畜産・酪農牧場での作業は、季節の変化に影響を受けやすい屋内外や、時に汚れが付きやすい環境の中で行われます。
作業着は、そのような現場で「快適さと安全性」を確保するために欠かせない存在です。
しかし、
✓畜産の現場に行ったことがなく、そもそもどんな服装をしたらよいか分からない
✓なんとなくツナギを着てるけど他の服装も知りたい
✓暑い時期や寒い時期はどんな対策をしたらよいか分からない
✓どこで作業着を買えばよいか想像がつかない
このようなことが気になる方もきっと多いでしょう。
本記事では、実際に酪農の現場で働いている私が見聞きしてきたことを基に、「畜産・酪農牧場での作業着の実際」に焦点を当て、選び方のポイントやどこで買えば良いか等ご紹介します。
快適な作業着を選ぶことで、効率的な作業と安全な環境を両立させることができます。
この記事を通じて畜産・酪農牧場での作業着の選び方について知り、より快適な作業環境を築く一助としていただければ幸いです。
畜産・酪農牧場での作業着の実際:ツナギを着る人ばかりではない
牛、豚、鶏といった畜産業の現場といえば、なんとなく「ツナギを着ている人が多い」とイメージする人が多いのではないでしょうか。
このイメージでも間違っていないのですが、実はツナギ以外の服装で働いている方もかなりいます。
「畜産現場での作業着の実際」として次の5点について見ていきましょう。
❶ツナギを着ている人は体感的には4割ぐらい
❷ツナギ以外の服装例
❸頭にはタオルやキャップ、ニット帽など
❹足元は長靴や運動靴
❺腕時計はG-SHOCKが多い
❶ツナギを着ている人は体感的には4割ぐらい
私がこれまで酪農牧場、養豚場、養鶏場などで見てきた体感としては、「ツナギを着ている人は4割ぐらい」です。
ツナギというのは↓のような上下一体となった一着のことです。
実際、私が見てきた中でもこの商品を使っている人が多い印象があります。
色は赤や水色といった目立つ色よりも、茶色や紺色といった落ち着いた色を選んでいる方が多いです。
❷ツナギ以外の服装例
では、ツナギを着ていない人たちはどのような作業着を着ているか。
人によって本当に様々です。「いかにも作業着」という感じから「私服で着ていても違和感がない」というカジュアルな感じまで幅は広いです。
「いかにも作業着」というと↓のようなものです。
作業着を考えたり選んだりするのが手間だという人や、機能性を重視したいという人はこういったものが良いでしょう。
一方、「畜産の現場で仕事をするからといって”いかにも”という作業着を着たくない」という人などは、↓のように私服で着ていてもそれほど違和感のない長袖シャツ、ポロシャツ、チノパンなどを着用していることもしばしばあります。
本人が「汚れても仕事用だから構わない」と割り切ってさえいれば全く問題ないでしょう。
また、酪農の搾乳作業など体が濡れやすい現場では↓「ヤッケ」という簡易のカッパのような服を着ていることも多いです。
軽量で撥水性に優れ、価格も安いという特徴があります。
❸頭にはタオルやキャップ、ニット帽 など
畜産の現場では、時にはホコリや家畜の糞尿などが体に付いてしまうことがあります。
それは頭も例外ではありません。
ですから、畜産の現場では誰しも頭に何かしらを身につけていることが多いです。
例えば、↓のよう普通のタオル。ラーメン屋さんのように頭に巻きつけて後ろで縛るという感じです。
タオルではなく、通気性の良い帽子やキャップを被っている人も多いです。↓のようなものです。
また、それほど多いわけではないのですが、「農業だからといって野暮ったい外見にはしたくない」といった理由などから↓のような帽子を着用する方もいます。
冬には↓のようなニット帽を着用する方が多いです。
❹足元は長靴や運動靴
畜産の現場では何を履くか、という点では「長靴や運動靴」が多いです。
畜舎の中では長靴、それ以外の場所では運動靴という感じです。
長靴であれば
↑の商品のように、
✓耐油:長靴がヒビ割れてすぐダメになってしまわないように
✓先芯入り:重いものが落ちたり、家畜に踏まれた時にケガをしにくいように
という2点を押さえておくと良いでしょう。
知らず知らずのうちに私は耐油でない長靴を酪農牧場で使用して、1カ月ほどでヒビ割れして使えなくなるという経験を何度かしてしまいました。
