酪農業で働いている人というと、
- 農業高校を卒業した人
- 大学の農学部を卒業した人
がほとんど。そのようなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
また、
- 酪農業で働きたいけど、自分の学歴はどういう扱いになっているんだろう
と気になる方もいるでしょう。
今回は、私の周辺の酪農家さんの例やそれ以外に見知った情報(業界誌等)などから、「酪農と学歴」の傾向について簡単にご紹介します。
結論を先に書いておくと、
- 現役の経営者層
- 農業高校、酪農学園大学が多い
- 酪農と直接関係した学歴が多い
- 後継予定者
- 酪農学園大学、大学(農学部以外もしばしば)が多い
- 今の経営者層と比べると大卒の割合が高まっている
- 従業員さん
- 農業高校、専門学校、農業大学校、大学(文系・理系いろいろ)など様々
- 実際に働き始めるまで酪農のことを学んだことがなかったという人も多い
というものです。
*あくまで私の周辺の酪農家さんにおいての話ですが、酪農と学歴という情報が少ない中、参考になる部分があれば幸いです
現役の経営者層=酪農家(社長や個人事業主)の場合
まず、酪農家(法人であれば社長、法人にしていなければ個人事業主)ですが、
- 農業高校
- 酪農学園大学 *北海道の大学
- 大学の農学部系
の卒業者が多いです。
今、社長をやってる方の場合だと特に1と2が多い印象ですね。
全体的な傾向でいえば、学歴が酪農と直接関係していることが多いでしょうか。
稀に、大学の獣医学部を卒業して獣医師免許を持っている酪農家さんもいます。
この場合は、自身で病気の牛を治療できるため、コストが抑えらえれ経営的には有利です。ただし、通常の酪農作業をこなしつつ治療まで自分で行う場合は、肉体的・時間的にはかなり大変なようです。
酪農後継予定者の場合
酪農後継予定者、基本的には酪農家の息子・娘という場合が大多数となりますが、こちらは
- 農業高校
- 酪農学園大学
- 大学(農学部)
- 大学(経済学部など農学部以外)
の卒業者が多いです。
今、酪農後継者という立場の人でいうと、2~4が多い印象ですね。
全体的な傾向でいえば、学部問わず大卒が多いでしょうか。
4の場合だと、
4年制大学卒 → 一般企業に就職 → 実家の牧場へ転職
というステップを踏む方もしばしばいます。
東大京大や早慶上理と括られる大学群を卒業して実家の牧場に入られている方も少数ながらいますし、地方国立大学卒の方もしばしばいます。
農業大学校や酪農学園大学といった、学校で酪農を専攻していた方たちだと、アメリカやカナダといった酪農先進国に1~2年留学していたという方も時折います。
従業員の場合
従業員さんの場合だと、学歴の幅はかなり広くなります。
- 農業高校
- 専門学校(主に動物系)
- 農業大学校(いわゆる農大、主に2年制の専門学校的なもの)
- 大学の農学部
- 大学の獣医学部
- 大学の農学部・獣医学部系以外(法学部や経済学部など)
特徴的なのは、「牧場に就職するまで酪農について学んだことがない」という方もかなりいるという点です。
なお、以下のように就職先が法人か個人かで、学歴の傾向がやや分かれます。
法人
法人に就職される従業員さんでは、2~6が比較的多いです。
すなわち専門学校以上卒の方が多いです。
採用の募集対象として、4年制大学卒以上の学歴を指定している牧場もよくあります。
中でも、5の獣医学部卒の方は重宝されますね。採用につながれば、牛の治療を自前でやれることになり、経営上のメリットが大きいからです。
私の周囲の社長さんでも、「大卒者を積極的に採用したい」と話す方は多いです。
個人事業主
個人事業主の牧場に就職される従業員さんの場合は、1~6まで学歴はかなり幅広い傾向にあります。
とはいえ、個人事業の牧場では、法人と比べると社会保険などの福利厚生面で見劣りすることが多く、大卒者の採用はそれほど多くない(=大卒者の応募が相対的に少ない)印象があります。
一方、私の周辺で、従業員教育に理解のある個人事業主の牧場では、大卒の従業員さんがアットホームな環境でのびのびと能力を発揮され、農場長を任されているケースなどもあります。
まとめ
今回は、酪農業で働いている方と学歴の傾向について紹介してきました。
- 現役の経営者層
- 農業高校、酪農学園大学が多い
- 酪農と直接関係した学歴が多い
- 後継予定者
- 酪農学園大学、大学(農学部以外もしばしば)が多い
- 今の経営者層と比べると大卒の割合が高まっている
- 従業員さん
- 農業高校、専門学校、農業大学校、大学(文系・理系いろいろ)など様々
- 実際に働き始めるまで酪農のことを学んだことがなかったという人も多い
記事を書いてみて、酪農家も従業員さんも、農業高校や農学部卒がそれなりに多いなと感じた次第です。
一方で、一般の方が思うよりは実は酪農業の門戸は広く開けられているようにも思います。
高校や大学で農業とは一切無縁の専攻だったという方でも、牧場にしばしば就職している。そして牧場に入ってからの頑張り次第で、十分に活躍している。
そのような事例を実際によく見ているからです。
なお参考になるかわかりませんが、私の周囲の酪農家さんでは、
「大卒の従業員には農場長といった幹部クラスを、農業高校や農大卒の従業員には現場の作業を主に任せたい」
と話す方が多いです。
また、獣医師免許を持つ従業員さんは、牧場側からすると貴重な人材となるので、待遇面でそれなりに交渉力があると思います。納得できない点がもしあれば交渉してみる価値は十分にあるはずです。
今回は以上です。
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