【酪農】転職等に使えるスキル・能力は身につくか3/4

酪農

酪農業ではどういったスキルが身につくか」というテーマです。

全4回中の今回は3回目に当たります。

このような方向けの記事です
  • 酪農業で働いてみたいけど何かスキルは身につくのか
  • 酪農の仕事と自分が合わなかった時に、転職でアピールできそうなスキルは身につくのか
  • 酪農に従事しているが普段どんなスキルが身についているのか考えたことがない

こうした方々がいるのではないかと考え、このトピックを取り上げています。

私自身、金融機関での勤務経験と酪農業での勤務経験とがあります。酪農のみを経験している場合よりは観点が一つ多いため、参考にもしていただきやすいと思います。

経済産業省が公表している「社会人基礎力=社会人としての基礎スキル」が、酪農業において

  • どのような場面で
  • どんなスキルが身につくのか

考えてみます。

なお、

  • 私の体験や同業者から日頃聞く話を基に判断している
  • 牧場の規模の大小、経営方針や運営体制により一口に牧場といっても千差万別である
  • 基本スキル中心で、専門スキルにはあまり立ち入らない

これらの点にご留意ください。あくまで大枠での話になります。

おさらい:社会人基礎力とは

出典:経済産業省『「人生100年時代」に求められるスキル』

上記のように12項目が「社会人基礎力=社会人としての基礎スキル」として示されています。さらにそれぞれが、アクション・シンキング・チームワークの3グループに分けられています。

前回の記事では、「考え抜く力(シンキング)」の3項目について言及しました。

今回は、「チームで働く力(チームワーク)」の6項目について考えてみます。

おさらい:私なりの結論

酪農業においても、12項目のスキルは全て身につけることが可能です。

ポイントは、「自分はこの仕事・作業でこのスキルを鍛えているんだ」という認識を持ちながら働くことだと思います。

漫然と仕事をしていると、ルーチン作業の多い酪農業では日々が流れるように過ぎていってしまいがちです。

ですが、「この作業では特にこのスキルが必要で、意識することでより明確に鍛えることができる」と分かっていれば、日々の作業で得られるものも多くなるでしょう。

以下、それぞれのスキルについて見ていきます。

個別説明~チームで働く力~

出典:経済産業省『「人生100年時代」に求められるスキル』

⑦発信力…自分の意見をわかりやすく伝える力

作業例
  • 小難しい作業マニュアルではなく、誰でも理解しやすい平易なマニュアルを作る
  • 勉強会の講師を担当する
  • 上司や社長に、相手にも受け入れられる余地のある物言い・内容で希望を伝える

<コメント>

牧場というと、牛と関わることが中心で人とはそれほど関わらないというイメージを持つ方もいるかもしれません。実際には、ほとんどの牧場でやはり人と関わる場面がたくさんあります。搾乳作業は複数人でやることが多いですし、誰かが休む際はトラブルが起きないよう引き継ぎも必要です。経営者や同僚に何かをお願いする場面も多々あるでしょう。そうした際に、この発信力が鍛えられることになりますね。

私の思うポイントは、よく言われることですが「伝えるのではなく伝わることが重要」、「自分にも相手にもメリットのある提案をする」という点です。

<私の経験例>

  • 外国人技能実習生に搾乳技術を教える時は、写真・イラスト・Google翻訳を駆使して説明する
  • 機械や牛にトラブルがあった時はできるだけ写真を撮って、人に説明する際に言葉だけでなく写真を併用することで、より状況を正確に理解してもらう

⑧傾聴力…相手の意見を丁寧に聴く力

作業例
  • 元気がない同僚に思いやりを持って声をかける
  • こちらの判断を挟まずに、相手の話を最後まで聞く

<コメント>

この能力も牧場に限らず比較的どの職場でも身につけ得る能力でしょう。ただし、自分の利害ばかりに目が行って相手への敬意がない場合には、どれほど会話があっても身につかない能力です。聞き上手な同僚を真似たり、敬意をもって相手の話を最後まで聞いたりする姿勢を常に持ったりすることなどが必要になりますよね。

<私の経験例>

  • 意欲がわかない同僚に、責める口調ではなく、どうしたのだろうという心配する姿勢で話を聞きに行く

⑨柔軟性…意見の違いや相手の立場を理解する力

作業例
  • 牧場内で意見が異なる相手と対立せず、どうやったらうまくやっていけるかを考える
  • 異なる意見を、自分の立場・文脈で判断せず、相手の文脈で理解する