また、先芯の入っていない長靴を履いていた時に牛に足先を踏まれ、爪が割れてひどく痛い思いをしたこともあります。
同じような経験をする方が減ってほしいため、上記2点については念押ししておきます。
運動靴については、
↑のようなスポーツタイプのものを履く方が多いです。
1日に何時間も立ち作業をする畜産の現場では、何を履いているかで仕事が終わった時の疲労感が全く違います。
個人的にも、長靴ではなく、普通の靴で作業をするような畜産の現場では、有名なメーカーのスポーツシューズを買って使用することをおすすめします。
1000円や2000円で買えるタイプの運動靴と違って、クッション性が抜群に良く疲れがたまりにくく、結果として仕事のパフォーマンスも上がるためです。
❺腕時計はG-SHOCKが多い
腕時計をするかしないかは好みで分かれますが、腕時計をしている場合はカシオのG-SHOCKが多いです。
↑のジーショックを使っている方はしばしば見かけます。
なぜG-SHOCKが多いかというと、次のような理由からです。
✓汚れや水に強い
✓ソーラー電池で屋外作業との相性が良い
✓G-SHOCKというブランドへの信頼感
「スマートフォンで時間を確認すれば良いじゃないか」と思われる方もいると思いますが、畜産の現場ではそれが難しいことも多いのです。
手が汚れていてスマホを触りたくないということが非常に多いからです。
畜産の現場で腕時計がほしいという場合は、「まずはG-SHOCK」という選択が無難だと思います。
畜産・酪農牧場用に作業着を選ぶ時のポイント5つ
ここでは、畜産の現場で気をつけたい「作業着を選ぶ時のポイント」についてご紹介します。
❶ストレッチが利いている
❷破れにくい
❸汚れても気にならない
❹素材はできれば綿製
❺フード付きの服は要注意
❶ストレッチが利いている
まずは「ストレッチ機能がある」作業着をできたら選びましょう。
肉体労働が基本となる畜産の現場では、体を屈めたり伸ばしたり色々な姿勢をとることになるからです。
そのような時に服が突っ張ったりすると、作業がしにくく、ストレスも感じてしまいます。
”絶対”とはいえませんが、できればストレッチ機能のある作業着を選ぶことをおすすめします。
❷破れにくい
破れにくい頑丈な素材の作業着を選ぶことも重要です。
普段の私生活で服が破れることはそうそうないでしょうが、畜産の現場ではそうもいかないためです。
畜舎のクギやネジ、牛に咥えられて引っ張られるなど、思わぬところで簡単に服が破れてしまうということがしばしば起きます。
薄手の作業着よりも、厚みのあるしっかりとした作業着を選ぶことをおすすめします。
❸汚れても気にならない
言わずもがなですが、「汚れても気にならない」服を着用しましょう。
ホコリや家畜の毛や糞尿、機械のオイルなど色々な汚れが付く可能性があるためです。
初めから作業着として割り切って買うのも良いでしょうが、捨ててしまうつもりだった私服を作業着として使うのも一つの手といえるでしょう。
❹素材はできれば綿製
作業着はできれば綿製のものにしましょう。
綿製以外のもの、例えばポリエステル100%の作業着だと、熱がこもって大変不快な思いをすることになるからです。
畜産の現場は空調の利かないところが多いです。
私も以前は服の素材など気にしたことがありませんでした。しかし、真夏にポリエステル100%の服と綿100%の服を着た時とでは、べたつきや快適性が全く違い、それは仕事のパフォーマンスにも十分に影響してしまうほどでした。
実際に体感するのが一番わかると思いますが、「作業着はできれば綿製」という選び方をするのがおすすめです。
❺フード付きの服は要注意
働く現場にもよるのですが、フードが付いた服を着用するかどうかは気をつけた方が良いでしょう。
仕事で使う機械によっては回転するものがあり、そこに思いがけずフードが巻き込まれると大変危険だからです。
実際にそうした事故の例も稀にですがあります。
補足:作業着の洗い方については別記事をご覧ください
仕事で使って汚れたり、においがついてしまった作業着をどうするか。
気になるという方は↓の記事内でご紹介しているので見てみてください。
真夏・真冬の作業着の工夫例
