【色褪せない】遠藤周作『沈黙』を読んだ感想3点【Audible】

遠藤周作の『沈黙』を読んだ感想 雑記
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遠藤周作の『沈黙』をAudibleにて聴きました。

40年以上前の作品でありながら非常におもしろかったため、次の感想3点について記事で詳しく説明します。

  • 誰もが考えたことがあるであろう「神の沈黙」
  • 作中の日本人信徒が結果的に”神道的”
  • 日本の中での地域性に思いを馳せるきっかけに

『沈黙』については

教科書に載っていた覚えがある

という人も多いかもしれません。

1981年に出版された小説です。

キリスト教の司祭が主人公で、主題は「神の沈黙」。

以下私の感想を3点、順に説明していきます。

誰もが考えたことがあるであろう「神の沈黙」

主人公が日本に渡って以降、何度も心の中で問い続ける

神はなぜこの状況にあってなお黙っておられるのか

という言葉が大変印象的でした。

私自身はキリスト教について十分な知識を全く持ち合わせていません。

日本では私と同じような人が多いと思いますが、そうした人でもきっと考えたことがあるであろう

「もし神がいるのであれば、真に苦しい時は助けれくれるはずではないか」

という疑問や苦悶。

本書では一貫してこの問いに主人公が向き合い続けます。

その葛藤に共感しながら読み進めていましたが、最後の方では主人公なりの答えが浮き上がってきます。

その内容についてはここでは踏み込みませんが、私自身は「なるほど、そうきたか」と思いました。

ですが、たしかにこのような見方、感じ方もあるのだろうと納得感はあります。

普段の生活では良くも悪くも宗教を意識することがあまりなく、キリスト教について考える機会もそうそうありません。

そうした意味でも自分にとっては新鮮味のあるテーマで、読めて良かったです。

作中の日本人信徒が結果的に”神道的”

本書の主題とは異なるでしょうが、私自身が一番興味深かったのは

日本人信徒が「外国人司祭たちが教える神」とは違う神を無意識的に作り出して信仰してしまう

という点です。

主人公の先輩司祭が日本での布教を「無理だ」と悟ったシーンで語られることですが、日本人のキリスト教信徒は、いつの間にか

  • 純粋なキリスト教の神ではなく
  • キリスト教の神や大日(だいにち)を混合したもの

を信仰している。作中でこのように解説されています。

そしてこの先輩司祭(フェレイラ)ですが、歴史上実在した人物で、

  • 「この国は(すべてものを腐らせていく)沼だ」

と語ったと伝えられているようです。

私はAudibleをきっかけに神道に関する本を読むのにハマり、ここ1~2年で数十冊を読みました。

そこで学んだことがまさにこのような

何でも受け入れて、なおかつ独自に変化させていってしまう

という日本の古くからの特性です。宗教に限らず、食でも言葉でも何でもですね。

神道においては長く仏教と交わる神仏習合の時代があり、そのように姿かたちを変えながら脈々と伝わってきているのが「日本の神道的な在り方」だとよく指摘されています。

この外からのものを何でも受け入れるという点が、時に「節操がない」ともされてしまうのですが、私は「これこそが日本らしさなのではないか」と最近になって随分と感じ方が変わってきました。

そのような考え方をするようになってきていた時だからこそ、本書における日本人信徒の在り方が結果的にですが神道的に筋が通っているように見え、興味深く読むことができました。

日本の中での地域性に思いを馳せるきっかけに

本書を読んで思い出したのが、長崎へ旅行に行った際に訪れた「大浦天主堂」です。

当時は宗教に対する知識もろくになく、ガイドブックに従って訪れただけでした。

結果、ぐるっと見て回りはしたものの、何を感じたら良いかすらわからずに去ってしまいました。

当時の自分は

「日本ならだいたいどの都道府県に行っても変わりはなく、あくまで同じ日本であり、観光地になっているものも現在とは切り離された遺物に過ぎないだろう」

と考えていたと思います。

ですが年を重ねるにつれ、同じ日本としてくくられながらも、確実に都道府県ごと、もっといえばその中の地域ごとに「それぞれの個性が本当にある」ということを理解できるようになってきました。

言葉や食べ物に限らず、各地の祭りの形態からも地域性を垣間見ることができます。

本作の舞台となっている長崎もまた、日本におけるキリスト教布教の舞台となった点でやはり特異性があるのでしょう。

今自分が長崎を訪れたら、以前訪れた時とは全く異なる感想を持てるはずです。

知識が増えるほどに旅行や読書の感慨が増すというのは、とても味わい深いものだと感じています。

まとめ:今の時代でも色褪せない名作

本記事では、遠藤周作の『沈黙』を読んだ感想を3点紹介してきました。

  • 誰もが考えたことがあるであろう「神の沈黙」
  • 作中の日本人信徒が結果的に”神道的”
  • 日本の中での地域性に思いを馳せるきっかけに

最初は「とっつきにくいかな?」と身構えてしまいましたが、文体も決して難しくなく、途中からは夢中になって読むことができました。

出版から40年以上経っていますが、今でも十分楽しめる名作だと思います。

なお私は本書をAmazonのオーディオブックサービスであるAudibleにて聴きました。

  • ナレーションが非常に上手く、没入できた
  • 聴くだけで良いので、やや昔の作品である本書を読むハードルを下げられた
  • 1.5倍速再生でちょうど良かった

このようにオーディオブックだったからこそ、読み始め、そして読了できたと思います。

毎晩布団に入ってからイヤホンで本作を聴いていましたが、静かな寝室の中でいつの間にか物語の情景を思い浮かべる毎日は非常に贅沢でした。

このような読書の仕方も良いものだと思います。気になる人はぜひ試してみてください。

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Audibleについて詳しく解説した記事もあります。「本を聴く」ことに興味が沸いた人は読んでみてください。

記事内でもふれた「神道や神社についてまとめた記事」もあります

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