできましたが、「人に紹介するなら迷わずこの本」というぐらいお金について知っておくべき内容が分かりやすく、網羅的に押さえられています。
酪農・畜産業界には、先行きを不安視する声がいつの時代もあります。そんな時でもお金の心配を減らすことができれば、不安で苦しくなるということを避けられます。
実際に知り合いの酪農家さんに本書を薦めたところ、すぐに保険の見直しや株式投資を始め、大変喜んでもらえました。
⑫一般書籍や酪農の専門書を読んでも頭に残らない
✓酪農の技術書・専門書を読んでもそのうち忘れてしまう
✓本を読んでも何にも生かせていない気がする
✓読書をどのように生活や仕事に生かしたらよいかわからない
読書術について書かれた一冊です。
「読書のための読書」というと何だか遠回りをしているようであまり気が乗らないかもしれません。
ですが、本を読んでも内容が頭に残らなかったり、学んだことを生かせていないのなら、この本を読む価値は大いにあります。
酪農の専門書やビジネス書を読んでいるなら、何かしら「解決したいこと」があるはずです。そのために本を読んでいるのに、何も成果がないのなら非常に勿体ない。
読書術についての本を一冊でも読む前と後では、本で得た知識の生かし方がガラッと変わるはずです。
⑬「畜産にまつわる小説」があれば読んで気分転換したい
気分転換に小説でも読みたいという時におすすめです。
刑事モノの小説ですが、獣医や肉牛農家が重要人物として登場します。
「食肉産業の闇」といったテーマも扱われています。畜産農家だと家畜を出荷するところまでで仕事が終わり、それ以降について考えることはあまりないかもしれません。ですから、市場に出た後の食肉の流れに思いを巡らせる機会にもなるでしょう。
物語の後半で「震える牛」というタイトルの意味がわかると、畜産農家ならではの驚きや感慨があるはずです。一般の読者よりもリアリティーの感じ方が違うからです。
番外編:ラジオや音楽を聴くように「本の朗読」を聴く
ここまで13冊の本を紹介してきましたが、
✓仕事が忙しく、本を読みたくても時間がない
✓疲れて文字を見る気が起きない
ということもあると思います。
そこで、試してほしいのがAmazonの”Audible”です。
Audibleはオーディオブックという「本を朗読した音声」を聴き放題できるというサービス。
今回紹介した13冊のうち、⑪『お金の大学』を除く12冊は聴き放題対象作品です(本稿作成時点)。
多忙な酪農・畜産関係者と非常に相性が良いです。
作業中にラジオや音楽を聴いているという方は多いですよね。
そこで聴くものを「本」に替えるだけで、ずっと抱えてきた悩みを解決するヒントが見つかるはずです。
無料体験期間が通常30日間あるので、気になる方は是非試してみてください。30日間もあれば、無料で数冊の本を読み終えることができるでしょう。
登録は簡単ですぐに本を聴くことができます。もし合わなくてもいつでも解約できますよ。
オーディオブックについては↓の記事に詳しく書いています。気になる方は是非読んでみてください
まとめ:家畜以外で悩んでいるなら”専門書以外の本”を読んでみよう
本記事では、酪農・畜産の現場で直面する「悩み別」におすすめできる本として次の13冊をご紹介しました。
①「農業の現状」を理解できていない
▶『農家はもっと減っていい 農業の「常識」はウソだらけ』久松 達央
②「仕事の意味や意義」がわからなくなってきた
▶『9割の社会問題はビジネスで解決できる』田口 一成
③以前は確かにあった「仕事への熱量」が下がってきた
▶『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』大西 康之
④「牧場や農場の理念」に何かが足りていない
▶『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 』山口 周
⑤「職場のコミュニケーション」が上手くいっておらず雰囲気が悪い
▶『こころの対話 25のルール』伊藤 守
⑥「新しい試みや改善策」に周囲が協力してくれない
▶『人を動かす』デール・カーネギー
⑦従業員のモチベーションが低い、自分から動こうとしない
▶『新 コーチングが人を活かす』鈴木 義幸
⑧イライラしてその感情に振り回されてしまう
▶『理想の自分をつくる セルフトーク マネジメント 入門』鈴木 義幸
⑨事務所や更衣室がぐちゃぐちゃで片づけられない
▶『人生がときめく片づけの魔法 改訂版』近藤 麻理恵
⑩「漠然とした不安や心配」がつきまとって仕事に身が入らない
▶『道は開ける』デール・カーネギー
⑪業界の先行きがわからず「将来の生活が不安」
▶『本当の自由を手に入れる お金の大学』両@リベ大学長
⑫一般書籍や酪農の専門書を読んでも頭に残らない
▶『レバレッジ・リーディング』本田 直之
⑬「畜産にまつわる小説」があれば読んで気分転換したい
▶『震える牛』相場 英雄
現場で抱えている悩みの対象が「家畜以外のこと」なら、”専門書以外の本”から解決のヒントが見つかるかもしれません。
気になった本が問題解決のきっかけになれば幸いです。
「酪農業に関するおすすめ本」は↓の記事にてご紹介しています