- 酪農業への転職に興味がある
- 酪農業にはどんな人が向いているか知りたい
- 酪農業への転職する時に必要な資格を調べている
- 牧場選びのポイントを知りたい
このような方に向けた記事です。
一般企業で働いた後、実際に酪農業に身を置いた私の視点で
- 酪農業への転職をおすすめできない人
- 転職に必要な知識・資格・職歴はほとんどない
- 失敗しない牧場選びのポイント5つ
- 求人情報の探し方~ハローワークから転職サイトまで
という内容について解説します。
酪農業への転職に興味はあるけど、情報が少なくいまいち実態が分からない。
そんな悩みを解決するきっかけになればとてもうれしいです。
酪農業への転職をおすすめできない人
まずは酪農業への転職をおすすめできない人について説明しましょう。
おすすめ「できる」人じゃないの?そう思われる方もいるかもしれません。
しかしどの仕事にもいえることですが、「自分にはあまり向いていないかも」と事前には思っていても、いざやってみると合っていたということは往々にしてあります。当然、酪農業でもそうです。
なので、ここでは「酪農業の性質からしてこういうタイプの人にはどうしてもおすすめできない」という説明をします。
以下の5タイプに当てはまらなければ「自分でも酪農業で働けるかもしれない」。そのように考えてみてください。
- 休日数が多いことが優先順位の上位にある人
- 体を動かすことが嫌いな人
- 動物が苦手な人
- 同じ仕事の繰り返しが苦手な人
- 夜型の人
①休日数が多いことが優先順位の上位にある人
とにかく年間休日はたくさんほしい。例えば年間120日やそれ以上、など。
仕事を選ぶ基準でこのように「休日数が多いことが重要だ」という人には、酪農業はおすすめしにくいです。
酪農業では基本的にどの牧場でも休日数が少ないからです。
酪農の求人でも多数を占めるのは、年間休日数100日未満というものです。
私自身、年間休日120日超だったサラリーマンから酪農業へ転身しましたが、休日数が少ないことに慣れるのにはかなりの時間がかかりました。
②体を動かすことが嫌いな人
体を動かすことが嫌いだったり、オフィスワークしかしたくないという人にも酪農業はおすすめできません。
搾乳や牛の病気など、色々なデータを集めて分析するといった知的労働もないことはないのですが、ごく一部です。
牧場での仕事の大部分は、自分が体を動かす必要があるものです。
具体的には、
- 搾乳
- エサやり(中規模以上の牧場では大型機械を使う)
- ダンプカーや重機を使った牛糞処理
- 牛舎全体の衛生管理
- 牛の分娩対応
- 子牛の哺乳作業
などです。
③動物が苦手な人
「動物が苦手だ」という人にも当たり前かもしれませんが、酪農業は合わないでしょう。
牛は大きな動物であり、それを相手に毎日の仕事をする必要があるからです。
裏を返せば、必ずしも「動物が好きじゃないと酪農業では働けない」ということはありません。
好きに越したことはないのですが、実際に牧場で働いている人の中には、「牛や動物は好きでも嫌いでもないけど普通に働けているよ」という人はしばしばいます。
④同じ仕事の繰り返しが苦手な人
「毎日同じ作業を繰り返すという働き方が苦手だ」という人にも酪農業はおすすめしづらいです。
基本的にはどこの牧場でも毎日同じ作業(搾乳、エサやり、子牛の哺乳など)を繰り返すということが仕事の中心となります。
大きな牧場では配置転換で仕事が変わっていくことがあったり、改善意欲の強い牧場では少しずつ牧場の様子や仕事の仕方が変わっていくということはあります。
それでも、酪農業では基本的には日々同じ仕事をしていくということを認識しておいた方が良いでしょう。
⑤夜型の人
生活リズムが夜型の人や、朝がとても苦手だという人にも酪農業は辛いでしょう。
家族経営や従業員数の少ない牧場では、基本的には早朝から仕事が始まります。時間は牧場によって様々ですが、朝5時台に始業する牧場が私の知る限りは多いです。
