- 小林秀雄がどんな人物か軽く知りたい
- 岡潔がどんな人物か軽く知りたい
- 天才同士の対談とはどのような内容になるか興味がある
- 幅広いジャンルに関する知識人の考察を知りたい
本書概要
- 文系的頭脳の歴史的天才とされる小林秀雄
- 理系的頭脳の歴史的天才とされる岡潔
両者の対談を本にしたものです。
語られるテーマは
- 学問
- 酒
- 芸術
- 三角関数
- プラトン
- 理性
- …
などなど多岐に渡ります。雑談という体ですが、一般人の雑談とは全く質の異なる非常に高度な内容です。
- 新潮文庫
- 平成22年(2010年)発行
- ページ数:183
- 価格:362円(税別)
読んだきっかけ・理由
小林秀雄の本を読んでみたかったというのが本書を読んだ最大の理由です。
なぜ小林秀雄なのか。私自身この方の名前を知ったのはつい最近です。
きっかけはYouTubeの日経テレ東大学というチャンネルのコンテンツです。
歯に衣着せぬ物言いで最近にわかに人気が出ているエール大学の成田悠輔氏、の弟である成田修造さんが特集されていた回でした。
兄弟揃って社会的成功を収めたお二方は、小さい頃から小林秀雄や浅田彰の著書を読んでいたそうです。それによって同世代の人と比べて見える世界の解像度が違ったという趣旨の発言がありました。
それは如何なるものか。興味を惹かれ、偶然見つけた本書を読んだという流れです。
なお、以前は好んで観ていた日経テレ東大学ですが、最近は悪い意味でテレビ化してきた印象が強くあまり観なくなってしまいましたね。
印象的だった部分
- 数学は知性だけでは成り立たず、感情を入れる必要がある
- 今の人類文化の内容は生存競争であり、生存競争が内容である内は人類時代と言えず獣類時代である
- だいたい自然科学ができることは一口に言ってしまうと破壊であり建設ではない
雑感
まずは読みやすかったです。
ページ数が183と本自体が薄めだからです。また対談、つまり会話が文章となっているのでその意味でも読みやすかったです。
ですが、中身は十分に濃いですね。
語られるテーマが幅広く深い
多彩なジャンルについて縦横無尽に語られています。文系的なものから理系的なものまで幅広く。それらが両者の膨大な知識と深い洞察力によって語られているのですが、常人の会話とは異次元のレベル感です。
小林秀雄は文系的天才だからといって文系的なことしか知らない、逆に岡潔は理系的天才だからといって理系的なことしか知らない、ということは全くないです。そもそもそれらも便宜的に他者から付けられただけのレッテルに過ぎないのでしょう。
お二方とも幅広い分野に精通しており、会話の前提知識が広く深いですね。本書の最後尾には膨大な注釈が載っています。
二人とも興味深い
私自身は小林秀雄がどんな人物か知りたく本書を読みました。
いってみれば岡潔についてはそもそも知らず、興味は持っていなかったです。
しかし、本書を読んで小林秀雄のみならず、岡潔についても関心を持つようになりました。
双方それぞれに複数の著作があるようです。
是非ともそれぞれの著作を読んでみたいです。


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