【暮らし】『チェーン・ポイズン(本多孝好)』を読んだ感想・レビュー

暮らし

本多孝好さんの『チェーン・ポイズン』を読了したのでその感想などです。

本田さんの小説については、『MISSING』、『MOMENT』、『WILL』などメジャーどころは一通り読んだことがあります。好きな作家さんの一人です。

どの本だったかは覚えていないのですが、裏表紙にて「同氏の文章は瑞々しい」と表現されていました。これには強く同感です。スルスルと読めるのですが、決して軽すぎるとかそういうことはないです。先日まで読んでいた道尾秀介さんとは、またタイプが違います。二人とも同じミステリー作家というカテゴリーに括られるのでしょうが、それぞれに違う良さがあると思います。

感想

男女2人が主役となり、交互にそれぞれの話が展開されていきます。3件の自殺事案を追う週刊誌記者の男性が謎を少しずつ解明していく一方、その自殺事案に直接関係する女性の話も展開されていくという形です。

序盤~中盤にかけて伏線がめぐらされ、終盤でその伏線が回収されます。ミステリー小説ということもあり、読者をだますようなトリックも仕掛けられています。もちろん私もそのトリックにいつの間にか引っかかっていました。どんでん返しというと大げさかもしれませんが、そういう系統ではあると思います。

読みやすい文章なのもあり、私は伏線とかトリックがどうというよりも終始ストーリーそのものに引き込まれていました。ところが、終盤にトリックの種明かしがあり、そちらの展開のインパクトが強かったです。種明かしがメインになってしまって、ストーリーがやや霞んだ感じといいましょうか。正直、私としては「おっと、そう来るのか…」と肩透かしというか置いてけぼりにされたというか、そういう感想を持ってしまいましたね。トリック云々よりも主人公たちの心の動きにもっとフォーカスしてほしかったという感じです。ただ、こればかりは読者の好みなのでしょう。

余談ですが、本書に登場する女性というのは男性の願望が多分に混じった性格・立ち居振る舞いであるように感じました。女性が読んだ場合には「こんな都合の良い女そんないないでしょう…」と思われるのかもしれません。概して、男性作家が描く女性というのは男性の願望が投影されたものであり、同様に女性作家の描く男性というのは女性の願望が投影されたものであることが多いように思います。以前、私が好きな男性作家の本を妻に見せた際、「こんな(作中の)女性現実にはほとんどいないよ。男性が夢を見過ぎなんじゃないか」というようなことを言われました。また、私自身も『図書館戦争』で有名な有川浩さんの小説を読んだ際、「この男性キャラは女性の願望がかなり入り過ぎでは…」と感じたことがあります。そういう感想を抱く機会は、小説を読んでいるとしばしばあります。本当に余談ですが。

最近の私のように、読後に胸に何かが沁みるような本が読みたいという場合には、本書は少し違うのかもしれません。一方、叙述トリックにかけられ結末を知るまでが楽しい、そういう本を読みたいという際にはちょうど良い本なのだと思います。

いずれにせよ、余暇の過ごし方として本書を読めたことには満足しています。本多孝好さんの本は好きなものが多いので、また別の本も読んでみようと思います。

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