酪農や牧場といえば「休みがない」というイメージが一般的です。
酪農家になりたいという人や、酪農牧場に従業員として就職したいという人にとっては非常に気になる点ですよね。
実際のところ酪農業の休み・休日数はどんな感じなんだろう
そんな疑問に対する内容を一酪農家として記事にしてみます。
具体的には次の3点から考えてみます。
- データから見る酪農業の休日数(月休・年間休日)
- 一酪農家である私の休日数(月休・年間休日)
- 私の周辺の酪農家さんとその従業員さんたちの休日数
先にポイントだけまとめておきます。
- <ポイント>酪農業でも休日はとれるしとっている。だが、休日数は牧場ごとの違いが大きい
- データから見る酪農業の休日数
- 月休:1.5~2日
- 年間休日:18~24日
- 一酪農家である私の休日数
- 月休:3~4日
- 年間休日:36~48日
- 私の周辺の酪農家さんとその従業員さんたちの休日数
- 家族経営の酪農家さん:3~4日/月、36~48日/年
- 法人経営の従業員さんたち:6~8日/月、72~96日/年
↓酪農業の労働時間にフォーカスした記事もあります。
そもそも:酪農業の休日確保の方法
そもそもの話ですが、酪農業では主に2通りの休日確保方法があります。
- 酪農ヘルパーさんの利用
- 牧場内で十分な人員を確保してシフト制で休む
です。
全国の酪農家さんの中では、酪農ヘルパーさんの利用で休日を確保しているというところが多数派です。
※牛は365日世話をする必要があるので、毎日必ず誰かしらが牧場で仕事をする必要があります。
酪農ヘルパーさんの利用
酪農ヘルパーとは、酪農家の代わりにその日の牧場仕事を行ってくれる方々です。
(特に家族経営・小規模経営の)酪農家は酪農ヘルパーさんに手数料を払って休日を確保しています。
牧場内で十分な人員を確保してシフト制で休む
文字通りですが、従業員さんを多く雇用して、シフトを組んで休むスタイルです。
この場合は、酪農ヘルパーは利用しないという牧場が多いです。
法人経営の牧場に多いスタイルですね。
データから見る酪農業の休日数(月休・年間休日)
データは一般社団法人中央酪農会議と農林水産省の資料から引用しています。
まず、中央酪農会議が出している資料(上の画像)で見ると、全国平均で酪農家の年間休日数は約18日です。
月当たりで1.5日ですね。
次に、農林水産省が出している資料(上の画像)で見ると、最新のR2年度で年間休日数は約24日です。
月当たりで2日ですね。
2つの資料からは、
- データから見る酪農業の休日数
- 月休:1.5~2日
- 年間休日:18~24日
ということが読み取れます。
参考として、一般企業で一つの目安とされる土日祝日休みの場合、年間休日数は約120日となります。
酪農業の年間18~24日という休日数は相当に少ないということがいえます。
まずは酪農業の休日をデータから見るとこのようになります。
一酪農家である私の休日数
先ほどのデータは、色々な酪農家のデータから算出したあくまで平均値ということになります。
一方で、酪農業といっても全国に様々な牧場があり、規模から経営方針まで本当に色々です。
つまり、牧場によって休日数にもかなりの幅があり、データからだけではその実態がつかみにくいというのが私の考えです。
そこで、ここからは酪農業の休日数の「実際」として、
- 一酪農家である私の休日数
- 私の周辺の酪農家さんとその従業員さんたちの休日数
について紹介します。
あくまで一事例としての紹介にすぎませんが、先ほどのデータと併せて、複数の観点から酪農業の休日数を捉える材料としてもらえるとうれしいです。
様々な牧場がある中での、あくまで「一事例」としてのご紹介です
私の休日数
- 月休:3~4日
- 年間休日:36~48日
です。
酪農ヘルパーさんが牧場に来てくれる日が私の休日となっています。
この酪農ヘルパーさんですが、地域によって構成人数や利用状況が違います。
私の地域のように各牧場が月に3~4日利用していることもあれば、ある地域ではヘルパーさんの人数が不足気味で月に1~2回しか利用できないということもあります。
