牧場で仕事をするようになってからしばらく経ったころ、サラリーマンの時、さらに遡って学生時代のアルバイトを振り返り、それらを比較する中で、高いモチベーションで仕事をするのに必要な共通条件が3つほど思い当たりました。
結論からいうと、①待遇、②成長、③感謝の3点です。この3点が満たされていれば、たいていの職場では仕事に前向きに取り組めるのではないでしょうか。
これらは私の経験などから抽出した事項であり、経営や労務管理の書籍等を読んだうえでのものではありません。しかし、知り合いの複数の経営者にこの考えを紹介したところなかなか好評で、従業員の教育や育成に適用できそうだとの見解を得られたので、一定の妥当性はあるのだと考えています。
順にみていきます。
①待遇
具体的には給料と休みです。どれだけやりがいのある仕事でも、給料が低いと感じる水準であったり、休みが少なくて疲労が溜まってくるような状態では仕事のモチベーションは低下します。
私は中でも給料というのはやはり無視できない影響力があると考えています。すなわち、給料というのは会社から従業員への評価の結果であるという認識がやや強いのです。仕事を頑張って成果を上げても給料が上がらないということでは、自分が評価されていない感がありモチベーションは上がらないでしょう。
また、いくら給料水準が高くても、休みが少なくてはモチベーションは上がりません。疲れもたまりますし、給料をたくさんもらえてもそれが使える時間がないとなれば、何のために働いているのかわからなくなります。
②成長
仕事を通じて自身の成長を感じられるかどうかです。場合によっては変化とも言い換えられるでしょう。
毎日同じことの繰り返しで、数カ月、数年前の自分から何も進歩していないという状態では多くの人が不安になるでしょう。逆に、以前はできなかったことができるようになったということや、自己の精神的成長を実感するといったことは、自己肯定感を高めます。
③感謝
職場内での感謝と職場外からの感謝がありますが、できれば両方欲しいですね。
自分がする仕事に対して、職場の同僚や上司から感謝されること、もしくは取引先といったお客さんから感謝されることは、自分を必要としてもらっているという実感につながり非常に大きな充実感が得られます。
逆にこれらがないと、自分は誰のために・何のためにこの仕事をしているのかといった心情に陥りやすいですね。
現在の私の牧場では…
- 待遇→△ 給料は高水準だが、休みが圧倒的に少ない
- 成長→○ 業務範囲が広く、現場の作業から経営まで自分次第で多くの経験ができる
- 感謝→× 職場内でも職場外でもない
というところです。結果として今の私自身は仕事に対するモチベーションは決して高くないどころか、就農当時を思えば相当に低いです。
最後の感謝という点では、身内が主体の牧場故、常に仕事はしっかりするのが当たり前という空気で、そうした言葉が交わされる場面はほぼないです。また、酪農業においては、6次産業化などにより消費者の方と直接つながる機会を持っている一部の経営体を除いて、多くの牧場が消費者と隔絶されています。すると、なかなか誰かから牧場での仕事に感謝される機会というのはないです。これは酪農業での負の特色の1つかなと感じています。家畜の伝染病の広がりを防ぐためといった様々な経緯があるわけですが…。
あなたの場合はどうでしょうか
あなたの現在の職場ではどうでしょうか。これらの3つは満たされていますか?
仕事のモチベーションアップや従業員の教育育成など、調べようと思うといくらでも理論などが出てくると思います。それらももちろん必要ですが、とりあえずシンプルにこの3点を軸に考えてみると、変えられるところなども出てくるのではないでしょうか。
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