最近一部の投資界隈で話題となっていた主要農薬メーカーの1社「4996 クミアイ化学工業」の
が12月14日に発表されました。
私も期待を込めて自分の中での1銘柄あたりの投資上限額まで買っていましたが、結果的には「期待外れ」となりました。
発表後のPTSでは株価が20%下落、翌日の株価も大きく下げました。投資家の期待がいかに大きく膨らんでいたか、そして失望したかがよく分かる動きだと思います。
個人的に得られる教訓の多い1件だったので、振り返りも交えつつ記事に残しておきます。
先にポイントだけまとめておくと、次のとおりです。
ただ「残念だった」で済ませるよりも、今後の投資に活かせる材料としたいですね。
期待を集めた新中期経営計画の中身は「微妙」
事前の当社公表資料の「文言」が期待を集めていた
そもそもなぜクミアイ化学の決算&新中期経営計画の発表が注目されていたかといえば、↑の画像の下部にある「より株主の皆様の目線に立った株主還元」という文言が要因です。
この表現は最近の当社の決算発表資料には毎回登場していました。
人によっては期待を持たずにはいられなくなるような言葉が注目され、SNSでも話題になり、一時は実際に株価も上がってきていたという感じです。
他にも業績や配当推移が良好であったことも支援材料になりました。
↓以下の記事にまとめてあります
実際の決算&新中期経営計画の中身
12月14日に
が発表されました。
内容を見ていくと「より株主の皆様の目線に立った株主還元」に対応した部分は
- 2023年10月期の追加増配
- 配当性向30%以上を目標
になるようです。
以前は配当性向が20%前後の時もあったため、そこを引き上げたかたちでしょうか。
正直、事前に集まっていた期待に応えるには弱さを感じました。
しかし多くの投資家が失望した点で、私も一番残念だったのは
2024年10月期に大幅な減配(45円→28円)
という内容です。
こうも大きく減配するとは予想外でした。
2024年10月期は減益を見込んでいるため、配当性向30%に忠実に従うとそうなるのでしょうが釈然としない部分もあります。
配当政策は「安定配当」のはずですが、個人的には「業績連動」として見ておいた方が良いと痛感しました。
せめて減配するにしても45円→40円にするなど安定配当の意味を実感させてくれる内容であったら、と思ってしまうのが正直なところです。
得られた教訓や雑感など4点
今回のクミアイ化学工業の1件では得られた教訓や気になった点もいくつかあるため、ここで簡単にまとめておきます。
- 安定配当という言葉の曖昧さに気をつける
- 日本企業の株主還元意識の改善はまだまだ
- 銘柄分散の重要性
- 今後の業績見込み:円ドル140円でバッファーがない
①安定配当という言葉の曖昧さに気をつける
当社の配当政策である「安定した配当」という言葉の曖昧さには気をつける必要があるとあらためて認識しました。
今回のように「安定した配当」とありながら、業績連動型配当の企業と同じように大きく減配することもあるからですね。
私が他の企業からイメージしていた安定配当は
- 業績が落ち込んだ時でも一時的に配当性向を引き上げて配当を維持するか
- 減配しても小幅にとどめる
というものでした。
とはいえ累進配当や増配を明言していない場合は、「安定配当」の意味するところは非常に曖昧です。いつの間にか「安定配当ならそうそう減配しないだろう」といった期待を持たないよう自戒を込めたいですね。
②日本企業の株主還元意識の改善はまだまだ
株主還元意識の高まりが期待されここ最近株価を上げてきた日本企業ですが、実態はまだまだと考えておいた方が無難なようです。
大型株であるほど確度は高まるでしょうが、クミアイ化学工業のように中小型株の場合は「株主還元意識が浸透してきたな」と思えるのはまだ先のことなのでしょう。
こうした時に米国株の連続増配実績の長さが光って見えますね。
日本株と米国株をバランス良く持っておくことの安心感を再認識しました。
③銘柄分散の重要性
銘柄分散の重要性も今回の件であらためて実感。
少数銘柄に集中投資していると、今回のようなケースで大きな損失を被るからです。
私は1銘柄あたりの投資上限額をポートフォリオのごく数%までと決めています。クミアイ化学工業についても買い増したい気持ちを抑えつつ、このルールを守っていました。
結果論ですがこのルールを守っていたおかげで
- 今回の減配
- 今後来るであろう大きな株価下落
