- 酪農業で働くことに興味がある
- 酪農業で実際に働くことが決まっている
- 酪農業で働き始めたばかりで不安を抱えている
そうした人の参考になるかもしれないということで、私が就農したての頃に、
- 苦労したこと・大変だったこと
- その対処
をいくつか取り上げています。
前回は、4つ目として「勤務時間帯」が特殊であることでした
そして今回取り上げる5つ目は、酪農業についての一般的なイメージのとおり「休日が少ない」ことについてです。
ポイントだけ先に書いておくと、
- 私の地域やその周辺では、家族経営(≒個人事業主)の場合で月2~3日、法人経営の場合で月7日程度の休みというケースが多い
- 特別な対処はなく、慣れるもしくは諦めがつく
- 個々の牧場で月休にはかなりの幅があるので、休みがしっかり欲しいという人はそういう経営方針を採っている牧場を探すことがおすすめ
です。
以下、具体的に書いていきます。
説明:酪農業はイメージ通り休日が少ない
休日が少ない。非常にシンプルなことですが、その辛さは今なお感じるところです。
酪農は勤務時間が変則的であるということを前回書きましたが、休日についても同様です。
それまでの学生・社会人生活で当たり前であった休日観が全く通用しないこととなりました。
多くの人はこれまでも、そして今も週休2日(概ね土日+祝日)ということが多いでしょう。仕事によってはもちろんそうでない方もいらっしゃると思いますが、多数派はやはり週休2日(もしくはそれ以上)かと思います。
酪農では多くの牧場でそれがあてはまりません。
私の周辺の例:家族経営で月休2~3日、法人経営で月休7日程度
私の地域やその周辺では、家族経営(≒個人事業主)の場合で月2~3日、法人経営の場合で月7日程度の休みというケースが多いです。
以下私の場合について説明します。
私の勤める牧場では、休日は就農当時で月2~3日でした。(今は月4日程度)
月2日ということは2週間働いてようやく1日の休みがあるというペースで、月3日であれば10日間働いてようやく1日の休みがあるというものです。
言い換えると、14連勤もしくは10連勤の後お休みが1日だけあるということです。これを毎月毎月ずっと繰り返していくわけです。想像していたよりも苦しいものがありました。
肉体的に大変なのはもちろんですが、精神的にも厳しい。
これまでの人生経験から、5~6日ほど仕事が続くと「そろそろ休みかな」という体に染みついた感覚が湧き上がってきます。しかし実際にはまだまだ休みは先です。そこからの1日1日というのは体感的にとても長く感じました。
なぜこれほどまでに休みが少ないのかというと、
- 酪農業では、毎日必ず行う作業(搾乳やエサやり、糞処理など)がある
- すなわち毎日必ず誰かが牧場で働く必要がある
- 家族経営的な牧場では人員が不十分な傾向が強い
という2点に集約されます。
私の勤め先では、酪農ヘルパーさんが牧場仕事を代わってくれる日のみ休みが取れます。
それ以外の日は、誰かが仕事を休むと、残りの人員の労働負荷がかなり上がるということで、基本的に休みは取れなかったですね。
対処・経過:諦めがつく
休日が少ないということにもいずれ慣れてきました。
もっと正確にいえば諦めがついてきたということかもしれません。
私の場合で就農から半年ほど経った頃からでしょうか。
あくまで慣れたというだけなので、「これで良い・これで十分だ」というような納得感が生まれたわけではないということは重要ですね。
雑感:休日の少なさは業界全体で課題感が強い
酪農業が慢性的に人手不足である大きな理由の1つがこの「休日の少なさ」です。自分もサラリーマンから転職したことで、そのことが本当によく実感できました。
仕事をして給料を手にしても、それをなかなか使うことができなければ、なんのために仕事・生活をしているのかわからなくなりますよね。
「人生とは時間である」という言葉は時々目にします。
生活のために仕事をするということはもちろん必要ですが、そればかりに時間を使う必要があるというのはやはり好ましくないでしょう。
昨今は、週休3日制、場合によっては週休4日制という言葉すらメディアで紹介されるような情勢です。その中にあって週休2日がままならないということであれば、酪農業に人が集まりにくいということは必然ともいえます。「そういう業界だから…」というように酪農の経営層が諦めてしまい、意識改革が進まなければ、ますますジリ貧になっていくと思います。
休みが少ないというこの酪農業界の古くからの問題は、個々の牧場では改善の傾向がみられるところもあります。この辺りは、経営者の考えがどうかというところに強く依存しています。
「休日が少なくても構わない」、「とにかく牛・仕事が好き」という方は休日数の少ない牧場でもしっかり働いていけると思います。
一方で、「休みもしっかり欲しい」という方は、経営者がそうしたことに前向きで、かつ募集要項で休日数が多い牧場で働くことをお勧めします。
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