大規模な牧場ではシフトの組み方によって、「昼から深夜にかけて」仕事をするというパターンもあるようですが、だからといって早朝勤務の日が全くないということではないようです。
もともと早朝に起きる習慣がないという人でも、朝がとにかく苦手だということでなければ、徐々に早朝勤務に体が慣れていきます。
補足:牧場で働く中でどうにかなることも多い
その他に「この点は酪農業で働く時に支障がないのだろうか」とよく思われるであろうポイントについて簡単に触れておきます。
- 体力がない
- 運動は嫌いではないけど体力に自信がないという人なら、仕事をしていくうちに徐々に体力や筋肉はついていくので安心してください
- 臭いや汚れへの抵抗感
- 潔癖症の方を除けば、牧場の臭いや牛の糞尿による汚れには徐々に慣れていく人が多いです
- 虫が苦手
- 牧場は自然豊かな場所にあることが多く、必然的に虫を見る機会も多いです。初めこそ、急に現れた虫に悲鳴を上げていた人でも、一年後には何とも思わなくなっているということはよくあります。特別な虫嫌いでなければ過度な心配は必要ないでしょう
- 土日休みへのこだわり
- 牧場は365日稼働するので、どの牧場でも酪農ヘルパーさんを利用したり、従業員間でシフトを組むことで休日を確保しています。どうしても、土日休みばかりというわけにはいきません。むしろ平日休みの機会の方が多くなるでしょう。ですが、酪農業で働く多くの人が「どこに行っても人が多い土日よりも、人混みが少なく役所が開いていたり平日ランチのお店に行きやすい平日休みの方がはるかに好き」と言います。土日休みへのこだわりは、お子さんがいて「どうしても土日休みじゃないと困る」という場合を除けば、それほど気にする必要はないでしょう
- 酪農と無縁の人生だった
- 「仕事で関係したことがないどころか、学生時代に一切農業や酪農について学んだことがないけど酪農業で働けるのだろうか」。このように思われる方も多いでしょうが、基本的に大丈夫です。未経験でも牧場に入ってから必要な作業は次第に覚えていけます。知識についても、本を読んだり、人に聞いたり、牧場によっては研修を受けさせてくれることで徐々に身につけていくことができます。人手不足の業界なので、門戸は広く開かれている。このように考えてよいでしょう
- 成長意欲が弱い
- 「日々の仕事で自分の成長やスキルアップを実感したいという欲求が弱く、時には消極的ともとられる性格をしているが大丈夫だろうか」。このような心配をしてしまう人もいますが、実はそういう人を歓迎する牧場は想像以上にあります。毎日同じ作業の繰り返しが中心となる酪農牧場では、変化や刺激を求めるタイプよりも、「安定した毎日を過ごしたい・地味な仕事を丁寧に続けるような仕事をしたい」という人の方が相性が良いということがしばしばあるからです。成長意欲の高い人は、改善意欲の強い牧場や大規模化を進めている牧場の方が合っているでしょう
転職に「必要な知識・資格・職歴」はほとんどない
次に、酪農業への転職を考えるにあたって必要な知識・資格・職歴はあるか、ということについて見ていきましょう。
結論からいえば、最低限ほしい資格は「普通自動車免許」ぐらいです。
酪農についての知識や資格は不問のことが多く、「このような職歴じゃないと酪農業への転職は難しい」というものもありません。
最低限必要な資格は「普通自動車免許」
なぜ普通自動車免許は必要かというと、
- 基本的に牧場は駅や住宅地から離れた場所にあり、通勤は車が前提だから
- ダンプカーなど「車の運転が作業上必要である」牧場が多いから
- ただし、ダンプカーの運転に必要な中型or大型自動車免許は、転職時には求められないことがほとんどです。仕事上必要であれば、牧場に入ってから取得しに行くということが多いです
という理由によります。
職歴は何でも大丈夫~サラリーマンからの転職も
職歴が重視されるということも少ないです。
「これまでに酪農業や農業に携わったことがない」という人でも、酪農業への転職は決して難しくありません。