<コメント>

牧場で働く全員が、あらゆる面で意見や価値観が一致しているということは当然ですがありません。それぞれに異なった意見や立場上の考えがあります。その違いを対立に持ち込まずに、相手の立場・文脈で相手を理解する能力ですね。この能力も、牧場に限らずどのような職場でも身につけ得る環境があると思います。

<私の経験例>

  • 長時間労働を是とする先代経営者に反発するのではなく、なぜそう思うのか、考えの根源を聞いていく
  • 育ってきた文化が異なる外国人技能実習生については、その文化をネットで軽く調べた上、相手の立場でその言動を考慮する

⑩情況把握力…自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力

作業例
  • 牛が特定の人を避けるようなら、その人の何が良くないのかを見定める
  • 従業員のモチベーションが低いのであれば、仮説を立てたり、本人に聞いてみる
  • 従業員同士の関係が上手くいっていない場合、それがなぜなのか聞いたり気付いたりする

<コメント>

いわゆる洞察力に近いでしょうか。仕事に慣れていない時など、自分のことで精一杯の頃は身につけづらいかもしれません。しかし、仕事や人間関係に慣れ、牧場全体の様子を見れるようになればある程度自然と身につく気がします。また、人間関係や環境変化の機微に敏感な人ほどよりこの能力は高まると思います。

<私の経験例>

  • 従業員Aと従業員Bの関係性が悪そうなことにいち早く気付く
  • ある従業員を牛が避けがちなことに気づき、それがせっかちな性格に由来することに気づく(その後、本人に伝えて状況は改善)

⑪規律性…社会のルールや人との約束を守る力

作業例
  • 出勤時間を守る、無意味な残業をしない、無断欠席をしない
  • 作業マニュアルが定められている場合は順守する、勝手な改変をしない
  • トラックなどの運転時に法令を遵守する
  • スタンドプレーをしない、自分に都合が良いだけの解釈をしない

<コメント>

バリバリのビジネスシーンにいる方からすればある程度あって当たり前の能力といえるでしょう。ですが、牧場という環境ではある程度自律性を持たないと育まれない能力かもしれません。家族経営の牧場が多かったり、法人経営の牧場でも比較的雰囲気が緩かったりすることがしばしばあるためです。「まあまあ」で済まされることが比較的多い印象があります。自分で自分を律することが大切ですね。

<私の経験例>

  • 自農場の比較的経営に近い側の立場にいるが、他の従業員と同様に勤務時間を守ったりする
  • 作業内容を改善した方が良いと思った場合、無断で変えるのではなく、まず経営者や他の従業員に確認を取る

⑫ストレスコントロール力…ストレスの発生源に対応する力

作業例
  • 苦手な同僚がいる場合は自ら話しかけるようにして関係性をできるだけ良好にする
  • 自分が何にストレスを感じているかをハッキリさせ、対処を考える
  • 自分なりのストレス発散法を確立する

<コメント>

酪農というと牧歌的なイメージを持つ方もいるかもしれません。たしかにそうした場面がないことはないです。しかし、ストレスフルな場面というのも実はかなり多いです。

突発的な機械トラブルや難産の介助など牧場特有のストレス源があるのはもちろんのこと、他業種と同様に人間関係でストレスを抱える場面というのも少なくありません。

そのストレスにどう向き合うかというのは、どの牧場においても問われることだと思います。自分で編み出すのも一つですが、同僚や同業者にストレスへの向き合い方を聞いてみるのが良いですね。

<私の経験例>

  • 機械トラブルに悩まされていた時は、機械に関する知識を少しつけ、トラブルの予防に時間を割くようにした(牛糞の撹拌機がよく壊れたので、グリスを注す頻度を上げた)
  • 他の牧場の知人に、よく抱えるストレスやその対処法について聞いた(→何にストレスを感じているかを書き出すなど可視化することがポイントとのことだった)

今回はここまで

1~3回目の記事で、社会人基礎力を構成する12項目について言及してきました。

次回、4回目の記事では補足・まとめを書こうと思っています。

おまけ

↓酪農業に転職された方が描いたマンガです。酪農の日常が分かりやすく、リアルに描かれています。酪農ってどんな感じなんだろうというイメージはかなり具体的に持てるようになります。私は就農後に読みましたが、共感できること、酪農あるあるがたくさんで面白かったですね。

↓実際に酪農を仕事にする方向けの教科書的本です。私も酪農の基礎知識はこの本で学びました。

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