酪農ヘルパーを利用することで休日を確保している酪農家の間でも、月の休み、ひいては年間の休日数にも違いが出てくるということになります。
私の周辺の酪農家さんとその従業員さんたちの休日数
- 家族経営の酪農家さん:3~4日/月、36~48日/年
- 法人経営の従業員さんたち:6~8日/月、72~96日/年
です。
私が周辺の酪農家さんやそこで働く従業員さんたちから聞く話では、概ね上記の範囲に収まっていることが多いです。
家族経営と法人経営で休日数にかなりの違いがありますが、ここについて少し説明します。
まず、家族経営の場合は酪農ヘルパーを利用することで休日を確保することが主流です。その場合、利用の度に手数料がかかることや、酪農ヘルパーさんの人員の都合などから月当たりの休みは少なくなりがちです。
一方、法人経営の牧場では従業員さんをたくさん雇用して、その中でシフトを組んで順に休んでいく体制を採っていることが多いです。従業員数が不足気味でなければ、4週6休や週休2日という休日数で回せている牧場が多いですね。
なお、法人経営の酪農家さん自身の休日数については、社長という立場もあってなんだかんだ毎日牧場に行っているという人もいたり、従業員さんの休日の取り具合に合わせて合間に休むという人もいたりとばらばらで、参考にできそうな数値が出せないので割愛としています。
まとめと感想
まとめ
今回見てきたことは、
- <ポイント>酪農業でも休日はとれるしとっている。だが、休日数は牧場ごとの違いが大きい
- データから見る酪農業の休日数
- 月休:1.5~2日
- 年間休日:18~24日
- 一酪農家である私の休日数
- 月休:3~4日
- 年間休日:36~48日
- 私の周辺の酪農家さんとその従業員さんたちの休日数
- 家族経営の酪農家さん:3~4日/月、36~48日/年
- 法人経営の従業員さんたち:6~8日/月、72~96日/年
ということでした。
データ上の数値だけで判断すると、酪農業が非常に休みの取りづらい仕事に見えます。
それは一面正しいのですが、一面では間違ってもいるということが本記事を通して分かっていただけたかと思います。
つまり、酪農ヘルパーの利用で休日を確保するスタイルの牧場から、従業員を多く雇用し、シフトを組んで休日を確保するスタイルの牧場まで様々あり、牧場ごとに休日数の幅がかなりあるということです。
感想
ここまで実例やデータに基づく話を中心にしてきましたが、最後に私の個人的な感想も書いておきます。
現在の私の年間休日数はだいたい48日です。
サラリーマンであった時は年間120日ほどでしたので半分以下の休日数しかありません。初めは非常にしんどかったですが、今では体が慣れてきました。
それでも、本音を言えば休日はもっとしっかりとほしいですね。世代的な価値観もあるでしょうが、オンとオフのメリハリをつけて、仕事をする時はしっかりと仕事に集中し、休みの日は私生活を楽しむというスタイルが理想です。
そうした体制を整えるには、
- 誰が休んでも牧場が回る体制(業務マニュアルやOJT)
- 十分な人員確保
- 十分な人員を雇用できるだけの利益を上げる仕組みができていること
- それらに対する経営陣の前向きな姿勢
が必要だと考えています。4つ目が実は一番根深い問題だとも感じています。
さて、最後にあらためてということですが、全体平均で見れば休日数の少ない酪農業ですが、突き詰めれば「その牧場次第」ということになります。
月に1日休めるかどうかという牧場もあれば、年間休日数100日以上で求人を出している牧場、将来的な週休3日制を目指して動いている牧場まで様々あります。
酪農業で働くことに興味があるという方は、「酪農業は」という大きい括りにどうか囚われず、自分の求める条件に少しでも近い牧場を探したり、目指すということをおすすめしたいです。
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酪農業の労働時間にフォーカスした記事もあります。