実際、サラリーマンから未経験の状態で酪農業へ転職してきたという方は私の周囲の牧場でもそれなりにいます。
求人サイトでも「経験不問、未経験者歓迎」という牧場が大多数です。
人手不足の業界ということもありますが、牧場に入ってから徐々に作業を覚えていくことで、十分に働いていくことができるからです。
年齢は問われないことが多い
年齢についても、一般的な転職と比較すると制限は緩いでしょう。
若い人の方が体力的には有利ですが、20代や30代じゃないと酪農業へは転職できないということはありません。
一般企業に勤めていたけど役職定年になってしまい、50代にして未経験ながら酪農牧場へ転職したというケースもあります。そして、それはそれほど珍しい事例ではありません。
性別:男性でも女性でも関係ない
体力仕事のイメージが強い酪農業ですが、転職に性別の壁があるかというとほぼありません。
たしかに腕力や体力が必要な場面はあるのですが、搾乳や哺乳などそれらがあまり必要でない仕事もたくさんあります。
作業の役割分担や、作業方法の工夫によって、体力や腕力の不足もカバーすることができます。
法人経営の牧場では従業員さんが男女半々ぐらいというところはそれなりにあります。
補足:持っていると喜ばれる資格はあるが、転職後に取得すれば良いものも多い
ここで少し資格・技術について補足しておきます。
上記のように最低限欲しい資格は「普通自動車免許」だけですが、持っていると採用側が喜ぶ資格や技術というのも確かにあります。
これらを持っていないと酪農牧場への転職が難しいということは全くないので、参考程度という温度感で眺めてください。
- 獣医師
- 外部の獣医師に治療を頼まずに済むので、牧場側からすると大きなメリットがあります。もし獣医師の資格を持つ方が酪農牧場へ転職する際はやや強気の条件交渉もできるでしょう
- 家畜人工授精師
- 牛に人工授精をすることができる国家資格です。取得はそれほど難しくありません。「必要があれば牧場に就職してから取りに行く」という方が時間や費用といったコストに見合うでしょう
- 家畜受精卵移植師
- 家畜人工授精師の上位資格のようなものです。詳しい説明は割愛しますが、この資格まで欲しいかどうかは牧場によりけりです
- 準中型~の自動車運転免許
- 牧場では牛糞の処理などでダンプカーを使うことが一般的です。ダンプカーのサイズにもよりますが、準中型以上の運転免許を持っているならすぐに作業を頼めるため、牧場側からすると「ありがたい」ということになります
- 大型特殊免許
- 公道をフォークリフトやトラクターで走る際に必要な資格です。この資格も牧場によって必要であったり、不必要であったりします
- 削蹄師
- 牛の蹄を整えたり、蹄の調子が悪い牛を削蹄によって治療できる技術です。この技術や経験があると喜ぶ牧場の方が多いでしょう
失敗しない牧場選びのポイント5つ
さて、いよいよ転職先の牧場を探そうという時、求人情報のどんな点に特に注意したらよいでしょうか。
ここでは一般的な転職でも重視される給与水準や休日についてではなく、酪農牧場への転職時に特に気をつけておきたい「失敗しない牧場選びのポイント」について考えてみましょう。
概ね次の5点には特に注意する必要があります。
- 牧場の方向性や経営理念が合っているか
- 仕事内容の確認
- 勤務時間
- 社会保険や福利厚生の充実度
- 経営者が信頼できそうか
①牧場の方向性や経営理念が合っているか
自分が好ましいと思っている働き方と、牧場側の方向性・経営理念が合っているかどうかは極めて重要です。
- 牧場の方向性
- 規模を拡大していくのか、それとも現状維持か
- 経営理念
- 何の優先順位が高いのか
- 利益、牛、経営者一族、従業員、地域への貢献、など
ということです。
現状維持を望んでいる牧場であれば、日々落ち着いた仕事が続いていくことになるでしょう。
一方で、規模拡大を目指している牧場なら、