ここまで通常の作業着の実例をご紹介してきました。
しかし、真夏や真冬は通常の作業着では耐えきれない暑さや寒さとなることがあります。
ここではそうした時に、どのような服装で対策ができるかを簡単にご紹介します。
❶真夏:ファン付きの作業着なら体に堪える暑さものりきれる
❷真冬:百円ショップのネックウォーマー、二重靴下、ユニクロのヒートテックを活用しよう
❶真夏:ファン付きの作業着(空調服)なら体に堪える暑さものりきれる
畜産現場での真夏は本当に過酷です。
クーラーの利いた場所で仕事ができることはほとんどないからです。
そのような時に活躍してくれるのが「空調ファン付き」の服です。
「何となく見たことがある」という人も多いかもしれませんが、高価ながらもこれを愛用している人は多いです。
畜舎の周りの草刈りや牧草地での作業など、屋外で作業をする時にこうした空調服を着ているだけで「ストレスが格段に下がる」と話す農家さんは非常に多いです。
❷真冬:百円ショップのネックウォーマー、二重靴下、ユニクロのヒートテックを活用しよう
空調が利かないという条件で同じく厳しいのが真冬です。
この時期は、
- 百円ショップでも買えるネックウォーマーを着用して暖をとる
- 靴下を二重に履いて足先の冷えをしのぐ
といった工夫が可能です。
また、最も効果的なのは「ユニクロの超極暖や極暖といったヒートテックシリーズの商品を着用する」ということです。
これらをインナーとして着用した上に、ツナギなど通常の作業着を着るだけでかなりの寒さ対策が可能です。
作業着を買うなら「店舗」か「ネット通販」
「実際にどこで作業着を買った良いか」という点ですが、店舗でもネット通販でもどちらでも大丈夫です。
❶店舗で買うなら「ユニクロ」か「カインズ」か「ワークマン」がおすすめ
❷「Amazon」「楽天市場」「Yahooショッピング」などネット通販でも買える
❶店舗で買うなら「ユニクロ」か「カインズ」か「ワークマン」がおすすめ
お店に直接行って作業着を買うなら
- ユニクロ
- カインズなどのホームセンター
- ワークマン
がおすすめです。
価格と機能のバランスが良いためです。
「作業着でユニクロ?」と思われる方もいるかもしれませんが、初めから仕事用として割り切って着るのであれば、ユニクロの服は機能性や見た目といった点で非常に使い勝手が良いです。
ユニクロでよく服を買うという方には
ハピタスという大手ポイ活サイトがおすすめです。
ハピタス経由でユニクロの服を購入するだけで、ポイント還元が受けられるためです。
「仕事用の服を買うなら、少しぐらいは得もしたい」
そのように感じるなら一度チェックしてみてください。
❷「Amazon」「楽天市場」「Yahooショッピング」などネット通販でも買える
Amazon、楽天市場、Yahooショッピングといったネット通販で作業着を買っても問題ありません。
わざわざお店に行く時間や手間が惜しいという人はネット通販で済ませてしまいましょう。
迷ったら「とりあえずツナギ」がおすすめ
「畜産現場での作業着の実際」についてご紹介してきましたが、
「やっぱりどんな作業着を用意したらよいか分からない」
という方は、とりあえずツナギを用意しておくのが無難だと思います。
着用している人が多い↓の商品の、落ち着いた色のもの、
もしくは「もう少し見た目にこだわりたい」という人は↓のようなもの
を着用すれば大丈夫でしょう。
まとめ:作業着選びにはあまり時間をかけすぎないようにしよう
この記事では、実際に酪農の現場で働いている私が見聞きしてきたことを基に、「畜産・酪農牧場での作業着の実際」に焦点を当て、選び方のポイントやどこで買えば良いか等ご紹介してきました。
日常の生活とは少々縁遠い場所のために、どんな服装をしたらよいか迷ってしまう方も多いと思います。
色々と説明しましたが、「迷ったらツナギ」にしておくのがとりあえずは無難だと思います。
いざ現場に行くと「案外こんなものか。服装のことに悩んで時間を使っていたのがもったいなかったかな」と感じるものです。
この記事でおおよそのポイントがつかめたら、サクッと買ってしまって他のことに時間を使いましょう。
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