【酪農】業界動向や私の労働状態(定点観測/2022年6月)

酪農

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2022年5月に始めた酪農ジャンルに関する定点観測記事となります。

定点観測記事を始めた趣旨は次のとおりです。

酪農業は多くの方々からは遠い存在です。

一方で、一定数ですが遠いところから酪農に興味を持たれている方もいます。仕事としての酪農に興味がある方や牛乳や牛肉の消費者さんですね。

ですが、その興味関心に十分に応答できている情報媒体はそれほど多くないというのが私の印象です。

なのでこの記事では、

  • 一酪農家から見た現在の酪農業界動向
  • 私の労働状態考えていること(酪農業で実際に働いている人間の一事例として)

について簡単に記していきます。

いずれも酪農を仕事とする一個人の私見ですが、酪農に興味を持たれている方に対して現場の声・温度感を届けるという意味で何か参考になればうれしいです。

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酪農情勢

景況感

ここ数カ月のトレンドのまま、非常に悪いです。

大きいのはやはりインフレ・各種大幅な値上げ。

致命的なのはエサ代の値上がりです。特にトウモロコシなどがミックスされている配合飼料価格ですね。

こちらは3カ月ごとに単価が改定されるのが業界慣行。7~9月分の配合飼料単価が6月下旬に発表される見込みです。

ここで見込まれているのが、大幅な値上げ。

次のような世界情勢の影響を受けている模様です。

  • ロシア・ウクライナの問題を受けた穀物価格の上昇
  • 原油高による輸送費高騰
  • 円安による輸入飼料価格の高騰
  • その他諸々

一朝一夕には解消されないであろう問題が根幹にあります。

現時点で酪農家にとっては非常に苦しい価格水準なので、そこに大幅な値上げが乗ると、大変強いダメージが業界に波及することになるでしょう。

先日目にした新聞記事では、「2022年は多くの酪農家が赤字に陥る」との予測が掲載されていました。

赤字というのは非常に重いことです。

正確な言い方ではありませんが、年間を通して重い労働負荷に耐えた結果、年初よりも年末の方がキャッシュが減っているわけです。時給で表現すると、1時間働くとマイナス○○円ということ。その一年の苦労は何だったのかということになりますね。

事業を営むとはそういうリスクを請け負うことだというのは当然です。しかし、その当事者に自分がなった時、果たしてそれだけで割り切れるものでしょうか。

酪農業界にとって厳しいのは、この苦しい経営環境が短期間に改善される見通しがないことです。

見通しというのは大きい。せめて将来に希望が見い出せれば今を踏ん張る原動力になりうるからです。

業界が抱えている課題(最近のトピック)

  1. 飼料費の高騰(特に7~9月期の飼料単価がどれほど高水準になるのか)
  2. 物流の滞りにより必要なものが手に入りづらい(中国製の機器、海外産の牧草など)
  3. 各種の値上がり(ガソリン、機械類、牧草地用の肥料、等々)
  4. 飼料など原材料費の高騰を生乳の売上単価に反映させられるのか否か
  5. 先行きの不透明さを受けて肉用牛の子牛相場が下落(=酪農家にとっての副収入減少)
  6. 上記全般を受けて、2022年は多くの酪農家の損益が非常に厳しくなる見通し

業界が抱えている慢性的課題

  1. 飼料の海外依存度が高く、飼料価格に経営が大きく左右される
  2. 需給調整が難しく、しばしば生乳廃棄危機が取り沙汰される
  3. 慢性的な人手不足
  4. 人材の定着率が悪い

私の労働・考えていること

一日の労働時間

5月と変わらず毎日13時間ほどです。

  • 6~10時→牛舎での通常作業(搾乳、飼料給与、糞処理など)
  • 10~11時→朝食・休憩
  • 11~16時→牧草地での収穫作業 ※昼食はトラクターの中でおにぎりやパンを急いで食べる
  • 16~20時→牛舎での通常作業(搾乳、飼料給与、糞処理など)

という具合。

牧草地作業がある繁忙期のため、1年の中で最も忙しい頃です。

なお、牧草地作業がない時期は1日10時間ほどです。

月間休日数

3日ほどです。

牧草地作業がある繁忙期のため、いつもの月より1日ほど少ないです。

個人的には月に5日ほど休みがあれば、仕事と休日のメリハリが一番つきやすい気がしています。

最近気になっていること

  1. しばらく前に折れた自身のモチベーションがなかなか持ち直さないこと(底打ちはしている)
  2. 酪農業界を取り巻く大変厳しい経営環境に、どれだけの酪農家が耐えられるか
  3. コロナ関連の規制緩和で、牛肉や乳製品の消費がどれだけ持ち直すか(主に観光・外食産業)
  4. 行政から畜産業界に支援策が講じられるか否か(業界の努力が必要なのは言うまでもないが、経営努力だけでは太刀打ちできない厳しさが経営を取り巻きつつある)

作業中に聴いているポッドキャスト

  1. COTEN RADIO(歴史ジャンルですが、得られる知見は歴史に限らず幅広く、エンタメとしても秀逸です)
  2. COTEN RADIO Spotifyオリジナル版(これを聴くためだけにSpotifyをダウンロードしました)
  3. a scope(COTEN RADIOつながりの教養番組)
  4. 超相対性理論(COTEN RADIOつながりの雑談番組)
  5. みんなの才能研究所(COTEN RADIOつながりの雑談番組)
  6. ブックカタリスト(読書家お二人の読書に関する番組。私が聴く中で唯一COTEN RADIOと無関係)

酪農業はルーチン作業が多いので、ポッドキャストを聴きながらでも十分に作業ができます。ただし、集中力が必要でかつミルカーの作動音などに注意が必要な搾乳作業は例外。

ルーチン作業が多くなると、どうしても日々新しく学ぶことが少なくなりがちです。

ポッドキャストで多少なり知識や考えを自分に新しく取り入れられると良いなと思っています。

最後に

2022年6月現在の所感としては以上です。

今回の記事が酪農後継予定者、酪農業界で働いてみたい人、消費者として酪農に興味のある人、そのような方々の参考に少しでもなればうれしいです。

引き続き、不定期に(できたら月1回程度)定点観測記事を書いていきます。

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