- 新しい設備が入ったり、
- 従業員が増えて役職ができたり、
- 勤務地が変わったり、
- 仕事が部門化されてジョブローテーションをしたり、
といった具合に、「仕事の様子が次第に変わっていく」ことになります。
また「経営理念に共感できるか否か」も転職時に強く意識したいポイントです。
経営理念というと”額縁に飾ってある立派な言葉やお題目”というイメージを持ってしまうかもしれませんが、要は「その牧場では何を特に大切にしているか」ということです。
酪農牧場と一口にいってもその中身は千差万別。何を大切にしているかは牧場によって違います。
牛を特に大切にしているのか、利益を重視しているのか、従業員の働きやすさを第一にしているのか。
この点を、
- 求人情報
- あるならその牧場のホームページ
- 手掛かりがなければ面接で経営者に質問する
などにより、必ず確認するようにしましょう。
従業員さんと牧場の方向性が違っていて、お互いに不満を持ち、やがて従業員さんが退職してしまう。そのようなケースを本当によく見ます。
逆に「自分が大切にしたい考え方」と「牧場の方向性」が合っていれば、お互いに気持ちよく長く一緒に働くことができます。
是非「自分が好ましいと思っている働き方と、牧場側の方向性・経営理念が合っているか」というポイントは牧場選びで押さえるようにして下さい。
②仕事内容の確認
次に「仕事内容の確認」です。
酪農業へ入って搾乳作業をしたいと考えていたけど、就職先の牧場は搾乳ロボットという機械を使っていて人の手では搾乳をしていなかった。このようなこともあり得ます。
パッと思いつく例を挙げてみると、
- 搾乳は、人がやるのか搾乳ロボットがやるのか
- 牧草地を所有しているか、牧草の収穫作業などがあるのか
- ダンプカーやトラクターの運転はするのか
といったあたりですが、これは一部でしかありません。
ご自身がどんな作業をしてみたいのか考えながら求人情報を見てみてください。
③勤務時間
主に搾乳作業が「1日2回なのか1日3回なのか」で働き方が随分変わります。
搾乳作業が1日2回の牧場だと、たいてい「早朝から仕事→昼に数時間の休憩時間→夕方から仕事をして夜に一日の仕事が終わる」という働き方になります。
一方、搾乳作業が1日3回の牧場(基本的に大きい牧場のみ)だと、従業員間でシフトを組んで、
- 昼から深夜にかけて働く日があったり、
- 早朝から昼過ぎまで働く日があったり、
と日や月によって違う働き方をすることになることが多いです。
9時~17時という一般的な勤務時間と、酪農業における勤務時間とではかなりの違いがあり、さらに牧場によっても違いがあるということなので、十分に確認しましょう。
④社会保険や福利厚生の充実度
「社会保険や福利厚生がどれほど充実しているか」も安心して酪農業で働くうえでは重要なポイントです。
厚生年金、健康保険、雇用保険、労災保険、退職金の有無といった条件面は自分が納得できるかどうか慎重に判断しましょう。
福利厚生では、
- ウォーターサーバーが従業員さんのために設置されていたり、
- 男女別の更衣室やトイレがしっかり整備されていたり、
- 長期休暇の制度があったり、
- 資格取得のための費用を牧場側が持ったり、
- 資格手当などのインセンティブが用意されていたり、
といった例があります。
概して「経営者がどれだけ従業員さんの働きやすさを重視しているか」が表れやすいポイントといえるでしょう。
⑤経営者が信頼できそうか
失敗しない牧場選びのポイントとして最重要の「牧場の方向性・経営理念が合っているか」と重複する部分もあるのですが、経営者が信頼できそうかどうかも非常に大切な点です。
大企業ともなれば社長と直接やり取りをする人は限られますし、社長の影響力は良くも悪くも薄くなる傾向があります。
ところが「大きい牧場でも従業員数が数十人」という規模感の酪農業では、経営者の考えが牧場のあらゆる面に反映されます。
- 牛の扱い
- 牧場の雰囲気