でも、精神的なダメージを大して負わずに済みます。
大きな損をしないよう銘柄分散するということは、すなわち大きな得をする機会もないということです。
しかし私は落ち着いて投資を続けたいので、自身のリスク許容度に鑑みてこの方針を続けるつもりです。
④今後の業績見込み:円ドル140円でバッファーがない
クミアイ化学工業の2024年10月期の業績見込みですが、ドル円の想定が140円です。
海外の売上比率が高い中、
- 最近になって高まりつつある円高圧力
- 日米の金融政策の方向性
を考えると、あまりバッファーのない想定だと感じました。
企業によっては130円前後で想定して業績見込みを発表しているところもあります。
そうした企業に比べて
と現時点では見ています。
実質が業績連動の配当政策であるなら、さらなる減配をしないかという点も気になります。
もちろん為替が実際にどう動くか想定しにくいというのはあるでしょう。
いずれにせよ2024年10月期については楽観視しないでおこうというのが今の考えです。
今後の投資方針:ホールドだが新NISAでは考えもの
クミアイ化学工業の株を今後どうするかですが
基本的にホールド
の方針です。
以前の記事にも書いていますが
という理由があるため、あまりさわらずに保有を続けるつもりです。
短期的には株価が大幅に下落して含み損も大きくなるかもしれません。
しかし銘柄分散の効果でポートフォリオ全体に与える影響は軽微なので、そのまま置いておこうと考えています。
一方で新NISAで投資するかどうかは怪しくなりました。
以前はかなり期待していた銘柄だったため、新NISAでも有力な候補でした。
しかし新NISAの成長投資枠では「連続増配株やトータルリターンが期待できる銘柄」を中心に投資していくつもりです。
簡単に減配をする銘柄の場合には、慎重にならざるを得ないというのが正直なところです。
現時点では新NISAの投資先候補としては「脱落」でしょうか。
NISA枠を使う前に当社の姿勢が判明したという点では、このタイミングでまだ良かったのかもしれません。
後悔を生かすためのアクション:自分でも銘柄分析をしてから投資判断する
今回のクミアイ化学の発表内容やその後の株価の暴落を受けて
と後悔した人が、実は多いのではないでしょうか。
その後悔を今後の投資に活かすのであれば
自分でも銘柄分析をし、納得の上で投資するかどうかを決める
という癖をつけることをおすすめします。
納得して投資したのであれば、今回のような結果を受けてもメンタル面がやられにくくなります。落ち着いて結果を受け入れ、反省点を次に活かすことも可能です。
投資をしていて痛いのは経済的損失はもちろんですが、感情面のダメージが最も辛いと思います。
では銘柄分析で具体的に何をするか。
まずは
という基本形を押さえましょう。
銘柄分析アプリは
ものなら何でも良いですが、私自身が利用していておすすめしやすいのは
です。
どちらも
- 日本株、米国株の両方に対応
- 無料で使える
- スマホアプリから使える
と使いやすいのが特徴です。
一番おすすめできるのはマネックス証券の銘柄スカウター(情報の網羅性、見やすさ)ですが、マネックス証券に口座を持っている必要があります。
ただし最短5分で口座開設ができ、残高がなくても使えるので、クミアイ化学の件で後悔からくるエネルギーがあるならすぐできるでしょう。
「今はマネックス証券の口座開設はちょっと…」という人であれば、moomoo証券でも良いと思います。
こちらは口座開設をしなくても、無料の銘柄分析アプリとして利用可能です。
いずれにせよ
自分でも銘柄分析をし、納得の上で投資するかどうかを決める
という行動を、悔しい思いがあるうちに始めてしまうことです。
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まとめ:期待が先行する銘柄には気をつけよう
以上、クミアイ化学工業の2023年10月期決算&新中期経営計画発表に関連してまとめてきました。
ポイントを再掲しておきます。
クミアイ化学は一部の投資界隈でにわかに注目を集め話題になっていた銘柄です。
私自身この銘柄を知ったきっかけはSNSでした。
銘柄分析をして自分の投資方針と照らしたうえで投資をしているため、今回の結果を受けても特段の後悔はありません。
もちろん予想外で驚いてはいますが。
「期待が先行している銘柄にはより一層慎重に」
今回得られたこの教訓を今後の投資に活かしていきたいです。