【暮らし】『ケマル・アタテュルク』(設樂國廣)を読んだ感想・レビュー

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トルコ共和国の初代大統領であり、トルコ国民の父と称されるケマル・アタテュルクについて書かれた本です。

私の記憶では歴史の授業で学んだ覚えがありません。多くの日本人にとってはそれほど知らない人物かもしれませんが、歴史好きの方にはファンが多いようですね。

そんな彼の生涯について時系列に沿って書かれている本です。

このような方におすすめ
  • ケマル・アタテュルクの生涯について知りたい
  • 強烈なリーダーシップで国のカタチを変えていった話を読んでみたい
  • トルコ共和国成立の経緯を知りたい
  • 世界大戦の最中におけるアラブとヨーロッパの熾烈な争いについて知りたい

本書概要

  • トルコ建国の父である(ムスタファ・)ケマル・アタテュルクの生涯について書かれている
  • 著者:設樂國廣
  • 山川出版社
  • 平成28年(2016年)発行
  • ページ数:108
  • 価格:800円(税別)

読んだきっかけ・理由

多分に漏れず、最近の私の選書のきっかけとなっているPodcast番組「コテンラジオ」から影響を受けて本書を読みました

同番組のオスマン帝国編を聴いた際に、随所でこのムスタファ・ケマル・アタテュルクの名前が挙がっていました。オスマン帝国編そのものは、オスマン帝国がビザンツ帝国を攻め落とすところで終わってしまったため、ケマル・アタテュルクについて詳細は触れられていません。

ですが、世界大戦時のギリギリのところでトルコを成立させた非常にかっこいい人物としてケマル・アタテュルクの名がしばしば出てきたのです。

予備知識がほぼないがために、良い意味で先入観なくムスタファ・ケマルについて知ることができるのではないかと思い、今回読んだということです。

印象的だった部分

  1. 時間的猶予のない差し迫った状況では、時として少数者による強烈なリーダーシップが必要
  2. 国や民族は何を軸としてまとまることができるのか、その難しさ
  3. 世界大戦時の戦勝国の一方的な支配体制、強者の論理

ムスタファ・ケマル・アタテュルクの辣腕、国がまとまることの難しさ、ヨーロッパ列強の強者の論理の3点が読んでいて特に印象的でした。

雑感

さっぱりとし過ぎていて少々物足りない

ケマル・アタテュルクについてほぼ何も知らない状態で本書を読みました。

第一次大戦で敗北して崩壊寸前だったオスマン帝国において、強烈なリーダーシップで列強と渡り合いトルコ共和国を成立させた人物としてシンプルにスターだなと感じました。

ただ、本書は事実を淡々と時系列で並べている感があり、やや教科書チックでした。ケマル・アタテュルクの人物像やその人間性については正直あまり読み取ることができませんでした。

以前読んだガンディーについての本は、かなりガンディーを持ち上げるような文章が多かったため、著者によってもかなり変わるのでしょう。変に肩入れしすぎて不自然に偉人が持ち上げられた本は好みませんが、本書のように淡々と事実が並ぶだけのものもやや読みづらいですね。

民主主義について少し考えるきっかけに

本書を読む中で少し考えたのは、民主主義についてです。

本書では敗戦国となり崩壊寸前のオスマン帝国における偉人のストーリーが語られています。

有事の際は少数者による独裁にも近いリーダーシップが必要なのではないか、というとやや言いすぎかもしれませんが、そのように思いました。

平時は民主主義があることで権力の暴走をある程度牽制することができるかもしれません。しかし、有事の際にスピード感を持って臨機応変に最適解を出すということは民主主義には難しいのではないか。

昨今のコロナ禍における日本の様子を見ていて、特にその感を強くしています。

投票率の低さや民主主義に対する大衆の知識・見解からして、日本ではそもそも民主主義はそれほど機能していないのではないかとさえ思います。

政治や社会の在り方について最近私自身も関心が強くなってきました。

資本主義の限界が叫ばれる中、より良い在り方を模索する動きが世界中で出てきているそうです。私も知らず知らずのうちにその波にのまれているのかもしれません。

これを読んでくださったあなたも今の社会の在り様・人間観について疑問を感じているのなら、やはりそういう時代の流れが少しずつやってきているのかもしれませんね。

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