- 従業員の待遇
- 牧場内のルールの有無
- トラブルが起きた時の対応の仕方
- 悩んでいる従業員への接し方
- 目指す将来像の有無
など、挙げればきりがありません。
信頼できない経営者の下ではストレスがたまるばかりとなってしまいますが、尊敬・信頼できる経営者の下でなら生き生きと仕事をすることができます。
酪農牧場の経営者も十人十色です。
求人情報やホームページに載っている経営者の言葉や、面接時の経営者との会話などから、是非経営者との相性を考えてみてください。
酪農業への転職を希望する時、求人に応募する「あなたが牧場側から選ばれるだけでなく、あなた自身も牧場や経営者を選ぶのだ」という意識を是非もってください。
補足:できれば牧場見学に行った方が良い
以上、牧場選びの際に押さえておきたいポイントについて見てきました。
もし働いてみたいという牧場が見つかった場合、できれば牧場見学をしておくことを強くおすすめします。
「百聞は一見に如かず」という言葉のとおり、求人情報やホームページからだけでは分からないことが、一度でも牧場に行けばたくさんわかるはずです。
「転職希望者の牧場見学など受け入れてくれるのだろうか」と思われるかもしれませんが、たいてい大丈夫です。牧場側も人を雇いたくて求人を出しているわけですし、現場の様子を知ってから面接などの選考に進んだ方が、お互いにとって有益であることが分かっているからです。
「求人を出していながら牧場見学を嫌がる牧場」であれば、よほどの理由がない限り避けておいた方が無難でしょう。
さて、実際に牧場を見学する際どんなところを見たら良いでしょうか。
正解は必ずしもありませんが、
- 牧場は整理整頓されていてきれいか
- 従業員さんが挨拶をしてきてくれるなど安心して働けそうか
- 牛が人を怖がらずに近寄ってくるか
- 経営者の言動は信頼に値しそうか
といった点を見ておくと良いでしょう。
気になる牧場が見つかったら、電話やメールで「求人を見て気になっているので、より深く考えるために一度牧場を見みてみたい」という旨を伝えてみてください。
求人情報の探し方~ハローワークから転職サイトまで
いよいよ転職先の牧場を探そうという時「どこから牧場を探したら良いかわからない」。そうした方も多いことでしょう。
ここでは、酪農牧場の求人をどのように探すかといったことや、転職サイトについての考え方を紹介していきます。
まず酪農業の求人情報は様々な媒体に出ています。
- ハローワーク
- 農業に特化した転職サイト
- 一般的な転職サイト
などです。
それぞれについて簡単に説明していきます。
ハローワーク
ハローワークに求人情報を出す牧場は比較的多いです。
「無料で求人情報を載せられる」という点が牧場側には大きなメリットとなっています。
転職希望者の視点から考えると、ハローワークに出てくる酪農牧場の求人情報は、
- 「家族経営の牧場」から「比較的大きな牧場」まで様々な牧場の求人が見られる
- 玉石混交で、従業員さんの雇用に不得手な牧場からそうでない牧場まで雑多に掲載されている
- 情報量が不十分で牧場の様子がわかりにくい
という特徴があります。
見ておくに越したことはありませんが、ハローワークの求人だけに頼るのはあまりおすすめできません。
農業に特化した転職サイト
農業に特化した転職サイトとして
- あぐりナビ
- 農業ジョブ
- 農家のおしごとナビ
といったサイトがそれなりの知名度を得ています。
メリットは「農業や酪農業に特化した求人を探しやすい」です。
一方でこれらの転職サイトを知っている酪農家は多くありません。
知っている一部の酪農家だけが利用しているという面は押さえておきましょう。
一般的な転職サイト
酪農業というとニッチな産業と思われる方も多いでしょう。
しかし、実は大手転職サイトである
などにも酪農業の求人情報は載っています。
「酪農」や「牧場」というキーワードで検索すると分かるでしょう。
これらの「大手求人サイトを利用している牧場」の特徴は、
- 酪農業の中では規模が大きい牧場が多い
- 間口を広くとって幅広い層の応募を集めようとしている
- 大手求人サイトの手数料を払えるだけの経営体力がある
- 従業員の採用や育成ノウハウがあることが多い
といったものがあります。
総じて「組織としての体制がちゃんと整備されている牧場が多い」ということがいえるでしょう。
「大手求人サイトへ求人を出している」というだけでも、このように色々な意味を見出すことができます。
「牧場選びの基準が定まっていない」という人であれば、従業員の採用・育成ノウハウを持っているであろうこれらの牧場を優先的に見ておくことが無難です。
家族経営の牧場は「アットホームでのびのびと働かせてくれる牧場」もあれば、「経営意識が弱く家族の利益を優先してしまう牧場」まで本当に幅広くあります。その中からうまく相性の良い牧場を探し当てることは簡単ではありません。
まずは大きな牧場(一つの目安は従業員数10人以上)で体系的な酪農知識・技術を身につけることをおすすめします。
もし小規模な牧場で働きたくなった時でも、「大規模牧場で得た知識や技能」が転職活動の際のアピールポイントになります。
まずは実際に求人情報を眺めてみましょう。
今ある求人を見てみることで、「牧場で働くって実際どういうことなんだろう」、「自分の持っていたイメージと牧場の仕事は全然違うかも」といったことがよく分かるはずです。
補足1:アルバイトからその後を考えるという手も│タウンワーク
- いきなり正社員の応募は怖い
- 酪農がどういう仕事かまずは体験をしてみたい
このような場合には、まず「アルバイトとして牧場で働いてみる」という手もあります。
タウンワークなど身近な求人情報誌は酪農家さんでも知っていることが多いため、「アルバイトの求人を出すなら…」という時に選択肢に出やすいという傾向があります。
「牧場のアルバイトなんてあるの?」と思われる方もいるかもしれませんが、
- 酪農業は人手不足の傾向が強い
- 搾乳作業や子牛の哺乳などは一度覚えてしまえば問題なく任せられる
といった理由から、アルバイトを募集する牧場は珍しくないのです。
まずは「アルバイトから酪農業がどのようなものか体験する」という手も選択肢として持っておくと良いかもしれません。
補足2:口コミで事前に牧場の様子を確認できることも│転職会議
- 気になる牧場が見つかった
- 実際に牧場で働いている人たちの本音を知りたい
そんな時に便利なサイトとして「転職会議」があります。
その企業で「現役で働いている人、過去に働いていた人」が率直な口コミをたくさん投稿しているサイトです。就職活動をした時に見たことがあるという人は案外多いかもしれません。
実はこの転職会議には、酪農業をしている牧場の口コミもけっこう載っています。
- 求人情報からだけでは分からない従業員さんの本音を確認しておく
- 「リアルな評判や年収」をチェックしておく
こういった使い方をすると、転職活動に役立てることができます。
口コミの全文を見るためには会員登録が必要ですが、無料なので気になる人は是非試してみましょう。
補足:酪農業から異業種への転職を考えている方へ
本記事は、「未経験・異業種から酪農業へ」という場合について説明してきましたが、「酪農業から異業種へ」転職することについて知りたいという人もいるでしょう。
そうした方に向けた情報も、簡単にですが補足として載せておきます。
ポイントは次の3点です。
- 酪農関連産業への転職なら酪農業での経験が活かせる
- もう少し幅を広げて酪農業で身につけたスキルを活かせる異業種へ転職する
- 全くの異分野へ進むなら「学び直し」も検討してみる
①酪農関連産業への転職
様々な理由から「酪農牧場で働くことからは卒業しよう」という人は、酪農関連産業への転職を考えてみてはどうでしょうか。
酪農牧場で培った経験やスキルを直接活かすことができます。
酪農関連産業の例は、牧場で働いていた時に身近だったと思いますが、
- 酪農農協
- 飼料メーカー
- 乳業メーカー
- 酪農機械メーカー
- 酪農家向け商社
- 酪農系IT企業
などです。
「牧場勤務はもう卒業したいけど、せっかく働いてきた経験を無駄にしたくない」
このような時に有力な選択肢です。
実は、先ほど取り上げた
などでは、「酪農」や「牧場」というキーワードで検索するとたくさんの酪農関連企業が出てきます。
牧場で働いていた時に直接やり取りをしたり、名前を見たことがある企業も多いでしょう。
どんな業務をしているかイメージしやすいですし、酪農牧場側の気持ちもわかるので、仕事がしやすいはずです。
今ある求人を見てみることで、「牧場で働くって実際どういうことなんだろう」、「自分の持っていたイメージと牧場の仕事は全然違うかも」といったことがよく分かるはずです。
②異業種への転職
一方、酪農に関する仕事からはさっぱり離れようという場合もあるかと思います。
とはいえ、牧場での経験が少しでも活かせる転職先を考えたい。そんな時にヒントになる記事があるので掲載しておきます。
英太さんという方が書かれている「土木の仕事から異業種への転職」についての記事ですが、
- 体を動かす仕事が多い
- トラックなどの運転技術がある
という点で、酪農業と共通するものがあります。
この記事にある転職先の例や考え方を参考にすることで、酪農業から異業種への転職を考えるヒントがきっと見つかるでしょう。
③全くの異分野へ進むなら「学び直し」も検討してみる
心機一転して、酪農業とは全く異なる分野で働きたいと考える場合は、「学び直し」を視野に入れてみてもいいでしょう。
スタディサプリ進路(社会人向け)といったサイトから社会人を対象とした専門学校のパンフレットを取り寄せることができます。
実際にパンフレットを取り寄せて眺めてみることで、その選択肢を「具体的に、そして現実的に」考えられるようになります。
まとめ
今回は
- 酪農業への転職をおすすめできない人
- 転職に必要な知識・資格・職歴はほとんどない
- 失敗しない牧場選びのポイント5つ
- 求人情報の探し方~ハローワークから転職サイトまで
という内容について見てきました。
酪農業への転職を考える参考になっていればとてもうれしいです。
昨今、以前にも増して「働く意味」を考え直す人、そしてその先に農業や酪農業への転職に興味を持つ人が増えていることを感じています。
ここまでこの記事を読んでくださったあなたもそうかもしれませんね。
酪農業は牧歌的なイメージを持たれがちですが、実態は様々な作業をこなしていかないといけない「忙しい仕事」です。
ですが、酪農業の存在意義はかなり自覚しやすい=働いている意味を見出しやすい仕事でもあります。
私は一般企業に勤めている時、「この仕事は誰のための仕事なんだろう。この仕事は虚業に近いのではないか」ということをしばしば考えていました。
酪農業へ入ってからは、世の多くの人に牛乳が必要とされていること、自分自身が好きなアイスクリームやチーズの原料として牛乳が必要なことなどから、「働く意味は十分に納得できる」ものとなりました。
もちろん、牛を経済動物として扱うことの是非、環境負荷の考え方など、思いを巡らせる点は多々あります。
ですがそれらに対して自分なりの考えを持ち、その考えを実践に変えていくこともまたできるのです。
酪農業へ興味を持ったあなたが、想いを持って酪農業への歩を進める。この記事がその足掛かりに少しでもなれば幸いです。
もし「牧場への転職」や「酪農関連企業への転職」に少し興味が沸いたなら、実際に求人情報やリアルな口コミを眺めてみることをおすすめします。
ぼんやりしていたイメージが鮮明になって「次に何をしたら良いか」が分かるようになります。
リクナビNEXT(公式サイト) DODA(公式サイト) 転職会議(公式サイト)あわせて読みたい関連記事
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